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#テレ東ドラマシナリオ『【#100文字ドラマ】そのさよなら、代行します』シナリオ案-1-

「#テレ東ドラマシナリオ」のコンテスト向けに、あらすじを公開した。

選んだ作品は、みねたろうさんの「そのさよなら、代行します」。

引き続き、応募用のシナリオを書いている。27日の締め切りまで、連載形式で分けて公開したいと思う。

ーあらすじー

人に代わってさよならを代行する「さよならメッセンジャー」、森久保広明。数々のさよならに立ち会った末、森久保は店じまいを決めた。

そんな森久保の元に、さよならメッセンジャーを始めるきっかけを作った女優・夏木秋が訪ねてくる。驚きを隠せない森久保に対し、夏木は意外な言葉を口にする。

「あなたへのさよならを代行してほしいの」

夏木は、ある劇場の舞台上で、森久保に別れをつげたいのだという。

「俺がアンタに代わって?ってことは、自分で自分にさよなら言えってか?」

「ふふふ、違うわ。私があなたの役をやるのよ」

森久保は戸惑いながらも、夏木に言われるがままに、"彼女が演じる自分にさよならを告げる"、という奇妙なシナリオへの準備を進めていく。

さよならメッセンジャー、最後の不思議な依頼が幕を開ける。

ー以下、シナリオ案ー

〇事務所の中

森久保、応接スペースにて、テーブルを挟んで男と対面している。

森「残念ですが、さよならです」

男「あぁ?んだとてめぇ!!」

男、椅子から立ち上がって森久保の胸ぐらをつかむ


× × ×

椅子にこしかけている森久保

森「残念ですが、さよならです」


女「もういいわよ!」


女、椅子から立ち上がって森久保にビンタし、荷物をひっつかんで事務所を出ていく


× × ×

椅子に腰かけている森久保


森「残念ですが、さよならです」


老婆「そうですか……はい、分かりました……」

老婆、両手で目をおおって、静かに泣く


× × ×

ドア、パタンと音をたてて閉まる。森久保、棒立ちで扉をみる。

森「…あーぁ」

森久保、応接スペースに戻り、椅子にどっかり座る。

森「(大きなため息ひとつ)……」

森久保、両手で目を覆いながら数秒うつむく

森「(両手を外し、背もたれにもたれながら)……終わりだな」


〇事務所の外


看板 “『さよなら』代行します”


森久保、看板に“サービス終了のお知らせ”が書かれた紙を貼り付ける


作業する森久保の背中


夏「何やってんの?」


森「はい?」

森久保、振り返る。夏木が立っている。

森「どちらさまで?」

サングラスをはずす。森久保、唖然


森「秋……!おまっ……えっ、なんで!?」


夏木、笑顔で


夏木「ふふっ、お久しぶり」


〇事務所の中


夏木、事務所の中をながめている


夏「へぇ、ちゃんとオフィスまで構えてやってたのね」


森久保、コーヒーを持ってきながら


森「まぁな。ほらよ」


夏「あら、ありがと」


夏木、椅子に座る 森久保も椅子に座る


森「……大丈夫なのか」


夏「なにが?」


森「その……いそがしいんだろ」


夏「おかげさまでね。だから今日は無理言ってきたの」


森「なんたってこんな急に……」


夏「いいじゃない」


森久保、夏木をまじまじとみる


夏「(視線に気づいて、にらみながら)……なによ」


森「(目をそらしながら)あ、いや。で、どうしたの?」


夏「決まってるじゃない。さよならを代行してもらいに来たのよ」


森「はぁ?」


夏「どうしたの」


森「どうしたもこうしたも…急すぎるだろ」


夏「依頼なんていきなりくるもんなんじゃないの」


森「いや、そりゃそうだけどさ。でも……」


夏「でも、なに?」


森「もう…やめるんだよ」


夏「これ?」


森「あぁ」


夏「どうして辞めるの?」


森「……答えが出たんだ」


森久保、夏木を見つめる。夏木、コーヒーを1口飲みながら


夏「……そっか」


夏木、カップをテーブルに置く


森「うん。(森久保、背もたれに預けてた体を起こしながら)だから……」

夏木も体を前傾におこして、森久保の「だから」に被せるように


夏「”だから”、ちょうどいいわね」


森「えっ」


夏「ちょうどいいじゃない。私が最後の依頼人」


森「嫌だよそんな」


夏木人差し指を顔の横で立てながら


夏「受けてもらうわよ。大切な依頼なんだから」


森久保、一瞬唇を舐めてから


森「いやしかし…」


夏「私、このために1個仕事蹴ったんだからね。CMの」


森「嘘だろ」


夏「だから大切だって言ってるでしょ。分かったの」


森久保、頭を抱えながら背もたれに身を預ける


森「はぁー。分かったよ。どうせ言い出したら聞かないんだから」


夏「よく分かってるじゃない。変わらないのよ、そこは」


森「そうかいそうかい…」


森久保顔を上げる。夏木を見ながら、唾を飲み込んで


森「で、どなたにさよならを告げて欲しいんです?」


夏「あなたよ」


森「……はい?」


(事務所の外)


森久保、事務所のドアから、靴をつっかけながら出てくる。

鍵を鍵穴に差し込んで、一瞬停止


夏木NA
「劇場で待ってるわ。傘、忘れないでね」


森久保、傘をちらりと見る。森久保、空を見る。晴天。


森「あーぁ、変なことになっちまったな」


森久保、階段を降りていく。

ー2に続くー

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