綺麗な文字の書き方(86)【心をどこか遊ばせておくこと】
綺麗な字というのはどういった字でしょうか?
・画と画の間がきちんとそろっている事
・左右が整って対称になっている事
・それらを書くときに淀みなく動いている事
などなど、形と動きが重要というのはこれまでもお伝えしてきました。
「書」というのはペン字でも筆ペン・毛筆でも、
【書いた人の精神状態が出るものです。】
しかも書いた本人との距離感ゼロ、
だから書は心画なりとか、書は人なり、という言葉で表されます。
精神状態がモロに出るということは、喜怒哀楽も出やすいという事です。
嬉しい時は嬉しそうな字、
悲しい時は悲しそうな字、
怒っている時は怒っている字になります。
線と線の集まりで字になりますが、その画の組み合わせでそんな精神状態が現れるというのは、
「書」というのは不思議なものです。
ということは、精神状態=メンタルが直で出るのなら、
心にどこかゆとりがないと良い書にはならない、
という風に私は考えています。
かの有名な弘法大師空海が書いた手紙とメモ書きが残っていますが、
なんと手紙の字よりも、メモ書きの字の方がよほど良いと言われます。
手紙はかしこまって、あらたまって、どこかしっかりと書かなければという気持ちが出ますが、
メモ書きは何の気なしに自由にささっと書かれたものです。
達人の書には、忙(ぼう・いそがしさ)の中に閑(かん・のどかさ)があると言われます。
走り書きの中のササっというるスピード感の中に、どこかゆとりがある字。
これを目指すことが、美しく良い字であるのだと考えています。
凡人である私も、この事を分かってやることが、少しでもそういった境地に近づけるのでは…と思ってやっています。
なので、普段の字でも書作品でも、
「心をどこか遊ばせる」
「ゆとりを持って」
といった心がけで書く。
ぜひ、あなたもふと思い出して書いていただければと思います。
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