この医学書・看護書がすごい!2022【金芳堂】
トップバッターは一昨年、昨年に続いて今年も京都にある出版社、金芳堂さんです。
平日はほぼ毎日、朝と夕に営業担当であるHさんの挨拶ツイートがあるんですが、ほっこりする癒しです。140字という短い文章でも毎日続けるのってなかなかできないことです。すごいです。私なんて『最近気になった本』が放置されてます案の定です。
さて、金芳堂営業担当イチオシはこちら!
『見逃してはいけない小児救急』
まずは営業担当の推しポイントをどうぞ。
すごく素人考えなんですが子どもの診断って難しいと思うんですよ。
なぜなら具合が悪い、痛い、というのを言葉で訴えることが子どもはおとなよりも明確にはできません。まだ発語がない乳幼児なら尚更です。
それを保護者の方が「お腹が痛いみたいです」「昼間は元気だったのに夜になったら急に元気がなくなって。熱はないんですが」「階段から落ちて膝をぶつけました」と子どもの代わりに言うのは果たして正確なのかというのもあります。しかも救急となれば、保護者の方も気が動転していて、我が子の状況をちゃんと説明できないかもしれません。
その前提の中、エラーを起こさないようにする。難易度高いです。
それに対して著者である鉄原健一先生は、序文において
と述べています。つまり臨床推論ですね。その臨床推論とそして小児救急においての診断エラー、ABCDE の診かたのコツについて、本書の一章、総論において詳しく書かれています。特に冒頭では自分の臨床推論のスタイルを振り返ることができ、まさに入門書といったつくりになっています。
人はエラーをします。もうどうして?っていうくらいエラーをするんです。後になってなんであんなことをしてしまったんだろう?なんで思いつかなかったんだろう、どうして気づかなかったんだろうと、その時の自分を張り倒したい気持ちになることは、誰でも経験があると思います。でも、そのエラーを悔やむだけではなく、しっかり振り返ることで、次のエラーをなくすことができます。
この本はエラーをしてしまった時、エラーをするかもしれないと不安になっている時にどうすればよかったのか(いいのか)という道筋を与えてくれます。
ぜひ、直接診療をされる医師だけではなく、看護師をはじめとしたすべての医療従事者に読んで欲しい本です。得られた知識が、あなたのほんのちょっとの気づきとなり、エラーをなくすことでしょう。
そして売り場担当のイチオシはこちら!
『ステロイドの虎』
ステロイドの虎。略してステトラ!!
みなさまご存じ、鬼才國松先生の単著です。
いやー本当に売れました。全店的に売れてました。おそらく、「今日の治療薬」などの年度版や、病みえシリーズを除いた単著では、今年一番売れた本だったのではないでしょうか(系列店での話です)。
まさに『この医学書・看護書がすごい!』にふさわしい一冊です。
とにかく装丁がいいんですよ。それについては以下の記事で我ながら引くくらい熱弁しているので、よかったらお読みください。嵩高書籍用紙大好きです!
そして金芳堂のnote、編集後記でも『ステロイドの虎』は取り上げられています。
この編集後記でも触れられていますが、最初タイトルを聞いた時に私が感じた印象は、
・あ〜寅年だからトラ、ってコト……?
・虎の巻の虎とかけているのかな?
でした。
それは間違いではなく(寅年云々は確認してませんが)あんちょこ本というスタンスであることは國松先生の前書きでも言及されています。
でも、ただのあんちょこ本で終わらないのが國松先生たる所以です。流石です。ダブルミーニングならぬトリプルミーニングですよ。
Hさんのツッコミには完全同意ですが(編集後記を読んでください)。
どうぞ、國松先生が正気を失って全裸になる覚悟で執筆したこちらの本、既に大勢の方がお読みになっているとは思いますが、万が一まだ未読の方はぜひ!この機会にぜひ!書店でステトラに手をのばしてください。
とても手になじむ形、そして軽さです。そのままレジへ連れて行ってくださいね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?