#19『”自分の空を探すよ”SHISHAMO「君の隣にいたいから」を語る』
今回は10thシングルとしてリリースされた「君の隣にいたいから」という曲について語っていきます。また、2020年1月にリリースされた6thアルバムSHISHAMO6の12曲目にも収録されています。
この曲はNHK全国学校音楽コンクール(Nコン2019)中学校の部課題曲として制作された歌です。どういう曲か簡単に説明すると”自分に自信が持てない中学生”をテーマに描かれています。SHISHAMOの宮崎朝子は、中学生のみんなが歌っている姿をイメージしながら作詞・作曲したと語っています。YouTubeにてMVがありますので、載せておきます。
それでは歌詞や曲について語っていきます。
一番Aメロの歌詞
スニーカーの紐をほどけても気にも留めず歩いているという歌詞からどこか行動にしまりがなくてだらしない主人公の性格が伝わってきますね。そんな主人公の隣には、「背筋の伸びたいつもの君」というフレーズがあるようにきっと想像ではありますが、身だしなみが整っていてきちんとしている男の子なんだろうなっていうことが読み取れますよね。
たぶん、このAメロの歌詞は自分と他人を比べている様子を表しているように思います。この主人公の女の子は、いつも隣にいる男の子のことを尊敬していて私もそんな彼みたいな人になりたいと思っているような気がします。
一番Bメロの歌詞
「ちゃんと上手にやれたかな ちゃんと思いやりを持てたかな ちゃんと優しくできたかな」というフレーズ。中学生の頃ってクラス内で仲良しグループが出来たり、一人ぼっちになりたくないから周りを気にして無理して合わせたりとかどこか他人の視線を気にしてしまう時期だと思うんです。周囲の人と合わせることに頑張ってしまったり、落ち込んでしまう主人公になんだか共感してしまいますよね。
「鏡に映る私に今夜も問いかける」というフレーズには、周囲の人とも上手くやっていきたいけれど、他人に合わせてばかりだと自分自身を見失ってしまう…私は本当はどう生きたいのかと悩んでいる主人公の気持ちが表現されているように思います。
一番サビの歌詞
「君がまっすぐ ただまっすぐに 飛ぼうとしてる姿見てると」というフレーズからは、主人公の隣にいる男の子は勉強なのかスポーツなのかは分かりませんがきっと何かに打ち込んでいて一生懸命に頑張ってる人だということが分かりますよね。
「時々不安になるけれど」というフレーズ。周囲のことなど気にすることなく自分の好きな事を見つけて頑張っている人を見てると引け目を感じてしまったり、どこか置いていかれたような心理状態になることってありますよね。
でも主人公の女の子はそんなことで滅入ってしまうのではなく、「いつまでも胸張って君の隣にいたいから 」というフレーズからもわかるように、そんな彼に引けを取らない私になるんだと前向きに生きていこうとしているのが伝わってきますね。
「君のやつほど立派じゃない羽 精一杯広げて 自分の空を探すよ」っていうのが、彼なんかより凄い人になってやるぞっていう感じではなくて、到底彼には及ばないけれど自分の出来ることを自分の範囲内で頑張っていこうっていう感じして、そんな控えめで謙遜気味な主人公が個人的に好きですね。
二番Aメロの歌詞
「君を馬鹿にする奴がもしもいるなら」というフレーズ。なんだろう中学生の頃って勉強を頑張っている人を「あの子ガリ勉だよね」とか影で言ったり、部活動を一生懸命頑張っている人を「そんなに熱心になってどうするのバカバカしい」とか言う人がいると思うんです。
「そんな奴気にすることない」フレーズには、一番の歌詞ででてきたように私(主人公の女の子)は頑張っている彼(いつも隣にいる君)の姿に刺激を貰ったから、今度は私が彼を勇気づけるんだという主人公の気概が見えますよね。
多分主人公の隣にいる男は凄く何事にも真面目だから、「そんな奴の言葉に 律儀に傷ついてあげることはない 優しい君でも」というフレーズがあるようにそういう心無い言葉も真に受けてしまう性格なんだろうなと思います。そういう周りの冷たい視線に辛くなることってありますよね。
二番Cメロの歌詞
「うまくいかないこともあったけれど」というフレーズ。何かに挑戦して頑張るのは素晴らしいですが、やっぱり芽が出ない時期ってありますよね。でも「どんな時でも前を向いてる」というフレーズから、この歌に出てくる彼はめげずにコツコツ努力できる人なんだろうなということが伝わってきますね。そして、主人公の女の子もそんな彼のような人になりたいと憧れている訳ですね。
ここのメロディを一番Bメロと同様にせずにCメロとして新たなメロディにしているのが凄いなと思います。
二番Dメロの歌詞
彼という存在が主人公の女の子を変えたということですよね。彼の頑張ってる姿を見ていると私も自然と前を向いて頑張れるんだっていうことが描かれていますね。また、努力している彼のことを「輝いてる君が見えるから」という言い回しをしているのが素敵な表現だなと思います。
この歌詞を通して人って伝染する生き物だなって個人的に感じまして、あの人が頑張ってるから私も頑張れるとかあるじゃないですか。反対に悪く言うと、サボってる人がいたらそれに釣られて自分も手を抜いてしまうこともあると思うんです。やっぱり人は人に影響を受けて生きているんだよなってふと思いました。
最後のサビの歌詞
もう一度、一番同様の歌詞を繰り返します。
ボーカルの宮崎朝子は「自分の空を探すよ」というフレーズがこの曲で一番大切な部分だと答えています。中学生の頃って周りを見ていろいろ感じることがすごい多い時期で、自分より勉強ができる子がいたり、部活内でも自分よりできる子がいてそういう隣ばっかり気にしてしまうそういうことが多いんじゃないかなと思っていて、でもそんな中でもその子と比べて自分がどうってことではなくて自分の空を探してその空を飛べばいいんだよということが歌えたらと思ってそういう曲になりましたと語っています。
自分の道を探すよとか自分の色を探すよとか言ってしまいそうですけど「自分の空を探すよ」っていう”空”っていうワードの選択がさすがですよね。
まとめ
中学生特有の多感な時期を描きつつ、自分と他人を比べる必要はなくて自分のやりたいことを見つけてそこで自分らしく頑張ればいいんだよというSHISHAMOからの中学生へのメッセージソングのようでしたね。
サウンドも爽やかな感じと温かみのある曲調で、ちゃんとSHISHAMOらしさも詰まっている曲になっているなと思います。
中学生にはもちろんドンピシャな曲ですが、MVでは学生と恋人と老夫婦の3つの年代で構成されていて「君の隣にいたいから」というタイトル通り大切な相手がいる人にとって、心に響く曲になっているんじゃないかと思います。
皆さんも是非聴いてみて下さい。