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おばけのいたずら#1
大学2年目を迎えた夏のことである。僕は恋人と半同棲のような生活を送るようになっていた。僕のアパートから一緒に大学へ通うような生活になっていた。
間もなく夏季休暇へ入る頃に僕らは僕と同じサークルのSという男から相談を受けていた。どうやら同じ学年に好きな子がいるらしかった。
相談に乗ると言っても告白する、しないを迷っているだけで、後押ししてほしいだけのようにみえた。要は優柔不断なだけだった。
その日は明日から夏季休業に入る日だった。いつものように電話がかかってきた。それが長い夜の始まりだった。
酒を飲んでいるのだろうか、電話の向こうの彼は酔っているように感じた。そして、その子への想いを僕に言い続けるのだった。
僕はその子が同じサークル内のYに好意を持っていることを恋人から聞いていた。「もう想いを伝えた方が良いよ」僕はSにそう伝えた。フラれてこいと暗に言ったようなものである。
彼は覚悟を決めたようだった。そして電話を切った。僕は恋人と「こうするしかないよね」と結果の見えた恋について話していた。しばらくするとまた電話が鳴った。今度はYからだった。
「今からアパートに行っても良いかな?」断る理由はなかった。そしてYが僕のアパートに来ることになった。慌てて恋人と部屋の片付けをした。
ほどなくして彼が到着した。彼は実家から電車で大学に通っていたはずなのに早いなと思った。
つづく