1000円カットから美容室へ
ちょっと前から、1000円カットから美容室に変えたんです。
髪型にそこまで気をつかってなかったわけで、まあでもそれなりに、これで良いだろうとは思ってたんです。
やっぱり1000円カットなんで、ところどころ切れてない髪がピョーンと出てたり、いろいろあったんですが、半年に一度だけ
「いいじゃん、この髪型。美容師さんサイコー。」
という奇跡が起きる瞬間があって‥
でもなんか先輩に、
「野球部が引退して坊主が伸びたみたいな髪型してるね」って言われて、「え、そうなの?」
と驚き、変えなければ!となったんです。
美容室に通いだすと、さすがに多く金を払ってるだけに、そりゃ良いんですよね。炭酸シャンプーもしてくれて(なにが良いかさっぱり分かりませんが、毛穴は喜んでるらしい)マッサージもしてくれる(マッサージなしでいいから500円安くしてくれねーかなと毎回思うけど)。
なにより髪型がこっちの方がいいなって思うので、今でも通ってるんです。
それに、1000円カットの時はシャンプーはないんですが、美容室ではシャンプーがある。帰りは、うっすら濡れている髪で、帰りの坂道を自転車で下ってる時なんかは髪がひんやりして、とっても気持ちいいわけですよ。
でも、1000円カットのほうが、いろんな人がいたんで、そこに関しては1000円カットの方が楽しい部分はありました。
ある時、1000円カットの美容師さんに、当時新婚だった僕は、うちの妻が塩分に厳しい、酒の飲み過ぎに厳しいという話をしてたんですよ。
すると、後ろから
「兄ちゃん、兄ちゃん」
って、誰か話しかけてくる。
なにかと思ったら、
後ろで椅子に座って待っていたじいさんが鏡越しに話しかけてくるんですよ。鏡越しにその人と目が合う。
これが、完全に老いぼれじいさん。
見るからに老いぼれじいさん。
「老いぼれなんて、まーひどいわ。さすがに言い過ぎですよ」と言われても、じゃあ他にどう表現するんだっていうほどの老いぼれじいさん。
毎秒、毎秒、老いぼれてるじいさん。
鏡越しに僕と目が合いながら、そのまま話しかけてくる。
「俺さ、今年で75なんだけど、病気してさー、
医者から塩分の取り過ぎに注意しろ。
酒は飲むなってうるさいんだよ。
食事が味気ねーんだ。
そのおかげで、
人生なーーんにも楽しくねえよ!!
兄ちゃん!
俺と一緒だな!!」
一緒じゃねーーよジジイ!!
それなりに幸せにやってるわ!!
もちろん、そんなことは言うはずないが、心の中で叫んでました。
美容室ではまずないです。
イケてる兄ちゃんと、
イケてる姉ちゃんしか美容室はいませんから。「老いぼれ」なんて人はおりません。
そこから、そのじいさんとしばらく鏡越しで話してました。ちょっと口悪くなっちゃいましたが、これはこれで楽しいもんでした。