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ペン字の要点②【トンスートンという線の書き方について】

ペン字の要点ということで、デジタル化が進めば進むほどかえって希少になっていくアナログな手書き。

デジタルな現代の文字はもはや(スマホなどで)触れるという時代にまで来ているのでしょうが、文字を書くという行為は失ってはいけないものだと思います。

そんな手書き文字の一番身近なものはペン字(ボールペンや万年筆など)ですが、そのペン字を美しく書く7つの方法・考え方を述べていきたいと思います。

第2回は【トンスートンという線の書き方について】です。
基本の基本である線の引き方、ペン字では意外と徹底されていない印象を持っていますが、その辺りを詳しく解説していきます。

ペン字でも「トンスートン」をしっかりと書く

ペンの持ち方の考え方で、理に叶った持ち方をする事ができたら、次は線の引き方を知っていただきたいと思います。

トンスートンってご存知でしょうか?
ペン字でも筆ペンでも毛筆でも、文字を書く時の絶対法則として守らなければいけない筆法というものがあります。

それがよく言われるトンスートンというもので、書写の授業だったり書道教室で最初に教えられるものだと思います。

絶対法則の筆法としているように必ず守らなければいけないのですが、ことペン字に関してはそこまで徹底して言われていないように思います。

でも逆に言われていないからこそ、ペン字でもそこを徹底して練習することが美しい文字を書くことの一番の近道になります。

ペン字でも毛筆でも形が一番重要になります。書かれた結果の形の美しさがそのまま字の美しさになるのは確かですし、揺るぎない事実です。

文字はもともと象形文字というモノの形を象ったものから発生し、長い歴史の中から造形美という概念が洗練されてきたものなので、形の美しさが最終的なのは間違いありません。

ですが同じように、長い歴史の中で絶対法則とも言われる筆法というものも生まれてきました。

よく「結体は時代とともに変わっても筆法は千年変わらない」ということが言われます。これは文字の形は時代とともに変化しても(時代背景だったり流行だったり)、筆法という線の引き方は千年経っても不変である、という意味です。

この「千年経っても不変」という部分をよく考える必要があると思います。

筆法をあまり理解せずに造形のみを追い求めても、何だかよく分からない事になってしまいます。

そこで線の引き方である「トンスートン」という動きをまずは知って、それを心のどこかに置きながら書く練習をする事がとても大切になってきます。

「トンスートン」の線の書き方

それでは「トンスートン」とは何か?と言いますと、次の図のようになります。

ヨコの画を書く場合の基本的な書き方で見た事があるかもしれませんが、基本はこのようになります。

赤い線の動きのとおり、
1.始めにトンと少しナナメ気味に打ち込むように書き
2.スーっと進めていき
3.終わりのトンでまた同じような角度できちんと留める
ように書きます。

「始筆・送筆・収筆」とも言います。
終わりのトンを「終筆」と言ったりもしますが、個人的には収める筆の収筆で覚えた方が良いと思います(終わりだと気脈が途切れてしまうため)。

トメハネが大事とか言われる時のトメの止めですが、留めるとも書いているように、あくまで「留(とど)める」気持ちで収めるような気持ちで画と終わらせて、次の画へと移っていくように書くことが大事です。

また「三過節(さんかせつ)」ともいうように、1・2・3とそれぞれに節(フシ)を付けるようにして書くことが大切です。3つの動きの中に、コンマ何秒もないぐらいの時間の微小な「間」を付けて書くようにすることが書の奥義とも言えます。

そういった書き方をする中で2つ気をつけてほしいポイントがあります。

画像の中で改めてトンスートンの書き方を説明してありますが、下の部分に青い字で書いている2つのポイントをぜひ覚えてほしいのです。

・始筆を書いた後に、本線にしっかりと戻す。
・始筆に呼応するように戻す気持ちで収筆を書く。

1つめのポイントは、始筆を書いた後そのまま送筆に移っていくのではなく、本線に戻るような気持ちで書くようにすると自然と線が濃くなります。画像の始筆の部分も濃くなっていますが、このように線と線が重なるように書くことがポイントです。

2つめのポイントは、始筆に対応して収筆を書くようにするという事です。お互いに呼んだら応えるように呼応した始めと収めになるように書くということがポイントです。ヤジロベーが水平になるように絶妙なバランスになるようにとも言えます。

トンスートンは上達の一番の近道

一本の線・画を書くのにもここまで徹底する必要があるの?と言われるかもしれませんが、ペン字においても筆法はとても大事です。

トンスートンは筆法の一部分ではありますがペン字でここをしっかりと押さえて練習、書いていく事は本当に上達の近道となりますし意外に知られていない秘密かもしれません。

筆で書く場合はまたさらに大事な部分もありますが、それはまた毛筆で解説する機会に譲りたいと思います。

トンスートンは楷書では特に守らなければ様にならない重要な動きになります。逆にここさえ守れば楷書も上達が早いです。そして以外にも行書も上手くなってきます。

行書も流れるような字形であるため、流線形のイメージどおりに書いてしまい、トンスートンをつい軽視して書いてしまいがちです。ですがその流れるような筆の動きの中にトンスートンというケジメを付けて書くと上手くいきます。

そしてさらにこのことは「ひらがな」にも言えます。「ひがらな」を上手く書くコツは文字の中に留まる場所を見つけることです。これは草書の極意でもありますが、草書=ひらがな、でもあるのでこれは同じことなのです。

トンスートンを心がけると自然と留まる場所ができてくるため(というより留まらないとトンスートンにならない)、文字を美しく書くこと全てに通用してくる法則になります。

ペン字でメモ書きを書くときなど、普段書く字ではなかなか意識しない部分だとは思いますが、この心がけ一つで字は劇的に変わってくると思います。

ぜひ普段から心がけて書くようにすると良いと思います。

まとめ

というわけで【トンスートンという線の書き方について】について解説してみました。

ペン字では意外と徹底されていないこの「トンスートン」という書き方、そしてリズム感を持って書くようにする、という事を知り、それを踏まえて練習するだけでも効率良く上達できると思います。

あなただけが書ける美しいペン字の一助になればと思います。

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テキストだけでは動きの説明がしづらいので、動画でも説明いたします。ぜひご覧ください。



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