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綺麗な文字の書き方(88)【シンプルな硬筆ほど難しい】

このことは書道を真剣にやっている方ほどご理解いただけるのではないかと思います。

硬筆という、エンピツやボールペン・万年筆で字を書くということは難しいです。

しかもそれを書作品という、定められた空間に上手く収めて魅せるようにすることは至難の業です。

なぜそんなに難しいのかというと、

単純に

【ごまかせないから】

です。

これは小さい楷書を並べて書く「細楷(さいかい)」もそうなのですが、とにかく誤魔化しがまったく効かず、本当の意味での技量が問われます。

また

【読めてしまう】

というのもあります。

文字はそもそも読めなければ意味がないものですが「達筆過ぎて読めない」ということが言われたりします。

これはそんなに綺麗な字ではないけれど、なんだか上手いっぽい?的なことに対して言われたりします。

書は、とくに書作品では、行草書・篆書で書くことも多いですが、専門の勉強をしなければ読めません。(ぶっちゃけ読めないのが良しという謎のノリも書道の世界には存在しますが…)

硬筆は上手っぽい?が通用しない、ガチの分野でもあると感じます。

さらに

【コントラストが出せない】

というのもまた厄介さを増しています。

毛筆で書く最大のメリットは、細い太いを出せるということ。

黒と白のコントラストで表現する美やテクニックは書作品におけるとても重要な要素です。

それらがほとんど使えない硬筆は、本当に最高難度です。

こういうわけで、硬筆はなぜそんなに難しいのか?を少し考えてみました。

ただ真の基本が無ければ書けないからこそ、書をやる人の本当の技量が試されるのではと思います。

書道展では作品の釈文という、作品説明が書いてある紙がたまに手書きで書いてあるのがあったりしますが、それこそが書家の真の実力をみる良い機会だったりします。

私自身も硬筆は得意とは言えませんが、硬筆こそ上手くなければ…という思いでやっています。

でも、逆に硬筆は難しいわけでそこは分かっておく必要もあると思います。

上手く書けなくても大丈夫!

という気持ちで書くようにしています。

ここをお読みのあなたも硬筆を書いていたらぜひそんな気持ちで書くようにして下さい。

上手くなんて誰にも書けないのが硬筆です。

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