社長を含め全員 複業&兼業の会社の社長とメンバーがそれぞれ答える 複業の壁!
noteでこんな企画を見つけました。
・複業に関する「労働時間の管理」や「複業時の労災給付」は、上記のような国の対策で十分だと思いますか?
・複業による情報漏洩のリスクや、複業する人のメンタルリスクなどは考えられないでしょうか?どのような対策が必要だと思いますか?
・そのほか、あなたが「複業の壁」と感じていることを投稿してください。
これが、日経COMEMOさんからの問いです。
今回の記事では、この問いに、社長を含め全員が複業・兼業のメンバーが思う、”複業の壁”を答えます。
全員が複業って・・・どういうこと? ~自己紹介~
全員複業って…どういうこと!?(笑)
当社の自己紹介を少し。
当社は武井社長を筆頭に、複業スタッフ約20名で事業が進んでおります。
武井社長はもともと電器屋の2代目社長さん。
現在、会社を3社経営しています。
これまでに、太陽光発電の監視システムの開発・販売経験があり、今年の6/20に遠隔作業支援システム シンクロアイズをリリースしました。
シンクロアイズの販売にあたり、社長はFacebookで右腕募集をしたり、製品やその開発理念について情報発信。
たくさんの「関わりたい!!」という人が社長の人柄・製品に惹かれて”自然に”集まってきました。
そういう形で、緩やかにスタートしたのが、チームシンクロアイズ。
最初のミーティングは7月で、発足当時は5人でスタート。
それから今に至るまで基本的に完全にフルリモート。一度も会ったことのないメンバーもいますし、会ったことがあるメンバーも1度会ったことのある程度。
その後、SNS経由で少しずつメンバーが増え、10人程度になり、さらにG-netのふるさと兼業がきっかけで20人になりました。
殆どの人は、フルタイムで仕事をしている傍らでの参加で、中には子育て中のパパやママもいます。それでもみんな、自分にできることに率先して取り組みます。
実際の進め方としては、営業担当、広報担当、WEB担当、YouTube担当、ブログ担当、イベント企画担当などなど部門が分かれており、それぞれが小さくミーティングをしながら全体に情報共有をするという形を取っています。
なかなか予定が合わないこともありますが、かなり密に連絡を取り合って仕事をうまくすすめる事ができています。
複業メンバー7名から聞いた複業の壁
上記のような形で、チームが成り立っていますが、この度、広報担当者(note、各種SNS担当)がチームメンバーに複業の壁について取材してみました!
すると、以下のような答えが・・・
会社員、男性、30代、じょんさん、子育て中
そもそも、始めるときに入り口がわからず、どこから応募すれば良いのか迷いました。
プロボノワーカーのサイトに登録したり、興味のあるボランティアに募集したりすることを考えていました。
当初は、そこで得た人脈から複業にレベルアップしようと考えていました。
ただ、運良くInstagramのストーリーでこの会社の募集を見て、応募しました。この応募方法はかなり変則的だと思います。
もし、シンクロアイズの募集に出会えていなかったら、ボランティアを選択していたと思います。
複業を始めるときの壁は
「企業が求めていることを達成できなかったらどうしよう…。」
「ノルマがあり本業に支障が出るかもしれない…。」
ではないでしょうか。
つまり、複業の壁は
①複業者に期待している仕事量が明確になっていない。
②複業したい人が自身の能力を工数として明確にできていない。
だと思います。
様々な企業さんを見学できる、ふるさと兼業のようなイベントが増えることで複業の壁は低くなるのではないでしょうか。
じょんさんの紹介記事はこちら↓
年齢非公表、YOU-MOUさん、女性
まず「副業・サイドビジネス」は基本胡散臭い。
よって、何を探しても胡散臭く見える。
実際に、セミナーなどにたくさん参加してみましたが、2割ぐらいは詐欺まがいの副業でした(笑)
そこがまず第1弾の壁。かなり厚みのある壁ですね。
続いては、やはり個人で突破するのはなかなか勇気がいる。
様々な複業に取り組んできた私ですら、ふるさと兼業さんというコーディネイターさんにコーディネイトされて、若干のぬるま湯に生温かく包まりながら参画しているわけですからなんの知識もない状態で企業に飛び込んでいくのは無理難題。
これが2つ目の壁。高い壁です。
YOU-MOUさんの紹介記事はこちら↓
会社員、30代、男性
まだまだ副業禁止の会社が日本には多いので、そういった働き方が普及しないというのはありそうです。(僕の新しい就職先が副業禁止のため。)
副業禁止が当たり前という世の中で生活してきたので、副業の仕方が分からないという方も多いのではないかと思います。
そして、「副業」という名の詐欺ビジネスが横行していて「怪しい」という印象も強いので、広まらないのかもしれません。
看護師、20代、女性
複業したいと思った時に悪質なネットワークビジネスや、悪質な複業にひっかかりがちだと思います。
そして、相談先が少ないのも壁ですね(相談先がそこの事業者の勧誘目的になるから、公平に自分の強みを見つけてそれを活かす術を見つけられる所が少ない)。
そして、やはり特に本業で学習段階の若者や新入社員は、職場からの印象が良くないと思います。
また、看護師としての世界しか知らない人が、全くの異業種に突っ込むと、知識や技術のなさから説明の段階から話についていけず、かなりしんどいです。せっかく勇気をだして一歩を踏み出しても徐々に参加しにくくなり、やがては途絶えてしまって継続できないことも多いと思います。
会社員、30代、男性
・会社の副業禁止の割合が非常に高い
(就業規則に記載されている)
昔の文化(愛社精神?)が残っている感じがあり、会社から見ると副業はやってはいけない空気感があります。
副業をやると本業に悪影響が及ぶという暗黙知のイメージが根強く残っており、副業を始めたい側からするとやりにくい・言いづらい環境があります。
・よく見かける副業は、簡単またはお金の話が最初にきていて詐欺・怪しい感じがします。
そこを乗り越えて一生懸命調べてみても、情報がありすぎてどれを信じればいいかわからず、結果的に選択ができずに始めれないことも多いと思います。
・税法に詳しくなくわからない不安
やったことがない者からすると確定申告など申請制度がわからなく手間に感じます。
副業を始めてからなにを必ずしないといけないかがわからない・不安に感じる。
・労働時間の配分がうまくできるか不安
定時後の「帰りにくい空気」を振り払う勇気が必要です。
なんだかんだでズルズル仕事をしてしまいます。
副業の時間がうまく作れないのではという不安もあります。
公務員、50代、男性、プロボノ
自分なりに複業の壁をまとめると、3つの側面かな、と。
①複業希望者自身の壁
・複業って何かよくわからない。
・「複業」という言葉の怪しさ。
・複業に興味はあっても、受け入れ先が見つからない、といったマッチングの機会の薄さ。
②受入企業側の壁
・そもそも「複業」事例がない。
・複業希望者に「複業」として何を委ねればよいか、どのように複業人材を活用すればよいか、がわからない。
③社会全体の壁
・複業に対する社会的な認知度の低さ。
✳︎労働者を取り巻く制度(所得税の源泉徴収(年末調整)や住民税の給与天引きシステム、雇用保険などなど)は一社雇用をベースに形作られているものが多く、制度が現実に追い付いていない。
✳︎複業=収入アップ(小遣い稼ぎ)のため、という一面的な見方もいまだに根強く残る。
(解決策として)
複業=スキルアップにつながる。スキルの社会還元になる。
などといった、複業が産むプラスの側面を発信することが必要かもしれません。
(例・地方の企業に関わる複業人材がまさに「関係人口」そのものであり、彼らのスキルが地方創生や地域の活性化につながったなどの事例が多数産まれている、など。これは現在、移住する人材に多い例ですが、複業人材であっても、ワーケーションなどの手法を活用するなどしてできるはず)
会社員、40代、男性
兼業を始めるまでの壁
1.私が兼業を探したときには 転職サイトとか転職の案内は多いものの、兼業副業はあまり見つかりませんでした。兼業とか副業とかワードが飛び交っているが、意外と求めている会社さんって少ないんだなと思いました。
2.そんな中、やっとみつけた兼業情報。しかし、詳細を見てみると求める人材は「商品開発に携わった人」「新規事業立ち上げの経験者」など「そりゃそんな人なら兼業でもウェルカムだよなー」っていう高スペック人材の募集ばかりで壁がありました。
兼業を開始してからの壁は
3.兼業開始当初は在宅勤務が主になっていたので、時間の融通が利いたのですが、最近出社が多くなってしまい、兼業のほうに時間を割けなくなってしまいました。やっぱり本業を優先してしまうので、そんなだったら最初からトライしない方がよいよなっていう壁。つまり、「自分の繁忙期にあわせてもらえるのかなー、融通利くのかな…?」という時間的な壁。
4.やってみてわかりましたが、知り合いや自社内で売込みをかけたときに「お前が儲かるんでしょ!」って感じの雰囲気がある。よって、なかなかガツガツ売り込めない。そう考えると、本業に関係ない人脈が必要だが、それを持っていないので、「私はこの兼業先に何の貢献ができるのだろう?」と悩んでしまう壁。
5.日本人ならではなのかもしれませんが、「商品開発に携わった人」「新規事業立ち上げの経験者」でもないので、兼業先に申し訳ないなーっていう壁もあるのではないかなと思いました。
以上、できる限りメンバーの意見を原文ママで掲載いたしました。
まとめ ~メンバーの思う複業の壁~
色々な切り口がありましたが、複業を始めるまでと始めてからに分けてまとめてみます。
複業開始までの壁
・情報にアクセスするときにどこに応募すればいいかわからない、という情報アクセスの壁。
・受け入れ先がなかなか見つからないという、受け皿不足の壁。
・受け入れ人材に求める仕事がわかりにくい、あるいは期待値が高すぎるというマッチングの壁。
・複業したいと思ったときに悪質なビジネスに引っかかる事が多く、そこで挫折するという壁。
・複業がよくないものという社会通念の壁。
・複業は怪しいという社会通念の壁。
・税法などに詳しくないため、どうすればいいかわからない、サポート体制がないという壁。
複業開始後の壁
・これまでやってきたことと違う業務に携わった場合ついていけないという壁(特に医療系など専門職)。
・労働時間の配分に関する壁。
・本業で複業で出会った製品を売り込んだときにある壁。
などにまとめることができそうです。
経営者が思う複業の壁
ここからは、経営者視点からの壁をお伝えいたします。
複業とは?複業の種類とその怖さについて
複業は、今自分の会社の肩書を外した戦闘力(スキル・資産)が丸裸になるので複業をする人にとってはアイデンティティクライシスに陥る可能性があります。
突き詰めると自分は何で貢献できるのか?に帰結します。
それを気付くきっかけとしてのファースト複業、それを踏まえて、金銭を稼ぐためのアルバイトに行くのか、複業に行くセカンド複業、完全に最初からプロとしていくフリーランス的なファイナル複業があると考えます。
自分が貢献できる分野を磨く、スキルを磨くためにオンラインサロンなど色々なコミュニティでお金を払って勉強するという手段もあるでしょう。
しかし、実際のビジネスの現場で経験を積むことほど、貴重な経験はありません。
そのため、最初のうちは知り合いの仕事を手伝うことによってスキルアップをしていくという金銭報酬を目的としない複業のスタイルもあっていいと思います。
金銭が生じる場合の関係性としては、雇用ではなくて業務委託としての複業(成果に対しての報酬)とすることで、ペースがある程度自由になるし、結果が伴うのでお互いwin-win。
経営者としては、雇用するとなるとそれなりのリスクが伴うため、経営者にとっては業務委託という形の関係が持続可能な方法の最適解かもしれない、とすら思います。
複業をする側にとっても、業務委託契約であれば、本業の繁忙期に仕事ができなくてもお互いストレスにならずに関係性を保てるのではないでしょうか?
また、雇用とは異なり成果を求められるためスキルアップが求められ、結果としてたくさんの経験をしながら早く成長できるのではないかと思います。
ただ、この働き方をするとなると経営者から見たときに、会社の肩書を抜きにした価値のあるスキル(武器)を持った人材である必要があります。
だからこそ、自分の武器がないのなら金銭目的ならアルバイトや副業。
成長とか人脈報酬を目先の目標にして、まずは実績を積むために修行をする、コミュニティに所属するという意味報酬を目当てとした場合は、ファースト複業をすることになるのではないでしょうか。
経営者に求められていること
経営者には、どれだけ複業をする人に対して投資をできるかの人間力が問われています。
正直言って、ここに気が付いている経営者はまだまだ少ないです。
特に、複業をする人はお金ではなく、やりがいを求めて複業を始める場合が多い用に思います。
だからこそ、管理し作業員にしてしまうとモチベーションは下がってしまう。
リスクを取って、勇気を持って、複業をするメンバーを信じ切り、裁量権を与え仕事を任せる度量が経営者には必要です。
確かに、複業をする人の中にはこちらの期待に応えてはくれない人も少なからず存在します。
その中でも、1勝9敗でも1勝に価値があると考え、リスクを取れる度量が必要です。
僕に言わせれば、リスクを取らない行動しないということが最大のリスクです。しかし、このリスクを取れない経営者が意外と多い。
リスクを取った先にいるのは、中小企業にとっては、普通の採用活動ではお目にかかることができないような人材。
だからこそ、そんな優秀なメンバーに対して経営者がしっかりと旗を立て、メンバーが能力を発揮できる、メンバーに働きたいと思える環境を作ることが求められます。
経営者側も何を与えることができるのか…そこが試されます。
つまり複業という働き方を採用すると、経営者側も実力が丸裸に怖さがあります。
これからの時代の働き方
これからの時代、大人数の従業員を雇用することはリスクにさえなりえます。大企業が複業をオッケーとする流れが加速している背景には、従業員を雇い、固定費を払うことが企業にとっては重りになっているということがあると思います。
その中では、中小企業が積極的に複業者を雇ってスモールリッチカンパニーとなっていく経営形態は今後の社会を生き残る手段の一つと言えるでしょう。
つまり、中小企業が大企業に勝つ可能性のある経営形態、それが複業というスタイルの採用です。
僕の持論は、可能な限りの選択肢を増やすことが、最終的な果実(利益)は大きいと思い、全員複業で事業を行うという新しい経営を実践しています。
まとめ
全員複業の会社メンバーが語る、複業の壁についてここまで述べてきました。
いろいろな意見がありましたが、あなたはどこが心に残りましたか?
厳しい世界ですが、生き抜いた先には
経営者:有力な人材を手に入れることができる、事業が拡大する
複業をする人:これまでない、やりがいのある仕事を経てスキルアップができる
というwin-winの世界が見える、それが複業ではないでしょうか?
株式会社シンクロアイズはTwitterでも情報発信しています。
これからも複業という働き方について情報発信していきますので、読んでくださると嬉しいです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。