![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/165986021/rectangle_large_type_2_56e1d4a4045264eb8bd448fdb17e5203.png?width=1200)
介護職員の海外リクルートを補助(厚生労働省)
1.厚生労働省の海外リクルート支援策
厚生労働省は、来年度に特別養護老人ホームや介護福祉士養成校が東南アジアで介護職員を採用する際の経費の一部を補助すると発表しています。また、インドネシアでは新たな介護教育プログラムの開始にも取り組んでいるとのことです。
社会福祉法人や介護福祉士養成校がベトナムやミャンマーなど東南アジア各国の日本語学校や「送り出し機関」を訪問し、勉強や研修をしている若者らを対象に、日本の介護現場の魅力や待遇を伝える説明会を開いたり、面接などの採用活動を行ったりする際の渡航費用を厚労省が補助すると言うのです。
1法人あたりの補助額は国と都道府県から計100万円で厚労省は来年度、最大約100事業所の参加を見込んでいます。
2.世界的介護労働市場で日本は勝てるのか?
なぜ、厚労省がこのような政策を打ち出したのでしょうか。それは、高齢化が進む先進国を中心に、国際的な介護職員の確保競争が激化しているからでしょう。
介護分野の在留資格「特定技能」により日本に入国した外国人は28,400人に達していますが、これは2023年末の時点で政府の目標の半分強に留まっており、目標達成には苦戦していると言えます。
日本がアジアの中で経済的に地盤沈下し「再途上国化」している現在、国際的な介護労働市場で勝ち抜くことは困難になってきています。
今年4月に発表されたIMFの世界経済見通しによると、2024年の一人当たりGDPは日本が33,138ドル、韓国が34,165ドル、台湾が34,432ドルで、日本を上回ると予測されています。
また、韓国の低熟練労働者と比べて日本の特定技能外国人、技能実習生外国人の賃金は5万円から7万円低くなっています。
このような状態では、日本に来てくれる外国人をきちんと確保することはむずかしいと思われます。
外国人にも魅力のある介護業界にするためには、ベテラン介護福祉士への人件費の傾斜配分ではなく、まずは、初任給・最低賃金の引上げが必要でしょう。
このような事態になぜ陥ってしまったのか、今一度、根本からその原因を考察しておく必要があると思います。
3.グローバル・ケア・チェーンへの配慮
もうひとつ気になるのは、いわゆるグローバル・ケア・チェーン(Global Care Chain)です。
グローバル・ケア・チェーンとは、グローバルノースの国々の介護をグローバルサウスの外国人労働者が担うため、グローバルサウスの高齢者介護が成り立たなくなる事態を指します。
このことへの配慮、対応をいかに考えていくのかも、海外で介護人材を物色する社会福祉法人、介護福祉士養成校に問われていると思います。
少なくても、介護業界でこの「グローバル・ケア・チェーン」という概念が一般化する必要があるでしょう。
以下のマガジンをご参照願います。