困ってしまうこと
地方とはいえDJをやっていると、会場で人から声をかけてもらえることがあります。
「この曲、大好きなんですよ」「良い曲ですよね〜」
「これは誰の曲ですか?」「〜の〜って曲ですよー」
「〜かけられる?」「ごめんなさい...今日は持ってこなかった..」
アナログDJは持っていけるレコードに限りがあるので謝らなければならなかったりもするのですが、どれも素敵な言葉のやりとりなのです。
声をかけてもらえることは嬉しいですし、次のDJの機会の時の参考になるのです。自分の引き出しで選べるものにはなってしまうのですが、そこにいる人が楽しい方が良いのですから。
でも少し親しくなるとこんな質問を投げかけてくる人がいます。
「〜で一番好きな曲は?」
「好きなアーチスト3つ選ぶとしたら?」
「なんで〜が好きなんですか?」
これは音楽ではなくて僕を知ろうとしている質問に聞こえます。この類の質問には困ってしまうのです。人を測っているような質問に聞こえてしまいます。
影響を受けたもの、大切なもの、楽しいもの、格好良いもの、居心地の良い空間、好きなものがたくさんありすぎて選ぶことはできません。
申し訳ないのですが、本当に面倒くさい気分になってしまうのです。
選べるとしたら無人島へ持っていく1曲だけです。
僕はただDJとして踊ってもらいたい、良い空間にしたいだけなのです。そのために僕が良いと思うアーチストの曲を使わせてもらっているという考え方です。僕のことを知ってもらう必要はないのです。
あなたにとって私
ただの通りすがり
ちょっと振り向いてみただけの
異邦人
クラブ、ライブハウスで知り合った人たちはほとんどお互いの仕事どころか本名も素性も知らない人たちがほとんどです。夜の世界では「異邦人」の歌詞のような距離感で人とお付き合いするのが心地良いのです。