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ウクライナ戦争とは

昨年末のサンデー毎日に、舛添要一と田原総一郎の対談が載っている。
それによると、
舛添「はっきり言って、米国との代理戦争だ。一番悪いのはバイデンだと
   思っている」
田原「米国の責任は重い。90年の東西ドイツ統一でNATOを東方に拡大
   しないと約束したのに守らなかった」
そもそもウクライナとはどんな国なのか。

〇ウクライナとは
 ソ連邦から離脱・独立した時、ウクライナの人口は約5200万人だったのが、ロシアが侵入した時、2022年2月24日には約4800万人。その後戦争の激化に伴い、外国に脱出した人々が約800万人。これじゃ国家の体を成さない。
 政府とは国民の生命・財産を守ることが仕事なのだが、ウクライナの政府は腐敗・汚職を本業とし、国民の生活には力を入れなかった。そのために政変がしょっちゅう起きて、安定した政治は長く続かず混乱するばかりで、ロシアの侵入直前には国家が自然崩壊寸前だったという。そんな時にプロの政治家に絶望した国民は、素人のゼレンスキーを大統領に選出したのだった。
 ゼレンスキーは喜劇俳優で、大統領になってみたものの行政経験の豊富な側近はゼロ。ブレーンのほとんどはテレビや映画の仲間だったというから話にならない。つまり「バカ殿様」という訳である。であればこそ、アメリカの謀略機関「CIA」にそそのかされた訳である。元外務省国際情報局長の孫崎亨は、サンデー毎日に次のように書いている。「ウクライナは21年10月下旬、ロシアが支配する東部地域への攻撃にトルコ製ドローンを投入しました。これは明らかに挑発です。プーチンはこの挑発にまんまと乗り、侵攻に発展したのです。ウクライナの挑発には米国の影が見え隠れします」こうしていつ終わるか不明の戦争が始まった。

〇アメリカとは
 アメリカという国を理解するには最適の本がある。
 『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』(一)(二) 
     著者 オリバー・ストーン ピーター・カズニック 早川書房
  (一) 副題 二つの世界大戦と原爆投下
  (二) 副題 ケネディと世界存亡の危機

 何を書いているかというと、ウィルソン大統領から最近のオバマ大統領の業績である。合格点をもらっているのはルーズベルトとケネディの二人だけ。ニクソンは狂人だったと決めつけている。圧巻なのは、元国務長官キッシンジャーがCIAを使って、合法政権であるチリのアジェンデ大統領を倒したり、ベトナムでトンキン湾事件をでっち上げたりといったアメリカ政府のでたらめな政策を徹底的に暴いているところである。
 ケネディ暗殺事件については(二)で詳しく書かれているが、要するにアメリカは軍産複合体という闇の勢力に支配されていて、彼らにとってケネディは邪魔だったということであり、歴代の政府は常に軍産複合体の影響を受けているということである。日米安保条約というまやかしの下に生きている我々にとっては、この本は必読の書である。
 アメリカは第二次大戦後一人勝ちとなり、世界の警官を自認して世界各地で好き勝手なことをした。その代表的な例が、世界一の銅山を所有するアメリカの会社を守るため、合法政権のチリにおいて、右翼をそそのかしてクーデターをやらせることでアメリカ資本を守ったり、グァテマラでは、アメリカの大農園のためにアメリカ軍による上陸作戦を強行し、グァテマラの中道左派政権を倒したのだった。この時、アメリカの一人の兵士が次のように言ったという。
 「なぜ我々は富裕層のために死ななければならないのだ」

 日本は太平洋戦争でアメリカに惨敗し占領された。その結果、日本はアメリカの意のままに動く国になってしまった。味をしめたアメリカは世界の国々を日本のようにしようと思った。フランスの植民地だったベトナムは、ディエンビエンフーの戦いでフランスを惨敗させた。だがアメリカは、「フランスがベトナムから撤退すれば、ベトナムは共産化する。ベトナムが共産化すればアジア全体が共産化する」と勝手な理由をつけて、ベトナムに攻撃を開始したのだった。結果は約300万人のベトナム人が死に、約5万人のアメリカ兵が死に、アメリカ軍はベトナムから撤退したのだった。
 ベトナムで懲りたかと思うとさにあらず、イラク・アフガニスタンで戦争をやり、今はウクライナである。イラクは当時国連の一員であり、主権国家だったにもかかわらず、国連決議の無いまま大量破壊兵器を持っているとして、フランス・ドイツの反対を無視しイラクに武力行使したのだった。終わってみればイラクに大量破壊兵器は無かったということになり、アメリカは巨費を使って戦争をやって世界の笑いものになった。当時のアメリカの副大統領チェイニーは、巨大な軍需会社の大株主だったそうである。アフガニスタンでは20年間に20兆円の金を使ったそうである。

 ウクライナ戦争はどうか。再び孫崎の説明を聞こう。
 「バイデン政権は軍事産業の支援によって成り立っています。現在のオースティン国防長官の前職はレイセンの取締役です。レイセンは世界第二位の売り上げを誇る巨大軍需企業で、ウクライナで使用されている兵器の多くはこの会社の製品です。戦争が長引けば、儲かるのはバイデンとアメリカの巨大軍需産業です」
 これじゃウクライナの青年は何のためにロシアと戦っているのか。彼らにとっては祖国防衛が第一であって、手段はこの際問わないということなのだろうか。アメリカの退役軍人の相当数がこの戦争に参加しているそうだが、アメリカやNATO諸国から送られた最新兵器は、ウクライナ軍の兵士には操作が難しいこともあるのだろう。
 他方最近の報道によれば、ウクライナ軍の国防軍の大臣が、兵士の食糧費をピンハネしたのがバレてクビになったとか。政府高官が汚職で次々とクビになっているというニュースが伝えられている。先日のNHKの時事公論では、兵士を召集するある州の警官は、賄賂をとって彼らを召集せず、スペインに数億円の豪邸を建設して役所をクビになったと言っていたが、一体全体ウクライナは本気で戦争する気があるのだろうか。
 最近あまり報道されていないが、ウクライナ市民の相当数が国外へ脱出しているそうで、その数は数百万人ともいわれている。ロシアの攻撃でガス・水道等が破壊され、もうじき二回目の寒い冬を迎える。ウクライナの人々は国外に出て行く他に生きる方法は無いのだろう。

〇アメリカの失敗
 アメリカはロシアとウクライナを戦争させ、ロシアを崩壊させるまではいかなくとも、足腰の立たないようにするのが目的だった。
 ソ連が崩壊した主な原因は、長期間にわたるアフガニスタンの占領で巨額の資金を費やし、ソ連の財政がピンチになったことによると言われている。また現在のロシアの国民総生産は、韓国とほぼ同じと報道されている。したがって、アメリカやNATO諸国の軍事援助と経済制裁でロシアは遠からず降参するだろうというのがアメリカの読みだったに違いない。ところがアメリカの予想は全部はずれてしまった。ロシアの経済は一時下降したものの、今では安定した状態で国民の生活水準も以前とほぼ同じである。国民総生産は韓国と同程度というのも嘘であった。もちろんロシアもただでは済まない。予算の多くは戦争のために費やし、インフラ整備・教育福祉は後回しにされているだろう。それでも戦争に必要な工業力は維持しているのだから、アメリカ・NATO諸国の支援で戦争しているウクライナとはえらい違いである。ある本によると、ウクライナ政府の一部の職員の給料はアメリカが負担しているという。また、経済制裁はアメリカ・NATO諸国は参加しているが、インド・イラン・南アフリカ・ブラジル・インド・インドネシア等の新興国の有力国は参加していないのもロシアを元気づけている。中国はロシアと一体化しつつ、ロシアを支援しているのは当然であろう。なぜならロシアがアメリカに潰されたら、次は中国が狙われるからである。

 先般の国連総会のゼレンスキーの演説の時は空席が目立ち、しらけムードだったとテレビは報道していた。アフリカ・アジアの国々は食糧が手に入らず、多くの国民は困っているという。早く戦争をやめろというのが、彼らの気持ちであろう。しかし、戦争は5年から10年は続くかもしれないという学者もいる。戦争が一日でも早く終われば、それだけウクライナの復興は早く容易になるだろう。そう考えるならば、ウクライナはロシアの占領地全部を取り返すなどと言わず、ロシアとどこかで早く妥協した方が利口だと思うのだが・・・。来年の大統領選でトランプが勝てば、ウクライナから手を引くと言っている。アメリカの世論調査では、ウクライナから手を引けという意見が半数を超えている。そんな状況下で、アメリカやNATOの兵器でいつまで戦えるのか・・・。アメリカはウクライナの内紛に手を出し、ロシアとの戦争をけしかけ、失敗したというのが私の見方である。皆さんはどう思いますか?

 アメリカに関しては、フランスの学者は次のように言っている。
 「大統領選などより、アメリカのCIA(中央情報局)とNSA(国家安全保障局)とか、金融システムとか、それから無責任なエリートとか、それを含めた全体についての方に注目すべきじゃないか」

〇いつ終わるのか
 9月23日の新聞報道によると、ウクライナ軍はクリミア半島に攻勢をかけているという。特にロシアの黒海艦隊の基地、サヴァストポリスに打撃を与えたという。サヴァストポリスは日本で言えば明治維新の直前にロシアとトルコの戦争があり、若き日のトルストイが銃を持って戦い、詳細な記録を残した地であり、ロシアの魂の宿る地なのだそうである。そこを攻撃されたロシアが黙っているはずがない。数日中にオデッサを集中的攻撃するのではないかと私は思っている。アメリカは300Km航続可能なミサイルをウクライナに供与することを決定したという。ますます戦争はエスカレートしてしまう。だが、来秋のアメリカ大統領選挙が分岐点になるのではないか。バイデンのスポンサーの軍事産業がいくら強力に応援しても、アメリカ国民の半数はウクライナ支援に疑問を持っているのだ。世論を無視してバイデンはウクライナを支援するのだろうか。ロシアは大国とはいえ、一年半以上戦争を続けていては、諸々の面で苦しくなるだろう。とすれば、来年の秋ごろには停戦が実現するかもしれないと思うのだが・・・。それもこれもウクライナが国として成立し続ければの話であるが。ウクライナは戦争開始以前に中産階級は消滅していたという。ある学者が言うには、中産階級が存在しない国は存立できないという。政府高官は汚職が大好きで腐敗し、召集令状を発行する役人は賄賂漬けとあっては、真面目に戦っている兵士はどうなるのだろう。今でもウクライナから外国へ脱出する人々が後を絶たないそうである。アメリカもえらい所に手を出したものである。

以上、私の感想を書いた次第である。これを書くにあたっては、次の本を参考にしました。

―ウクライナ戦争の嘘
手嶋龍一 佐藤優 共著 中公新書ラクレ

―世界史を変えたスパイたち
池上彰 日経BP

―問題はロシアよりむしろアメリカだ
エマニュエル・ドット 池上彰 共著  朝日新聞出版

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