透明標本

突然ですが、「透明標本」をご存知でしょうか?

透明標本とは、簡単に言うと、生物の骨格を観察するため、様々な薬品を使い、筋肉を透明にして骨に色を付ける標本の事です。硬骨は赤、軟骨は青に染められます。私は、魚類や両生類以外自分自身がやったことないのですが、哺乳類や鳥類、爬虫類も製作可能です。

標本というと、なんか気持ち悪かったりするイメージが湧くかもしれませんが、透明標本はとても綺麗な標本です。・・・と、思ってます。気持ち悪いと感じる方はどうしても気持ち悪いと思われるかもしれません。私の作った透明標本の写真を以下に貼り付けてありますので、苦手と思われる方はここで引き返してください。


透明標本イバラトミヨ

これは自分が学生時代に作成した標本です。もう25年以上前になりますが、割ときれいに出来ています。横着して軟骨染色していません。ちょっと見にくいですが、身の部分は透明になって残っています。2年ほど前、整理していたら出てきたものです。他にもあったはずなんだけど、これしか見つかりませんでした。

この標本の魚は、学生時代に奈良県から秋田県まで車を走らせて、自分で採集した魚です。イバラトミヨといってトゲウオという仲間の1種です。水中に水草などを使って鳥の巣みたいな形の産卵床を作って産卵します。生態も形態も面白い魚です。骨の形も独特です。こういった、変わった骨をしているものが面白い標本になります。


透明標本アミアイゴ

こちらはアミアイゴ。アイゴという刺毒魚(しどくぎょ:刺されると激しく痛む毒針がある魚)の仲間です。実はこの魚、自身で採集したものではありません。

沖縄の郷土料理で、スクガラス豆腐というのがあります。スクと呼ばれるアミアイゴの稚魚を塩辛にしたものをスクガラスと言い、これを島豆腐と言われる硬めの豆腐の上にのせて食べる、酒のつまみです。こんな骨してるので、頭のほうから食べないと食べにくいというか、刺さります。

その、スクガラスの瓶詰めを買ってきて、そこから標本にしてみました。胸鰭・腹鰭・尻鰭・背鰭といかにも刺されたら痛そうな感じが、標本からも伝わってきます。ガラスみたいに透明になったスクガラスということで、スケガラス。・・・聞かなかったことにしてください。

透明標本を作るには、結構面倒な工程を経なければなりません。まずはホルマリン漬けの標本を色々な液に漬け替え、結構な時間をかけて作ります。様々な固定液、脱色液、染色液、保存液を使うのですが、色々な方法があるので、詳細についてはここでは割愛します。

ホルマリン標本から透明標本になるまで、小さなものなら早くておよそ半月。大きなものや脂分が多いものはもっと時間がかかります。自分が下手くそなのもありますが、作ったものが全部良品になるとは限りません。不良もできます。でも、失敗して形が崩れてしまったりしたら論外ですが、骨や筋肉に色が染まりすぎや、染まりが甘いものも、学術的な標本としてではなく観賞目的であればそれはそれで面白いんじゃないかと思います。

透明標本シラウオ

生食用シラウオを購入、透明標本を作ってみました。軟骨部分は青に、硬骨部分は赤に染まってますが、筋肉が軟骨染色の際に染まりすぎて青くなってしまいました。見ようによっては、綺麗じゃないですか?因みに、シラウオとシロウオは全くの別物です。シラウオはサケ目シラウオ科、シロウオはスズキ目ハゼ科です。

だらだらと思いつくままに書いてみましたが、実はこの透明標本の商品、ちまちま作っております。ボールペン封入タイプと標本瓶入りタイプを作成販売していますので、ご興味のある方はご連絡ください。

透明標本ボールペン


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?