欲望きらめき文化祭 第十話
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(ふう……、疲れちゃった……)
米田と別れた未緒は、待機室へ戻る前に水道で口をゆすいでいた。
あの後、ごっくん代のチップとして追加で3,000円受け取った。
金払いがいいのは有り難かったが、性行為に対して報酬を貰うという生まれて初めての状況に、未緒は戸惑いにも似た気持ちを抱いていた。好きな人のためなら何だってしてあげたいし、何ならお金など逆に払ってでもお願いしたい程だ。もっとも、特に金持ちというわけではないので、大した額は払えないが━━。
それにしても━━。
性行為自体は好きな部類とはいえ、かなりの疲労感が肩にのしかかっていた。顎などはまだジンジンする程である。
これを一日に何回も繰り返すとなると、流石に気が重いものがある。
若者向けのテレビ番組など見ていると、よくカジュアルに何十人、更には何百人もの経験人数を誇る女性が出演したりしているが、肉体的な磨耗感はもちろんのこと、一体どれ程優れたコミュニケーション能力があればそんな事が可能となるのか。引っ込み思案で交遊半径の狭い未緒としては興味が尽きないところである。
「沙希ちゃん━━」
未緒は友人の名前をひとりごちた。
友人の名は虹野沙希。
未緒の数少ない親友で、サッカー部のマネージャーをしている。
自分以外の他者を力の限り応援し、献身することを人生の糧にしているかのような善性の塊で、特に運動部男子からは「運動部のアイドル」と呼ばれるほどの人気を誇る。
一年の頃から不思議と気が合い友人をしている。今回のJKリフレについてもついボロッと口をついて話してしまったところ、沙希は自ら手伝いを申し出てくれた。 沙希は未緒達とは別のクラスなので本当は手伝う必要はない、それどころか本当は秘密にしていなければならないのだが、好雄に相談してみたところ、「マジか!? あの虹野さんがっ!」と驚きつつも二つ返事で協力を承諾してくれた。
好雄によると、沙希にも頼み込んでみたところ裏オプ営業までも承諾してくれたのだという。今ごろはどこか別のところで客と会っている筈だ。
(大丈夫かな、沙希ちゃん……)
男子サッカー部のマネージャーである沙希は、未緒などよりもよほど男慣れもしていると言える。だが杞憂かもしれないが、心配なものは心配であった。
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