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綺麗な文字の書き方(76)【穂先を出さない=書の奥義】

穂先という、筆の中で一番長い毛の部分=命毛(いのちげ)が、

線の外に出ないように書く。

このことは恐らくは聞いたこともないかと思います。

私は最近、篆書(てんしょ)という原初の漢字を本格的にやるようにしているのですが、

やりはじめてそうではないのか?

という事に気づき始めてきました。

篆書は穂先を絶対に出して書いてはいけない文字です。(なのでハネ・ハライが無い。)

筆の中で一番長い毛の部分=命毛(いのちげ)が線のほぼ中心を通る書き方、

「中鋒(ちゅうほう)」と言いますが、

その中鋒成分が100に近い状態で、どの線も書かなければなりません。

私は本当に美しい文字というのは、篆書の線の引き方をマスターしてこそと密かに思っているのですが(なので全ての書体をまんべんなくやるようにしています。)、

この線の引き方で、楷書や行書、草書を書くようにすると、また一段上の書が書けるようになると感じます。

書道をする方は、得意な書体だけをやるような傾向があると思います。

楷書から始めて、行書・草書をするというのは一般的です。

気を付けないといけないのは、

「隷書・篆書は書体やフォントの違いではない」

という事。

線の並べ方は時代とともに変化しても、

線の引き方だけは千年変わらない、

という言葉があります。

この不変である線の引き方を理解するためにも、篆書をやってみること。

何も大きな作品を書いたり、専門的な知識を勉強する必要はありません。

有名で好きな篆書を臨書するようにするだけでも良いと思います。

少しずつてもそうしていくことで、

「穂先を出さないことが書の奥義」

という事が実体験として理解できるようになると思います。

ぜひ、篆書もやってみる事をオススメします。

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