ひとまわり年下の男の子に恋をしています【5】

2月。

ある日の夕方のこと。
年下くんと、オジサン営業が何やらコソコソと話していました。

そこまで声のトーンを落として話してたワケでもないけれど、何となくあまり聞こえないように話してるな~くらいではあったので(ウチの部署は基本的に皆んな声がデカい笑)、時折、聞こえる言葉の端々、話してる雰囲気から、「誰かがどっか行く(異動する)のかな?」というのは汲み取れました。ただ、「誰が」というとこまでは分からない。分からないけど、年下くんに関わっているであろうことも察せられたので、何となく予感は、あった。

それから程なくして、年下くんが異動になることを知らされ、「やっぱり」と。

まあでも、異動になると言っても、東京からいなくなるとかではなくて、今いるフロアの別部署に異動ということなので、物理的には席が離れるだけ。
ただ、彼的にはまだ今の部署で今の担当で、やりたいことがあって、色々進めていたところだったと思うので、思うところは多々あったと思います。
まだこの頃は、そんな話を聞けるほどの仲ではなかったので、「なんで今」と、彼がどれだけの気持ちで思ったかは分からないけれど。

私はと言えば、気持ちとしては準備していたつもりでしたが、それでもショックはショックでした。
まだ仲良くなれてないのに、もう会社の公式飲み会も別々になってしまう。
とりあえず完全異動するまで、両部署掛け持ちということで、しばらく時間はあったので、掛け持ち期間はできるだけ小まめに関わろうと思いました。

そうしてるうちに、席が移動する日が来て、朝、会社へ行くと彼の今までの席が空席になってました。白いデスクが更に白く見えてやけに寂しく見えました。

しかしそれより、新しい席はどこになったんだっけ…と、フロアを見渡すと、私の席の正面、直線上…3シマくらい先に彼の姿を発見。すぐそこにいる距離ではなくなったけど、今度は頭を上げると彼の顔が見える。

神様ありがとう!!せめてよく見えるところにしてくれて…でも、うっかり目が合ったりしそうでやりづらい!!!!!

でも不幸中の?幸いのようで、ほんとにふつうに嬉しかったです。

ということで、何なら前よりよく見えるようになったものの(でも元々忙しいので、いつも席にはいない笑)、そこはありがたいけれど、その分、逆に気になるし、気になってる人が自然に視界に入るところにいて、これでは気にするなと言うほうがムリです。

もうこのまま、時の流れと自分の気持ちに委ねるしかないなと思っていたところ、そもそも自分がいた部署が人員総入れ替え、ということになり、部長はじめ40代後半のオジサン営業2人、年下くん、私の5人で、お疲れ会をやることになったのです。

最後なので、ちょっといい店へ行こうということになり、恵比寿の雰囲気のよい和食屋さんへ行きました。当日、ひと通り食事を済ませたのが、22時半をまわったところ。
2次会あるのかな?微妙な時間だなあ、などと思いつつ店を出ると、オジサン3人が既にタクシーを捕まえて、「我々はちょっと行くとこがあるので」と、さっさと去って行きました。

残された私と年下くん。

突然2人にされて驚きではありましたが、しかし私としては、これ以上ない絶好のチャンス。行動を起こそうと思えば、今後部署が別々になったとしても、起こせないことはないけれど。でも。
最後の公式飲み会。この流れが1番自然に次に繋げられる。
なので、なるべく何の気もない感じで、ふつうにもうちょっと飲みたいんだよなあくらいの感じで誘いました。

「もう一杯飲みませんか?」

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