
#43『”あなたを待ってる時間が好きだから”SHISHAMO「深夜のラジオ」を語る』
今回は2013年11月13日にリリースされた1stアルバムSHISHAMOの7曲目に収録されている「深夜のラジオ」について語ります。
簡単に説明すると”付き合っている彼からの連絡を待っている女の子の心情”がテーマに描かれています。残念ながらMVはありませんがYouTubeにて音源がありますので載せておきます。
それでは語っていきます。
一番Aメロの歌詞
鳴らない電話 いつものことだけど
こんなに毎日 寂しい思いはしたくないよ
主人公の女の子は彼からの連絡を待っていることがわかります。「いつものことだけど」というフレーズが入っていることから普段から返信が遅いタイプの彼だということが読み取れますよね。連絡を取り合う頻度って人それぞれ感覚が違うことだから難しい問題ではありますよね。
「こんなに毎日 寂しい思いはしたくないよ」と主人公の女の子は毎日連絡を取り合いたいということがわかります。彼のことが大好きなことが伝わってきますね。
一番Bメロの歌詞
どうしてあなたはその携帯を 肌身離さずに持ってるの
私に電話もしないくせに
「どうしてあなたはその携帯を 肌身離さずに持ってるの」というフレーズ。彼と会っている時に彼は携帯をこまめにチェックでもしてるということでしょうか?そうだとしたら怪しい行動ですよね。「私に電話もしないくせに」と主人公の女の子が彼の浮気を疑いたくなる気持ちもわかりますよね。
一番サビの歌詞
今夜も私は起きてるよ
あなたからの電話 深夜のラジオを聴きながら待ってるの
彼のことを疑いつつも、気長に連絡を待ってる主人公。健気な女の子だなと思います。タイトルにもなっている”深夜のラジオ”がここで登場しますね。
二番Aメロの歌詞
深夜のラジオのパーソナリティでも
恋の魔法はかけてくれないの、ねえどうして?
ラジオでもなんでもいいから恋愛が上手くいくようなおまじないをかけてほしいという願望ですよね。彼との関係が上手くいってないからこそのフレーズなのかなと思います。
二番Bメロの歌詞
君の発信履歴には私の知らない女子の名前とか
そんな根拠のない悲しみも あなたのせいででてくるのです
一人ぼっち私ばかみたい
彼があまりにも連絡してこないが為に、良からぬ想像までしてしまう主人公。ここまで考えてしまうような恋愛はしんどそうですよね。連絡をおろそかにしている彼がきっと悪いんでしょうけれど、主人公も何の根拠もないのに彼を疑ってしまう辺りがやや束縛気味になってしまっているようにも思えてきますよね。
二番サビの歌詞
ねえ「なんて健気な女だ」
私のこのみじめな気持ち全部受け止めてよ
その腕で
太陽が昇ってきたのに あなたからの電話
私ずっと待ってるのよ
ばかみたいね
「ねえ「なんて健気な女だ」私のこのみじめな気持ち全部受け止めてよ その腕で」というフレーズはきっと私のことを好きでいてくれてるか不安だからこそ出てくる言葉ですよね。とにかく彼の気持ちが私から離れていないか安心したいという心情が描かれているように思います。
その後の太陽が昇ってくる時間帯まで連絡を待ち続けているのは正直重いですよね。睡眠時間を妨げてまで連絡を待ってしまうというのは、好きだからこそかも知れませんがちょっと怖いなと思ってしまいます。恋愛って時に人を狂わせてしまうような一面もあると思うんです。そういう意味でも彼という存在によって段々と乱れていく主人公がリアルだなと思います。
Cメロの歌詞
あなた今日はなにしてるの? なにしてるの? 教えてよ
私今日も想ってるよ
あなたのことを あなたからの連絡を
彼と会えない時に他の相手と会ってるんじゃないかと不安になっているようですね。もう完全に彼に依存してしまっているんだと思います。「私今日も想ってるよ あなたのことを あなたからの連絡を」がまた重いですよね。
最後のサビの歌詞
だけど時間がもったいないなんて思えない
あなたを待ってる時間が好きだから
だけどこんな私の気持ちなど あなたは知らないで
きっとスヤスヤ眠ってる ばかみたいね
これまでの歌詞を見て主人公は恋愛に溺れて客観的に自分のことを見れなくなっているのかなと思っていましたが、「だけど時間がもったいないなんて思えない あなたを待ってる時間が好きだから」と太陽が昇ってくるまで待っている自分のことを傍から見たらおかしいと思われることも実は分かった上で彼の連絡を待っていたんだなと思うとかなり健気な女の子ですよね。
待っている時間をもったいないと思わないと言いながらも、きっと彼はスヤスヤ眠ってるだろうということもわかってるなんて本当は絶対悲しいですよね。いくら待っている時間が好きとはいえ、最後の「ばかみたいね」が多分本心なんだろうなと思います。
まとめ
彼からの連絡をひたすら待っている女の子の心情が描かれていましたね。主人公は彼からの連絡がこないことが要因で携帯を肌身離さず持っていることを怪しんだり、根拠もないのに発信履歴を疑うというくだりがあったと思います。やはり相手からの愛を感じられないと付き合っていても不安になってしまうのかも知れませんね。
じゃあ本当に主人公の彼は連絡が遅かったのかというともしかしたらそうではない可能性もありますよね。主人公の女の子基準では返信が遅いと感じていても、彼からしたら彼女に合わせて連絡を返していたらしんどくなってしまう場合もあるじゃないですか。歌詞後半に「あなた今日はなにしてるの? なにしてるの? 教えてよ 私今日も想ってるよ あなたのことを あなたからの連絡を」というフレーズが物語っているように、彼は主人公のことを重いと捉えていた部分も少なからずあるように思えます。
そう考えると本当に恋愛って難しいですよね。恋人との連絡を取り合う頻度の不一致によるいざこざって結構あるような気がします。この曲でいう主人公は歌詞全体を見てもわかるように毎日でも連絡を取りたいというタイプ女の子で、対照的に主人公の彼は「鳴らない電話 いつものことだけど」というフレーズが冒頭にあったように毎日連絡を取り合うことをそこまで求めてないタイプの男の子ですよね。そこのバランスの悪さがお互いに付き合っていてしんどかったのではないかと思います。
SHISHAMOの曲に出てくる女の子というのは健気に設定している節が多いんですよね。この曲もまさにそうで深夜にラジオを聴きながら彼からの連絡をずっと待ってる女の子という設定がSHISHAMOらしい曲だなと思います。また、Cメロまでの歌詞を見ていると正直ただの重い女の子だと思うんです。でも最後に「だけど時間がもったいないなんて思えない あなたを待ってる時間が好きだから」というフレーズが入っていることでその重々しさが緩和されて可愛いらしい女の子だと思えるじゃないですか。その辺りの歌詞展開が宮崎朝子は本当に上手いなと思います。
この曲は決してSHISHAMOの曲の中ではメジャーではありませんが、個人的に結構好きな一曲でして、直前にもタイトルにも書きましたが「あなたを待っている時間が好きだから」という健気なフレーズがやっぱり心にくるものがあるんですよね(笑)。
皆さんも是非聴いて見て下さい。