![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17772930/rectangle_large_type_2_a4a295e59085dfe98f062ddffec8642d.jpeg?width=1200)
親友はモテすぎる女/前編(容姿コンプレックスOrigin31)
繰り返し傷ついた思春期
番茶も出花な季節にせよ、どんぐりな(つまりいくならんでもそんな飛びぬけていない)美を誇るあまり、SYNDIに「優越感を感じる」と言ってしまえたあの子のことは、もう忘れよう。
今更な話だし、こんなところで「もう時効よね」とばかりに勝手なこと書いてるけど、世の中狭いから、”生存者一同”の中に”その子”が誰だか(っていうか、誰だったか)わかっちゃう人もいるかも知れないことを、心配するのももうやめよう。(実は心配なんかしていないけど)
あたしが書きたかったのは、「優越感」てものの、複雑で手に負えない性質、の一片です。ほかのことはどうでもいいです。
その複雑さは人間が成熟していない季節に、がりがりと爪あとを残しながら大暴れをします。
あたしが一時期注目していた奥さんなのですが、こんな話をする人がいました。
「自分が顔に自信がないのは、親友がすごくモテる子だったからだと思う」
このように、がばっとわかりやすい言葉で自分をずんずん切っていく奥さんだったので、注目していたのです。自分がどういう人だか言いたがる人は多いけど、なぜそうなのかを明快に分析できる人は案外少ないのです。
「そんなにきれいな人なの?」あたしはたずねました。
「わからない。だけど、男子にはものすごくモテていたの。やたらと告白されるのよ。中学、高校、大学と・・・・。ずっとそれを見ていたんで、私は。自分にはそういうことはおきなかったのよ」
モテる星のもとに生まれた人はいるんだろう
男にやたらと告白されて、いつも何か切羽詰った顔だの手紙だのに触れているために”暮らしが安定しない”女というのも時々いるものです。
その「親友」はどうなのか。
「どうかな。ちゃんと結婚したよ。だけど、結婚してもほかの男に求婚されていたりするよ」
「はあ。それはすごいね」
その話をしていたとき、その奥さんは30台後半です。その「ミセス親友」とは、まだ付き合いがあるようでした。それぞれ似たような時期に子供も生まれています。
それで、子連れの奥様同士がお茶しているときに出る話題が、「この間だれそれに告白された」とか「求婚されてしまった」などという話なわけだね。
あたしは自分の男友達の体験談を思い出しました。
彼はモテすぎの女に人生相談をもちかけられて、あれこれ男女関係の悩みを聞いているうちに、「その女に求婚してしまいそうになった」そうで。
笑えない。いや笑うかな。やっぱり。してしまいそうになっても、しなかったところがかわいい。
あたしにかわいいといわれても救われないか。ははは。
ともあれ。なんだかどうにもモテてモテて仕方がない、という人生もあるわけなんだね。
その奥さんは、思春期に、男子が自分に近づいてきたとしても、ことごとくそれが「親友を目当てにして」いた、という痛みについて語りました。
好きな男の子もいた。だけど、仲良くなると、「彼女に渡して」とか言って手紙が出てきちゃうらしい。
鈍くて無神経な男じゃんか。付き合わなくて正解だろう。
「でも、すごく傷ついたよ。こんな風に話せるようになったのは、最近。ずーっと、つらすぎて、ぜんぜんしゃべれなかったよ」
彼女は思春期の女の子がどんなに苦しんだかについて、切々と描写しました。
話がうまい!面白い!絶対モテただろうになあ。
あ、いや、そんな特別”化け物級”にモテる女のそばにさえいなければ・・・・。と、あたしは思いましたね。ほら、超がつく秀才がそばにいると、自分をバカだと思んじゃう子供っているじゃないですか。それと同じよね。
「それで、なぜそれを口にできるようになったの?」
私は一番聞きたかったことを聞きました。
そのコンプレックスは、どのように救済されたのか。
この項後編につづきます。
おひねりをもらって暮らす夢は遠く、自己投資という名のハイリスクローリターンの”投資”に突入。なんなんだこの浮遊感。読んでいただくことが元気の素です。よろしくお願いいたします。