アイドルを推したことのない人間がアイドルの武道館ライブに行ってみた
今までの人生において、アイドルと呼ばれる職業の方を明確に推した経験が無い人間ですが、先日生まれて初めて「武道館でアイドルのコンサートを見る」という経験をしてきました。
【前回までのあらすじ】
鑑賞させていただいたライブは、2024/11/1に開催された、ファントムシータ 1st LIVE「ハイネ」です。
前回の記事にも書いたのですが、最近ファントムシータというアイドルの存在を知り、youtubeでMVを見たり音楽を聞いたりしていました。
私にとってホラーというジャンルは小説やゲームでも特に好きなジャンルのひとつで、「レトロホラーアイドル」というコンセプトはもしかしたら私の好みかも? と思って色々調べていた際、1stライブを武道館で行うことを知りまして。
これは、今まで経験したことが無いことをするチャンスなのでは?
武道館でアイドルのライブを見るという人生の実績を解除するのは今なのでは?
そう思い立ち、すぐさま前売りチケットを購入した次第です。
前知識の程度
私が経験したことのあるライブやコンサートと言えば、バンドのライブや、二次元ジャンルの声優さんが出演するライブ(アイドル系だと友人に誘われてMマスのライブビューイングを一度見た事があります)、ピアノのコンサートなどであり、三次元アイドルのライブ、ましてや武道館という有名な箱でアイドルのライブを生で見た事はありませんでした。
要はアイドルのライブならではの「お約束」や「あるある」については、知人から聞いたにわか知識しかありません。
実体験としては持っていません。
公式様のライブ参加の注意事項に一通り目を通した時点では声優ライブと似ているという印象で、とりあえず公式ペンライトさえあればどうにかなるかもしれないなと割と楽観的でした。
物販に並ぶ
流石の私も別ジャンルのペンライトを持っていくわけにはいかないくらいの認識はありましたので、公式ペンライトを入手すべく物販に並びました。
いや正直想定よりも並んだ。
美女と野獣よりは並ばなかったけどホーンテッドマンションくらいは並んだ気がする。
それだけ(1時間半くらい)ぼんやりしていたので、周囲を観察する時間は十分ありました。
老若男女様々な方が参加していて既にワクワク。
良い音楽には年齢も性別も国境も関係ないからね。
やはり事前の予想通り、推しのメンカラ統一や痛バを所持している方が沢山いました。
これはジャニーズファンの友人からも良くあることだと聞いていたし、二次元ジャンルのライブでも同じなので実家の様な安心感。
あと、これもやっぱり老若男女関係なく、ファントムシータっぽい恰好をしている方が多い印象がありました。
要するに
「黒いセーラー服っぽい服を着る」とか
「赤いリボンを身に着ける」とか
「和風の服を着る」とか
和風の柄やデザインの服を着る、というのは誰でも取り入れやすくて良いですね。
これが、バンドのライブではあまり見ない光景だな、と思いました。
バンドだとシャツ(ライブT)&パンツがマストですからね。
二次元コンテンツでも推しのメンカラや推しのモチーフイメージでファッションを揃える人は沢山いますが、「世界観」イメージで揃える人はそんなに見ないかなと。
特にファントムシータは世界観設定が明確に存在しているので取り入れやすいのでしょう。
バンドじゃあまり見ないと言ったけれど、V系バンドだといたりするのかな?
V系のライブに行ったことが無い(Fantôme Irisくらい)のでこの辺は明るくないです。有識者の方教えてください。
しかしなんかこう……全体的に皆さんの鞄がでかい。
スーパーの特売でマイバッグに気合い入れて来たおばちゃん並みにでかいトートバッグの方なんてもうめちゃくちゃいるし、登山でもするんか? ってくらいでかいリュックの方もいた。
いずれも1泊分くらいの荷物は入りそうだった。
私普段使いのショルダーバッグで来ちゃったよ。
あれ中身何入ってるんですか?
ペンライトとかうちわとかで合ってますか?
武道館に入る
若干雨が降っていたので、入場開始して直ぐに中に入りました。
VIP席、S席、A席とあり、私はA席だったので階段をのぼって上の方へ。
武道館に行ったのが初めてだったので階段の急さに若干ビビりましたが、河口湖ステラシアター程ではなかったので席に着いたら安心しました。
↑ 上の方の足元はちょっと不安だった河口湖ステラシアター様。半野外なので花火を上げられるのが◎ポイント。野外ライブでの花火ってはしゃいじゃうよね。
上の方のA席とは言いましたが、着席した時「え、全然良いじゃん!」と思いました。
確かに遠いは遠いのですが、視界が良くてステージは全体が見通せたし、モニターも見やすい。
そもそも「武道」館なので、ステージはどの席でも見やすいように出来ているのかな?
この時点で更に大分ワクワクしており、一人でメンカラの確認をしていました。
やっぱりメンカラは把握しておいた方が楽しいだろうからね。
アイドルならでは感が強い文化だよなあ。
実際は、ライブ開始後に突然不安になったので周りのファンの皆様が光らせている色を逐一確認していたんですが……。
すみません、流石に今は復習したこともあって覚えました。
ライブ開始
会場のライトが落とされ、その場を照らすのはペンライトの光のみ。
これがめっちゃくちゃ綺麗で、ちょっと感動しました。
ファントムシータの色である赤を照らす人、推しのカラーを照らす人、様々で、プラネタリウムみたいにキラキラしていた。
そして、怪忌蝶が舞う演出映像と共にステージに登場するファントムシータの皆様。
デビューシングル『おともだち』のまさにホラーと言った歌詞、演出、ダンス、歌声で会場を圧倒してからはそのまま蠱惑的な恐怖の館をジェットコースターのように駆け抜ける、そんなライブを楽しませていただきました。
オリジナル曲は勿論、カバー曲の選曲も素晴らしかった。
昭和歌謡曲から近年の曲まで幅広くカバーしていらして、でもそれらを選んだ理由が、にわかな私にも何となく伝わる。
個人的に印象深かったカバー曲について書きます。
好き好き大好き
浅学なもので、この曲を既にカバーしているとは存じ上げず、前回の記事で「ファントムシータの曲を聞いていると好き好き大好きを聞いている時の様な気分になる」とか記載していました。
ファントムシータの皆様は『君と××××したいだけ』のMVなどから分かるように、曲に合わせた声音の作り方、表情の作り方が上手な方ばかりなので、好き好き大好きはとても似合っていました。
愛してるって言わなきゃ殺す系女子好き。
各ソロカバー
もなさんの『SWEET MEMORIES』
凛花さんの『少女A』
百花さんの『歌舞伎町の女王』
美雨さんの『ジャックポットサッドガール』
灯翠さんの『ちゅ、多様性』
いずれもなんか、こう、似合う!
メンバー皆さんのキャラクターをしっかり存じ上げているわけでは無かったのに、歌い始めたら「似合う選曲をしているんだな」とすっと心に入ってきました(そしてそれはアンコール後のラストのMCで確信に変わることになります)。
この辺りはアイドルならではの世界観づくりの上で成り立つものなのでしょう。
サイレントマジョリティー
欅坂46の曲は、アイドルに明るくない私でも知っている曲がいくつかあります。彼女たちの世界観も結構好きでした。その中でもフルで脳内再生出来るくらい聞いた曲のひとつがこれだったので、テンション上がりました。
サイレントマジョリティー、改めて見るとこのダンスをやり遂げるだけでも、最後に表情づくりなんて出来ないくらい疲れそうなのによくやり遂げましたね……アイドルってすげえな……。
なんてったってアイドル
アンコール後のカバー曲です。
もうここまで見たのですから、彼女たちが「異端な存在」をテーマにしているとはいえ、間違いなく「アイドル」であることを知識ではなく感情で分かり始めていたので、もうそりゃそうだよな! と思える選曲でした。
最後のMC
これはアイドルならではの文化かも……! と思ったのが、ファンの方々に対して、感謝以外にも「愛」を伝える言葉を皆様が仰っていた点です。
アイドル以外でも言わないことは無いのですが、アイドルから出てくる「愛している」とそれ以外の方から出てくる「愛している」はニュアンスが少し違うのかもしれない……?
これ、ちょっと言語化が難しいのですが。
メンバーの皆さんの声音やニュアンス以外に、ファンの皆様の反応も見た上での感想なので。
ほら、ロックバンドが「お前ら愛してるぜ!」と言うのと、アイドルが「皆さんひとりひとりのことを愛しています」と言うのは、なんだかちょっと違う感じしませんか。いや本質的には同じなのかもしれないんだけど。
なんだろう、難しい。伝えるのが難しい!
あくまで私の感覚なので、間違っていたらごめんなさい。
そしてこれが本項の本題ですが、各ソロカバーの選曲が似合う気がする、と漠然と感じていた理由を、アンコール後の最後のMCで理解しました。
アイドルを目指していた理由、オーディションを受けた理由、これまでの自分、アイドルになってからの自分、今日この日ここに立っている自分……バラバラの人生を送って来た人間が、ファントムシータというグループを通じて出会って、表現者として武道館のステージにいる。
その思いを語っていらっしゃって、それを受けた時に、今の彼女たちを表現するのに適した選曲だったのだと。
この辺はごめんなさい、明確に文字起こし出来る自信が無いので割愛させていただきますが、想いを吐露する皆様のことはしっかり覚えています。
私は、ファントムシータというアイドルをごく最近知りました。
メンバー皆様の名前、お顔、メンカラ、ついこの前まで覚える事すら出来ていない状態でした。
でも、このライブを通しただけで覚えました。
そのくらい皆様ステージ上での自己表現が素晴らしかったんですよ。
良い意味で特定の人物だけが突出していなくて、良い意味で纏まっていて、良い意味で世界観にエッジが効いている。
この日、私は間違いなく、一つの芸術品を見せて頂きました。
アイドルの武道館ライブを見て
結論から言えば楽しかった、行って良かった。
そう思えるライブでした。
私はアイドルという職業について、まだ理解が深くないと思います。
それはライブを見る前もだし、今だって色々なアイドルを見て来た方々と比較したら全然知識も経験も足りない。
でも、このファントムシータのライブを通して、少し解像度が上がった感覚がありました。
それは理屈の話ではなく、「マリーの部屋」という思考実験に似た話です。
要はクオリアですね。
百聞は一見に如かずってやつです。
現時点での私の見解として言えることは、やはり私はアイドルを他のアーティストと同じような視点で見ていて、それは決して間違ったことじゃないという事です。
ピアニストがピアノと弾き方で表現するように、画家が絵画で表現するように、アイドルは歌とダンス、表情やファンサービスで表現するんだ。
それを、アートのひとつとして楽しむことは、アイドルが表現するものを楽しむ方法のひとつと言っても別に悪い事ではないと思いました。
良いかな? 良いと思いたい。
少なくとも私はそのような楽しみ方を、今回のライブでさせていただきました。
以上、アイドルを推したことのない人間がアイドルの武道館ライブに行ってみた感想でした。
ここまで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
鑑賞を終えて今
現時点で私は間違いなくファントムシータの曲やパフォーマンス、コンセプトが好きだと感じています。
しかし、特定の推しメンがいますか?
アイドル推しの方っぽい推し活をする予定がありますか?
と問われると、まだ推しメンはいませんし(5人とも歌もパフォーマンスも良いなと思ったので、強いて言うなら全員好きです)、アイドルっぽい推し活(アクスタ買って写真撮影したり痛バ作ったりライブ用にうちわ作ったりすること)はする予定がありません。
強いて言うならば、ふと思い出したときに印象深かったよなぁと思うのは、美雨さんの表情づくりです。
特にジャックポットサッドガールはソロという事もあって存在感が凄かった。
ジャックポットサッドガールってこんな歌い方できるんだ、と思った。
いや皆素敵だったの。
一挙一動からプロ意識が伝わってくるもなさんも、
独特の妖艶な色香を醸し出す凛花さんも、
表情づくりとパフォーマンスがカッコいい美雨さんも、
可愛らしさと危うさの表現が魅力的な灯翠さんも、
歌もダンスもとんでもなく上手い百花さんも、
全員印象に残っています。
その中で、今この文章を書きながら、何も意識せずにふっと思いだされたのがジャックポットサッドガールのソロでした。
そんな現時点での感情、書いておいても良いかなと思って記録します。
表情づくりについては『ゾクゾク』のMV見た時も思ったな。
美人サマのお通りだぞ、皆。
ていうか今プロフィール拝見して思ったんですけど、もしかして学生やりながらアイドルやってらっしゃる方もいます?
凄いな。私同じような年齢の頃何してたっけ?
世の中には沢山の凄い人がいるんだな……。
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