【元ベテランスタッフが教えます】オンライン専用プランahamo(アハモ)の誕生がもたらした影響力
こんにちは。最近、携帯電話の利用料金が安くなるというニュースを見たことがある方も多いと思います。
NTTドコモが2020年12月3日に発表したオンライン専用プラン「ahamo」を皮切りに、KDDI(au)は「povo」、ソフトバンクは「LINEMO」を次々に発表。MVNOと同等、それ以上の安さで月額3,000円未満、20GBの通信ができるプランを実現。
本日はオンライン専用プランとしていち早くLINEMOの受付が開始がされました。
そもそもどうしてオンライン専用プランは誕生したのか、そしてその影響力について元ベテランスタッフだった私がお話していきたいと思います。
携帯電話の通信サービスって?
携帯電話の通信サービスってどんなサービスかざっくり説明します。
まず、通信各社は国から認可をもらった電波でサービスを提供しています。携帯電話で通信するには基地局が必要です。国から認可を受けた電波を基地局経由で飛ばし通信できるようになります。あなたのスマートフォンが4Gや5Gと表示されていてアプリを使用したりウェブサイトを見たりする時には必ず基地局を経由して通信しています。基地局は各社ごと全国に保有しており(トンネル内など共有の基地局もあります)この基地局から電波が届かない状態が「圏外」となります。
MNOとMVNO
現在、携帯電話のサービスは基地局を保有している「MNO」と基地局をMNOからレンタルする形で運営する「MVNO」にわかれます。
MNOの中でNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクは3大キャリアと呼ばれ、通信業界を牽引してきた会社となり、新規参入した楽天モバイル(一部エリアはauとローミング)も含め4社がMNOとなります。4社は自社で基地局を保有し、それに基づいたサービスを提供しています。通信の保守や維持も担っており、災害時などにはいち早く通信ができるよう努めます。近年では通信に限らず金融や新電力やECサイトなど新しいサービスに力をいれて新規の顧客を開拓しています。
MVNOは2020年9月時点で1450社がMVNOに参入しおり(MNOによるMVNOを除く)有名な会社ですと、mineoや日本通信があります。MVNOのメリットは料金の安さです。基地局を保有していないため保守をしなくてもよいので、その分のランニングコストが下がります。デメリットは難しく書いてある記事も多いですが、ようはMNOからすべての電波をレンタルしているわけではなく、一部だけ借りているのでMNOほどの速度の速さや安定が期待できません。
上記に該当しないのがUQmobileやYmobile。MNOが運営するMVNOとも呼ばれ、MVNOでありながら制限を受けず自社回線をフル活用でき、なおかつMVNO並の低価格で利用できます。MNOとMVNOの間のような存在です。
国が民間企業の料金に口を出す
現在の通信業界の状況をざっと説明をさせていただきましたが、MVNOもある。UQmobileやYmobileみたいな会社もある。なぜMNO3社がオンライン専用とはいえ格安プランを発表せざる負えなかったのか。
それは国から「高いから値下げしろ」と言われたからです。
はい。そうなんです。日本の通信費は諸外国と比べて高い。通信会社は儲けすぎてユーザーに還元していない。だから値下げしろ。と認可を受けているお国から言われてしまったのです。国民からすれば毎日使うスマートフォンの料金が値下げされたら嬉しいし、それを国が呼びかけてくれるなんてなんて良い国なんだって思いますよね?通信各社は何の根拠もなしに料金が高いレッテルを貼られてしまいました。いくら国から認可を受けて経営しているとはいえ、民間企業の料金に対して国のしかも管轄所管の総務大臣ではなく、国のトップの総理大臣自ら口出しするのは異常な光景。総理大臣がマクドナルドのセットが高いから安くしろと言っているようなものです。
ちなみに、通信が安いと言われている諸外国では、日本のような安定した通信ができないとも言われています。現代の日本で通信障害や新規参入したばかりのの楽天以外で電話が繋がりにくく不便だと感じる場所ってほとんどないですよね。それだけ日本の通信技術は素晴らしく、また保守業務に力をいれている証拠です。その背景を無視して「通信業界は儲かりすぎだ」と言われ、政治的に利用されたと私は思っています。「今より保守は適当で繋がらない場所ができますが安くしたいですか?」と聞かれたら何パーセントの人が今のままでいいと答えるのでしょうか。
国へのアンサー。先陣を切ったのはまさのNTTドコモ!
国から値下げのことを言われた数カ月後、NTTドコモは先行で既存プランの値下げではなく「ahamo」というオンライン専用ブランドを新たに立ち上げ、月額2,980円(後に2,700円に値下げ)で5分間通話無料で20GBの通信ができるプランを発表します。NTTドコモなりに国が示す「料金が高い」のアンサーがahamoだったわけです。
その後、KDDI(au)、ソフトバンクも同等のオンライン専用ブランドを発表します。2社も国からの「料金が高い」にどう答えるべきか考えていたと思いますが、契約数ナンバーワンのNTTドコモに先陣を切られてしまい、またahamoがネットや業界内からもかなり好評だったため、独自のサービスではなく、同等サービスを提供することになったのではないかと思います。国からの値下げにNTTドコモが先陣を切るのは業界で予想していた人は少なかったです。今までのお役所仕事的なNTTドコモでは考えられない発表で個人的には「やられた!」と思いました。ブランディングした方はとても優秀だと思います。
オンライン専用プランのデメリット
こうしてMNOで実現したとても魅力的なサービス。デメリットももちろんああります。
・オンライン専用のため、ショップでの対応ができません
・キャリアメールが使えません
・キャリア決済ができません(povo除く、LINEMOが後日対応予定)
・家族割引が使えません
・ネット利用での割引が使えません
そのかわり安い。それがオンライン専用プランです。ターゲットは若者と言われていますが、クレジットカードがもてない10代〜20代はキャリア決済利用者が多いと言われいます。ここの足並みが揃うかも注目点です。
LINMO 3月17日受付開始
povo 3月23日受付開始
ahamo 3月26日受付開始
対応機種など少しずつ詳細が発表されてきましたが、上記以外で詳細がわかっていない点がまだまだ多いです。サービス開始にいきなり申し込みをせず、急がず様子を見るのも一つの手でしょう。自分に合っているのかじっくり見極めることも大切だと思います。
今後の各社の発展も楽しみです。