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禁煙成功の体験談

参考にしにくい禁煙を成功した私の体験談

私は約十五年間、タバコを吸っていた。

厳密に、「いくつからいくつまで吸ってました」と書くと法に触れるため書かないが、若い頃に吸い始めた。

当時、私は「コーヒーとタバコはやめるつもりは無い」と断言していた。
どのような状況になっても、コーヒーとタバコという、いわゆる嗜好品については、強いこだわりを持っていたのである。

タバコも、格別に美味しいと思って吸っていた事はなかったのだが、何せ昭和の映画スターは例外なくタバコを燻らせていたのが、愛煙家になった一番の理由だった。
そう、“愛煙家”なんて言葉もかっこいい。
ほとんどが、「格好つけ」だったこともあり、とにかく格好いいことが一番だった。

外国のタバコにも憧れた。
外国のタバコは、何といってもCMが格好いい。
アメリカンのオートバイに跨った外国の男性が、崖の上だか何だかの高台にまでやってきて、そこでタバコに火をつける。何とも格好いいCMであり、これにも憧れた。
そのため、外国のタバコにも手を出したのだ。特に美味しいとも思わないし、いい臭いだとも思わない。ただの憧れである。

おそらく、タバコを吸っている人の大半は。このような「強い憧れ」から愛煙家になる人が多いのでは無いだろうか。
格好いいことに憧れることの、もっと強かったのは「ZIPPO」の存在である。
私は、ZIPPOを10個以上所持していた。
その多くは、もらったものだったが、機械的な装いでありながら、分解と組み立てを簡単に習得できるその仕組みは、私の中の“男の子の心”を刺激するのには十分だった。
「ZIPPO(ジッポー)」と呼ばれるオイルライターは、1932年に創業された、「ジッポー・マニュファクチャリング・カンパニー」社による製品で、歴史が長い。高い耐久性と永久修理保証がついているため、「いい物を長く持ちたい」という男性の心を刺激したため、普及したと思われる。

よく、男性の雑誌には、「男の一品」のような見出しが飾られることが多く、その多くは「いいものを一生モノとして愛用する」ことへの強い憧れから来ている。
男性は、そうした「一生モノ」という言葉に弱いのだ。
「何十年も愛用している革の鞄」などは、男性なら誰しもが憧れるワードの一つである。みんな、そんな一言を、他人に言いたくて、何十年も前から、ボロボロになっても、貧乏くさくても、その鞄を愛用しているのである。

そんなZIPPOを贈られることが多かった。
当時、私が店長をしていた店で働いていたパートさんにも、「普段からお世話になっているから」という理由で、私の誕生日に一万円ものZIPPOをもらったことがある。
こうしたことが増えてくると、だんだんとタバコをやめることができなくなってくる。
「せっかく、あの人からもらったZIPPOがあるから、何だかやめたら勿体無い」などという、謎の使命感が生まれてくるのだ。

タバコを吸い始めて、15年ほどたったある時。東京で働くチャンスを掴んだ。
福井県という地方で働いていたため、これを逃しては二度とチャンスは訪れないだろうと思い決断する。
単身赴任ではあるものの、そんなことは問題ない。
ところが、会社としては利益が上がらない以上、そこまで経費を使えないということで東京行きへの切符を手に入れた3人でシェアハウスとなることが決まった。
それによって、さまざまな制約が訪れる。
住まいは家具付きのアパートの一室になった。台所と部屋が二つしかない。
当然、プライベート空間などあるはずもない。
そのため、多くのことを我慢する必要があった。
それでも、東京で働くという、これも「憧れ」からくる願望を叶えるため、様々な制約を作った。
そのうちの一つが、「禁煙」だったのだ。
「おそらく、東京は田舎ほどタバコを吸う場所がないでしょうから、三人でタバコをやめませんか?」という提案が、一人から出された。そう、三人とも喫煙者だったのである。その三人で、一緒に禁煙しましょう。というものだった。

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