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手術終了

たくさんの方から、お言葉をいただき嬉しい限りです。励みなりました。

昨日の21時から食事はしてはいけず、水もダメ。経口補水液だけ飲む生活。なんかしょっぱい液体で美味しくはない。
それも朝の6時までで、それ以降は絶食で8時15分に手術開始という流れである。

夜は9時30分には電気を消されてしまい、なかなか眠れない。眠れないと、明日の手術のことでやはり多少不安になる。6時頃目覚めたのだが、まだ眠い。だが、寝れる気がしないし、なんか背中が痛いので、軽く柔軟をする。

いよいよ、8時00分。

手術着に着替えて、移動する。

手術部と書いた大きな扉があり、そこが開くと、広い場所に他にも4組くらいの患者さんがいた。軽くパーテーションで分けられており、それぞれ看護師さんやら麻酔師さんが、患者さんに説明している。
「お名前は?」
「血液型?」
「アレルギーは?」
「今日はなんの手術ですか?」
念のための質問をいくつかされるのだ。

手術室までは自分で歩いていき、自分で手術台にのる。
「血圧測る機械つけますねー」
「心電図の機械つけます」
「ピッピッ」
いろんなものを体につけられ、いろいろな音に溢れていく。
麻酔師は先輩後輩なのか二人いて、一人はけっこうベテランの男性で慣れているよう。もう一人は女性で新人なのだろうか。
ベテランの男性が、

「メモリ見えないのオシャレじゃないから、見えるようにしてね。」

と、女性に注意をしていた。

「オシャレじゃない‥」という言葉使うんだ〜とどうでもいいことを思っていると、そのベテランの麻酔師さんが、

「はい、だんだんと眠くなってきますよう。」

その言葉を聞きながらの深呼吸。
世界が徐々にぐるぐる回る感じ。
これかあと思っていると、寝ていた。

手術は合併症などなく、無事に終わった。ポリープが結構あり、切除したとのこと。それを聞くとこっちも「よっしゃ」と変な達成感を感じる。
そんでもって鼻の穴にガーゼが詰まっている。これから一週間は口呼吸。これが一番つらい。
だが、このガーゼを鼻の穴の中に突っ込まれる経験も人生で二度目。

高校2年の時にレスリングの試合中に、鼻を骨折したことがある。救急車で運ばれて、曲がった鼻を元に戻すのだ。
しかも麻酔なしで、、、。
鼻は麻酔は効かないそうだ。だから、今回が全身麻酔と聞いてもなんの違和感もなかった。

鼻にガーゼをぱんぱんに詰め込んだ僕は、その日のうちに病院から帰ることができた。
いつもレスリングの試合後は母が美味しい料理をつくってくれている。その日も例外なくそうであった。

松茸ご飯をつくってくれていた。

そう、「匂い松茸、味しめじ」のあの松茸である。

母は「今日はおつかれさまー」
「松茸ごはん美味しいね」
と言った家族団欒を想定していたのだろうが真逆の雰囲気であった。僕はすねて居間で寝ている。

無言である。

父がこの雰囲気を突き破ろうと思い僕に声をかける。

「いや〜松茸ごばん!!いい匂いだな〜」

「匂いしねーんだず!」

山形弁丸出しで答えて、また気まずい雰囲気となった。

一週間後ようやくとれる。
診察台で、先生が僕の鼻の穴にピンセットを入れ、ガーゼを取り出す。どうやら、一つの長いガーゼがぱんぱんに詰め込まれていたようだ。ガーゼが、赤!白!赤!白!と鼻から飛び出していく。
これも痛いのだ。

横にいた綺麗な看護師が、僕の痛みを和らげようと声をかけた。

「うわ〜万国旗みた〜い」


「手品じゃねーんだよ」


と突っ込みたいが、痛みで声が出ない。

気を使った真逆の言葉は時として多大なるダメージを与えることを僕は知っている。

そんな経験があるので、今回はまだマシなのだ。とは言え、口呼吸で乾燥もするし、口の中に血が入ってくるし、しんどい。

今の一番の幸せは口をゆすぐことである。

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