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【017】「夢を覚ます国」2023年7月の日記➀

日記を再開することにした。直近の最終更新は九月なので、五か月のビハインドがある。つまりは七ヵ月前から”いま”に追い付いていく決意をしたってことだ。なぜ更新停止期間が五か月なのに、七か月前の事を書こうとしているのか。もはや日記の定義について切り込んでいく活動になりつつある。

まずは何よりも先に7月に何があったか思い出す必要がある。
こういうときにGoogleの存在は有り難い。Googleフォトを開けば、7月に何をしていたかがすぐに分かる。

「山笠」というイベントがあったらしい。どう見てもミニチュアにしか見えない。

2023年7月と言えば何があったか。
聡明なあなたならすぐに理解することだろう。
そう、宮崎駿監督の新作「君たちはどう生きるか」が公開されたのだ。

とても好みな作品だった。筋書きの全てに得心がいったとは言えないけれど、映像にはたくさんのモチーフが詰め込まれており、単純なストーリー作法の論理では説明が難しい「泣ける展開」がいくつも見つかった。

作品のラストで主人公がポケットに入れて持ち帰った「石」は映画から視聴者が受け取ったであろう「何か」であり、それは時間の経過とともに忘却に呑まれていくのだろうけれど、たとえ忘れたとしても人生の一要素として溶けていく。米津玄師の主題歌「地球儀」も素晴らしかった。

歌詞の『この道が続くのは 続けと願ったから』が泣けるんだよな。
結局二回観に行きました。あとはお母さん役の声優があいみょんだったことに驚いた。サギ男の声優が菅田将暉だったのにはもっと驚いた。


それと7月は中学からの友人と一緒にディズニーランドに行った。数年ぶりだ。五年ほど前に会社の同期とディズニーシーの方に行ったとき以来かな。7月の夢の国、熱すぎるし広すぎる。熱中症ってホントに存在するんだ……。

プーさんの養殖場
ベイマックスの詰め合わせ

全部楽しかったのだけど、一番思い出に残ったアトラクションは「美女と野獣」だったかな。2020年4月に出来たばかり(ばかり?)で、ランドの中では比較的新しい施設のはず。何より好みだったのは、演出に使われたエンタメテクノロジーの進歩の鮮明さだった。

たとえば、ライド前の待機列で垣間見れるシーンのひとつに、野獣が美女を晩餐会に無理やり誘おうとするシーケンスがある。その場面を通路の陰から覗き見するコグスワース(時計)とルミエール(ロウソク)の模型が動く姿を鑑賞できるようになってるのだけど、ぱっと見ではその模型がどういう原理で稼働しているのか分からなかった。異様なほどに生々しく駆動していた。

キャラクターの造形は物理的に存在しているように見える。しかし表情があまりにも豊かに遷移しすぎている。キャラの形に成形されたディスプレイなのか、はたまたプロジェクションマッピングの応用なのか。これは是非実際に見て欲しい。まるで魔法のように見える。大変に興奮した。

しかしそこに存在しているのはアイデアと技術の集成である。ディズニーランドに限らず、大規模な遊園地へ訪れる度に思い知らされる。夢を現実として構築するためのテクノロジーが駆使されている。それを一つの体験として落とし込むためのアイデアの匂いが充満している。

このアトラクションにはどれだけの時間が投入されたのだろうか。どれだけのエンジニアの現実時間が練り込まれたのだろうか。

「君たちはどう生きるか」も同じだ。映画にもたくさんの人間の覚醒時間が投入されている。夢と呼ばれる物体を出力するために、夢の時間が削られてきた。

僕は夢を見せられる側だ。僕のような人間を大衆と呼ぶ。
その圧倒的な「夢」は、現実の力で僕を夢から醒ます。

しかし、またすぐに眠りについてしまうのだな。
次に目を覚ましてくれるのは、いったいどんな夢だろうか。

(おわり)

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