#12『”失恋による怒り”SHISHAMO「忘れてやるもんか」を語る』
今回は2020年1月29日にリリースされた6thアルバムSHISHAMO6の5曲目に収録されている「忘れてやるもんか」について語っていきます。
この曲は簡単に説明すると、”ろくでもない酷い男への失恋と怒り”をテーマにした歌になっています。SHISHAMO史上最も怒りに満ちた曲なんじゃないでしょうか。残念ながらMVはありませんが、YouTubeにて音源がありますので載せておきます。
それでは、歌詞や曲について語っていきます。
一番Aメロの歌詞
初めて聴いた時、負が漂ったスローなイントロそしてこの出だしの歌詞はやばい曲きたなと率直に思いましたね。
「毎日泣いて泣いて泣いて吐いて吐いて 」って一体何があったって突っ込みたくなりますね。この曲の中では具体的に何が起きてそうなったかは明かされていませんが、この後のフレーズから付き合っていた男に酷いことをされたことは分かります。
「一生誰のことも本気で愛せないまま 死んでいくあんたの方が不幸だと思うから だから 生きていけるんです」というフレーズ。めっちゃ怒ってますよね。そこまで人に対して怒りの感情が起こることって滅多にないじゃないですか。おい、男、お前は何をしたと問いたいです。「生きていける」の後に「です」がついてるじゃないですか。この敬語な感じがより怖さを引き立たせてますよね。
でもこの歌詞はある意味裏返すと、そのろくでもない男のことを主人公の女性は愛していたという風にも捉えられますよね。愛していたからこその怒りの感情な気がします。
一番Bメロの歌詞
「傷ついて泣いたんじゃない」と言っていますが間違えなく傷ついてるから泣いてしまってる訳ですよね。でも、お前なんかのせいで泣いてるわけじゃないからなって強がりたくなる女の心理もわかりますよね。
「傷つけてもいいと思われてることに泣いたのよ」っていう主人公のフレーズから二股を通り越してどんどん女を乗り換えていくような男だったんでしょうか。勝手に想像してしまいます。
曲の最初のイントロから「傷ついて泣いたんじゃない」の”じゃないーひぃーい”まではスローな曲調でしたが、「傷つけてもいいと思われてることに泣いたののよ」から一気に感情が爆発したかのように曲調が激しくなるんですよね。そのまま、激しい曲調でサビが続きます。
一番サビの歌詞
はい、きました。この曲最大の怒りのフレーズ。「女の子を大切にできない男なんて全員漏れなく死ねばいいのに」って…やっぱり何回聴いてもパワーワード過ぎます。「死ねばいい」はかなり振りきってますよね。そのワードを歌詞に入れちゃうのって。
ですが、ボーカル宮崎朝子はそういうことを歌うことですっきりしてくれる女の子もいるだろうと語っていて、確かに心で思っていても中々人には軽々しく言えないことってありますよね。それをこの曲が代弁してくれてるそう思えばなんだか頷いて聴くことが出来そうです。
「嘘ついたり隠したり」って本当に嫌な男ですね。まさに「うまいことやろうとすんなよ」って言いたくなりますね。この後の「あんたの持ち物なんて本当はこの世に1つも無いよ」という言葉の意味のように、”なーいよー”のところで憎悪感を漂わせるように曲調がまたスローテンポに戻ります。
二番Aメロの歌詞
毎日泣いて吐いてと暗い状況から中々抜け出せなくても、「それでも朝は来てまた暗い夜が来る」というフレーズがでてくるように時間だけは止まることなく進んでいくんですよね。
「底が知れる」という言葉は相手の程度が低いという意味で、「お里が知れてる」という言葉は言葉遣いや仕草によってその人の育ちがわかるという意味だそうです。凄いボロクソ言ってますよね。また「あんなお里も知れてる男に」のところを半笑いしながら歌ってるんですよね。これがまた怖いんです。
「バカだったな、私は 同じレベルの女だったな」というフレーズはある意味共感しますよね。後になってなんであんな人と私付き合ってたんだろうって。その男と付き合っていた私自身にもガッカリしてしまう感じですよね。自己嫌悪してしまうのもわかります。
二番Bメロの歌詞
一応付き合って時間を共にしていた相手なわけだから「ありがとう」とか「お幸せに」って言って別れるのがカッコイイ大人の去り方なんでしょう。ですが、もうそんなこと言ってやらないどころか「一生笑うことなんて無いよう 地獄なんかよりひどいところへ」ってちょっともう女の方も狂ってますよね。
ですが、ここまで隠すことなくハッキリ言ってしまうフレーズってちょっと快感を覚えるというかよくぞ言ってくれたって心の中で拍手してしまうような感覚に陥ってしまうのは私だけでしょうか(笑)。
この後の間奏部分も激しくて、まるで心がひどく乱れてしまっている様を表現しているように思います。
Cメロの歌詞
「帰りの遅いあんたに作ったチャーハンも 朝食のピザトースト」この具体的な歌詞がリアルでグッときてしまいます。うーん、この辺は主人公の女が過去(彼のためにしてあげたこと)を振り返ってるシーンなんですよね。「私の愛も あげなきゃよかった 全部全部返してよ」って本当に胸が痛いですよね…。
最後のサビの歌詞
もう一度一番同様のサビを繰り返すため、また「全員漏れなく死ねばいいのに」が聴けますね(笑)。
そして、このサビが終わった後の最後の演奏部分でなんかブツブツ言ってるんですよね。歌詞カードには書いてないないのでハッキリとわかりませんが多分「忘れたりなんかしてやらない…忘れてやるもんか…忘れてやるもんか」って歌ってるんだと思われます。これが恨んでる感じがより増していいんですよね。そして、「ああぁーー」と叫んでから、”ビィーー”という音で終わります。歌詞に劣ることなく曲まで荒れているのがある意味圧巻ですよね。
まとめ
改めて「忘れてやるもんか」間違いなくSHISHAMO史上最も怒りに満ちた曲ですよね。ここまで包み隠さずハッキリ相手のことを悪く言う曲って他にないんじゃないでしょうか。
もうこの辺のフレーズは痺れますよね。全くネチネチしていなくて本当にストレート。ボーカル宮崎朝子もインタビューでライブで歌っていてスッキリすると答えています。この曲になぞって、世の中の男性に言いたいです。女の子は大切にしましょう(笑)。
そして何よりサウンド面の表現の高さに驚きました。曲から負のオーラを全開に感じますよね。スローテンポとアップテンポがこんなに極端に使われている曲も珍しくて、SHISHAMO6は新しいことに挑戦した作品なんだなと感じました。
SHISHAMOってやっぱり「君と夏フェス」とか「恋する」みたいなポップな曲イメージがどうして定着しているじゃないですか。だからこそこういう曲をSHISHAMOが歌うとより説得力がありますよね。恋愛ってきっと綺麗な面だけではないから、こういう曲を求めている人や待っていた人がいると思うんです。そういう意味でもこの「忘れてやるもんか」はSHISHAMOの中で画期的な曲のように思います。
YouTubeにて「SHISHAMO ワンマンツアー2020春「今だけは天使みたいに大事にしてね」振替オンラインライブ!!!」にて「忘れてやるもんか」のライブ映像が公開されているので載せておきます。(34:35辺り~)
また、2023年2月4日にリリースされたCDデビュー10周年を記念したコンセプトアルバム『恋を知っているすべてのあなたへ』のdisc2”恋の痛み”の1曲にも収録されています。
是非聴いてみて下さい。
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