
#夢日記 いなり寿司を持って遺跡に迷い込む 2
人に道を訊くが
いなり寿司をぶちまけやがった政治家のいた部屋から出て、次のドアの外に出るが、まるっきりもと来た道がわからない。
しょうがないから人を探して、廊下に若い男がいたので道を訊いた。その時、なるべくもといた場所の形状など話して、「そこにもどりたいの」と訴えた。
あたしたちがもといた場所は、学校の入口付近で、ガラス張りの廊下にカウンター席があって、外を眺めながら休めるようなところだ。こんな古い時代がかった建物ではない。そこから出発して校内を見ているうちにここに迷い込んだのだ。
「どうなっているの?ここは別の学校なの?つながっているの?」と質問を浴びせるが、男は全く答えることができない。
「こっちだと思う」とドアを教えて彼は消えてしまった。
仕方がないので言われた通りドアを開けるが、そこはなんにもない巨大な部屋で、四方には壁があるだけだ。要するにここからは建物の外に出ることもできないではないか。
それどころか壁がこちらに迫ってきて、部屋がだんだん狭くなってゆく。こりゃだめだと思って急いでドアから出ると、廊下が前とは違っていて、出口に面した廊下になっている。
白い演劇場と子供
外に出たがどうも海辺の町になっている。もうどこがでこだかわからない。少なくとも学校は海のそばなんかじゃなかったはずだ。
周り中が古くなった石膏のような、白っぽい景色だ。草も生えていない。白い岩肌を触ってみて、
「もしやこれはつくりものでは?」と気がついて、合点がいく。これは舞台装置が古くなったものなんじゃないか、と。
舞台装置なのだとしたらありえないものがあっても不思議はない。あの海もきっと偽物なのだ。あそこに見える船着き場も偽物なのだ、遠くにあるように見えるけどきっと書き割りなのだ、と思う。
偽物の海から子供がやってくる
しかしその船着き場から、こちらに向かって白い服を着た男の子と女の子がやってきた。それは本物の子供で、あたしの方を見ながらやってきて、あたしが、「これは本物だ」と認めた瞬間に目をそらして右側に歩いて行った。
だとしたら演劇が始まったのだ。客席がない、そのままそこで始まる演劇だろう。あの子供は役者に違いない、となぜか思う。
子供が進んだ方向から、集団がやってきた。同じ白い衣服をまとった若い人たちで、学生にしか見えないが、みんな顔が赤く上気している。きっとあの人たちが役者なのだ、と思う。
歓喜の集団
「始まる 始まる」と興奮した様子でお互いを見交わしながら小走りに海に向かってゆくのだ。例の子どもたちにいざなわれて。
それは演劇が始まることが嬉しくてたまらないという様子だった。舞台装置は雨ざらしにされて古くなっているが、そこに堂々と出てゆくのだ。
もしかしたら去年の装置かもしれない、とあたしは思った。それよりもっと前のものか。とにかく遺跡のように朽ちかけている。
彼らは去年大成功して、それがもう一度やりたくてたまらない、その時の感激を求めている集団なのじゃないか。
してみるとこの演劇集団は亡霊なのかもしれない。とにかく亡霊のように興奮して、亡霊のように幸福そうなのだった。
学生時代なんか短い。その中にいっぱい感激があったら幸せだ。たとえ舞台が去年のようにうまく行かなくても。と、あたしは年寄りくさい感慨にひたって、その白い衣服の集団を見送る。
歓喜の集団はハナからあたしなど見えいていない。見えていたのは件の男女の子供だけだ。彼らが演劇の幕をあげたのだ。
ともあれこれなら学園祭らしい光景ではある。ここがたとえ過去か未来か、あるいはもっとヤバい時空なんだとしても、時間はシンクロしているのだろう、と考える。
さて、どうやったらもとの場所に帰れるか。
つづく
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