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#53『”いつまでも好きでいていい?”SHISHAMO「通り雨」を語る』

今回は2021年6月30日にリリースされた7thアルバムSHISHAMO7の12曲目に収録されている「通り雨」について語ります。すっかり梅雨のシーズンに入ったので「雨」が出てくる曲を今回取り上げてみました。

簡単に説明すると”片想いしている男性に想いを伝えることを後回しにした矢先に、その彼とは会えなくなってしまい、好きだった気持ちを言えなかった後悔に苛まれている失恋した女の子の心情”が描かれています。残念ながらMVはありませんが、YouTubeにて音源がありますので載せておきます。

それでは語っていきます。

一番Aメロの歌詞

突然の通り雨
傘なんていらないから
あなたがどこかで濡れていませんように

「通り雨」作詞:宮崎朝子

「あなたがどこかで濡れていませんように」というフレーズから、主人公には心の中で想っている男性がいることがわかります。

この曲のタイトルにもなっている「通り雨」が降ってきて、その彼を思い出すということは「通り雨」が降ってきたとある日にその彼と何かあった過去があるということが読み取れます。

一番Bメロの歌詞

どんなに泣いても
張り裂けそうでも
悲しくて足が竦んでも
辛くて蹲っても
あなたはもう現れないでしょう

「通り雨」作詞:宮崎朝子

ここの歌詞を見る限り、主人公はその彼が大好きだったことと、その彼とは何らかの理由で簡単には会えなくなってしまったことがわかりますよね。

「どんなに泣いても 張り裂けそうでも 悲しくて足が竦んでも 辛くて蹲っても」という表現から、何の前ぶりもなく唐突に彼と会えなくなってしまったようなニュアンスに感じますよね。

一番サビの歌詞

いつまでも好きでいていい?
連絡はたまにしかしないから
勝手に元気もらったり、
勝手に傷ついたりしてもいい?
止まない雨があればいいのに
あの日 私は心でそう祈ってた
本当はそんなことなんて、気づいてたんじゃないの?

「通り雨」作詞:宮崎朝子

「いつまでも好きでいていい?連絡はたまにしかしないから」というフレーズ。主人公は彼に好きだと伝えられなかったということと、連絡はできることから友人関係であることがわかります。

「勝手に元気もらったり、勝手に傷ついたりしてもいい?」がまた切ないなと思います。彼は主人公の気持ちを知らないことから、普通に友人の一人として連絡をしている感覚なんでしょうけれど、その彼からの連絡に主人公はいまだに想いを馳せているということですよね。

「止まない雨があればいいのに あの日 私は心でそう祈ってた 本当はそんなことなんて、気づいてたんじゃないの?」というフレーズ。「あの日」とはなんなのか、これだけ見ると意味が分からない歌詞ですよね。実は、このフレーズは最後まで歌詞を見ないと分からないようになっているので後半で考察します。

二番Aメロの歌詞

こんな東京の真ん中で
あなたのことを見かけた気がした
こんなぬるい夜の隅っこで

「通り雨」作詞:宮崎朝子

「あなたのことを見かけた気がした」というフレーズ。これもちょっとわかる気がしますよね。彼ではないのに彼と似ている雰囲気の人がいると彼に見えてしまったり、いるはずもない彼が通り過ぎたような錯覚に陥ってしまうといった感じでしょうか。多分、交差点や駅のホームといった人混みに入った時に、もしかしたら彼がいるんじゃないかと無意識に探してしまっている自分がどこかでいるからなんでしょうね。失恋した後にありそうな現象なのかなと思われます。

二番Bメロの歌詞

あなたが好きだと
あの日伝えなかったのは
またすぐ会えると思ってて
いつでも会えると思ってて
そんな馬鹿野郎だったから

「通り雨」作詞:宮崎朝子

ここで再び一番のサビでもでてきた「あの日」という言葉が出てきます。

主人公はまた会えると思って、好きだと伝えること後回しにしてしまったことを後悔していることから、「あの日」という日が主人公が彼と会った最後の日になってしまったことが分かってきます。

付き合ってはいないものの、好きな人とある日突然会えなくなってしまったら誰だってショックですよね…。

二番サビの歌詞

いつまでも好きでいていい?
今あなたが見上げる空が
どんな色をしているのか
そんなことも分からないけれど いい?
私はね、あなたと行った喫茶店には
まだ入れないままだよ
あの席にはもう知らない男女が座っているけど
前を通るたびあの日に戻ってしまうの

「通り雨」作詞:宮崎朝子

「今あなたが見上げる空が どんな色をしているのか そんなことも分からないけれど」というフレーズ。彼が遠くに行ってしまってから、ある程度の時間が経っていることがわかります。

ここで再び「あの日」という言葉が登場し、その日がどういう日だったかが明らかになってきます。これまでの歌詞を見て「あの日」がどういう日だったかをまとめるというと…

『二人きりで外で会っていたところ通り雨が降ってきたため、雨宿りするために喫茶店に入って雨が止むまで過ごしました。主人公はこの時に彼に好きだと伝えようとしていましたが、また直ぐに会えると思って想いを伝えることを遅らせました。でも、後日急に何らかの理由で彼とは簡単には会えなくなってしまい、喫茶店で過ごした「あの日」が彼と会った最後の日になってしまった。』

ということになります。

一番のサビの最後に出てきた「止まない雨があればいいのに あの日 私は心でそう祈ってた 本当はそんなことなんて、気づいてたんじゃないの?」フレーズがあったと思います。「あの日」がどういう日か分かった上で考察してみると

「止まない雨があればいい」というのは雨宿りする時間が長くなれば彼といれる時間が長くなる…つまり「雨が止んでほしくない」=「もっと彼と一緒にいたい」というような解釈ができますよね。

その後の「本当はそんなことなんて、気づいてたんじゃないの?」というのは、「雨はいつかは止む」=「時間には限りがある」…すなわち、もっと彼といたいならその時に好きだと伝えることもできたんじゃないの?という自分への後悔や苛立ちを表現しているように思われます。でも、まさか突然彼と会えなくなるなんて普通は思わないですよね。

そして「私はね、あなたと行った喫茶店には まだ入れないままだよ あの席にはもう知らない男女が座っているけど 前を通るたびあの日に戻ってしまうの」という最後にフレーズ。失恋した後ならではですよね。どれだけ時間が経って失恋した傷が癒えてきても、その喫茶店を通る度にその彼を思い出してしまうということですよね…。

まとめ

好きだったことを言えなかった後悔に苦しむ失恋した女の子が描かれていましたね。どれだけ時間が経っても「あの日」のように「通り雨」が降ったり、「あの日」に行った「喫茶店」の横を通る度にその彼を思い出すという歌詞には共感してしまいます。きっと思い出すたびに胸がチクッとしてしまうようなそういう感覚ですよね…。

また、今回の歌詞はやはり「あの日」がポイントだなと思います。「あの日」という日を一番ではわからなようにして、最後のサビで「あの日」がどういう日だったのかがわかるという展開にしているのが面白いなと思いました。

そして個人的に急に彼が簡単には会えないところに行ってしまうという今回の設定にはちょっとドキッとさせられました。この曲の主人公は喫茶店で過ごしたあの日がまさか彼と会う最後に日になるなんてと嘆いていたと思います。会えなくなってから後悔するのではなく、誰か大切に想っている人と会う時はもう二度と会えないかも知れないと思って会うべきなのかも知れませんね。

サウンド面についてはピアノが取り入れられているところが、歌詞のせつない感じや「通り雨」の空気感を上手く表現できているなと思います。

最後に”SHISHAMO ワンマンツアー2021秋「寝ても覚めてもかわいい君と死にたくなるような恋がしたい」ダイジェスト”と題したライブ映像がYouTubeで公開されており、一部分ですが今回取り上げた「通り雨」を披露しているので載せておきます(下記の映像7:11~)。

皆さんも是非聴いて見て下さい。

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