お願いだから助けてください

エンテべ国際空港の駐機場に止めてある小型飛行機に向かって歩いている。

ガチガチである。今目の前にある30人ほどしか乗せれない空飛ぶ金属の塊は私がこれまで乗った中で最も小さいサイズだ。

下にあるリンクを先に読んでいただけるとありがたい。

https://note.com/syogokarafukegao/n/n666201104311

「アフリカン4DXとは」という記事に私が体験してトラウマ化したことが書かれている。

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2020年1月6日、未来ドラフト2019というアイデアコンペティションで優勝したアイデアを実現しに、アフリカはウガンダ共和国に来ていた。

南スーダンとの国境近くにある、南スーダン難民が集まる場所に行き、歯磨き指導をするという内容のものである。

首都カンパラから北西部の街アルアまで、空路で行くということになっている。イーグルエアという主に国連関係やNPO団体の職員を対象に運航している航空会社ということだった。

もちろんイーグルエアが信用できないと頭ごなしに言うつもりはない。しかし、ジンバブエ‐マラウイ間の移動の際に使ったマラウイアン航空での出来事から私は心底この小型機に乗りたくなかった。小型になればなるほど揺れると思っている。

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乗る前に配布されたパンと水を座席ポケットに入れて窓側の座席に座った。

搭乗してから一気に緊張感が高まってきた。頭の中ではあの記憶がフラッシュバックを繰り返している。例のごとく、手汗と足汗が出はじめ背中も発汗しだした。まだ動き出してもいない機内で、である。

(あぁ…俺の人生はついにここで終わるのか。皆とともに、この飛行機とともに)

(江戸時代末期に苗字を授かって以降、私の家は三重県で生を繋げてきた。父方の祖母は東京大空襲の際、焼夷弾の雨から逃げ惑う群衆の中の一人だったそうだ。そして父方の祖父は徴兵されて満州へ行っていたという)

(幾度となくどうしようもない困難と対峙し、生きながらえてきた我が家に生まれたお坊ちゃんは、高校生のときの北海道に対する憧れから北大進学を選び、私の母と出会ったという)

(人類が誕生して600万年とも700万年ともいわれるが、長い間繋げてきた営みの原点がここアフリカにある)

(私は家族や支えてもらった方に心から感謝している。様々な経験をさせてもらった。私を支えるためにどれほどの苦労があっただろうか)

(言うまでもないが、これから私は人類の出発の地に帰り、私の遠い先祖の方々と同じ極楽の世界に行くことになるだろう)

(私は十分なほど幸せな人生を歩んだと胸を張って言える。21年という短い期間ではあったかもしれないが、これほどまでに自分のやりたいことをさせてもらえる家族に生まれたということは幸せな証である)

(みんなありがとう)

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滑走路に着いたその機体は、勢いよく発進し離陸に向けた助走を開始した。

先ほどまでは、もう生の可能性は薄いと悟り家族に対する遺言を考えていた。そして走馬灯のように幸せな思い出を回想していた。

しかし、助走が開始されて、ふわっと浮く瞬間には全力で生きることを望んでいた。

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(どうかどうか、お救いください、神様)

(全力で謝ります。今まで存在すら信じていなかったことを。でも今日から頑張ります、たぶん)

(もしあなたに私を救う力があるのなら、お願いします。今日のフライトだけでも安全に揺れずに目的地まで僕らを運んでください)

(私は帰国したら聖書も買うと思うし、モスクにも行けるはずです。もちろんお寺に行って座禅を組むこともできる限りする方向性で考えています)

(だから、いまは世界中の神様にお願いです。苦しむ可哀想な子羊同然の僕を救ってください)

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そのとき私はキリスト教徒となり、ムスリムとなり、仏教徒にもなった。もちろん神道の八百万の神にもお願いしたつもりだ。

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そして、一度も揺れず寸分狂わず着陸したとき神様って本当に居るのかなと思えた。

God is exist!!!! maybe

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