英語論文を読む時の小さな工夫


私は仕事柄、英語論文(医療系)を読むことが多いです。しかし、それを読む時の心理的壁がまだまだ高い。英語も苦手ですし、基本ラクしたい人間ですので、「面倒くさいな」「今日は読むのやめて明日にしよう」となります。そして明日になり、また別のことで忙しい。そしてまた明日。そして、その英語論文に出会わないこともよくありました。

個人的に英語論文を読む必要性や好奇心もありますし、何かしらアウトプットしたいので、英語論文を読んだ方がいいことは間違いないのですが、やはり前述のような気持ちには負けてしまうことも多いです。


ここで大切なのは、英語論文を読むことの何が面倒なのか何が心理的壁になっているのか、を深掘りすることだと思います。英語論文を読むと一口に言っても、それを面倒たらしめるいろいろな問題があります。私ですと、そもそも英語が苦手、論文の背景知識が足りない、統計がわからない、などです。ここでは、英語が苦手、が原因による英語論文を読む時の心理的壁を例にとりたいと思います(英語の勉強そのものに関してはここでは触れません)。


本題ですが、英語論文を読む時の心理的壁をどう下げるか。
誤解を恐れずに言えば、ラクできることはラクをすべきだと思っています。もう少し言えば、英語論文を読むという工程を因数分解して、どの工程はラクしても問題ないか、むしろラクすべきかを考えています。


まず、読む媒体です。どれが一番自分にとってラクか。紙か、デジタルか。デジタルであれば、スマホか、ipadなどのタブレットか、パソコンか。どの媒体で読むのが一番適しているかは個々人によると思いますので、色々試してみて自分に合う媒体を見つけるしかないと思いますが汗
私個人は、デジタル派です。そして、ipadなどのタブレットを持っていないこと、MacBook Pro一番使用しますし、様々なアプリも導入しているので、もっぱら「パソコン」で読んでいます。他の媒体をあまり試していないので、パソコンが現時点での私の最適解なだけです(ただそれに慣れているだけのような気もします)。
では、パソコンを使用するとして、次はウェブ上で読むのか、PDFで読むのか、という選択です。後々の論文管理のため、PDFとしてPubMedなどからダウンロードして読むこともありますが、最近はpaperpileに保存してそれを通して読んだり、PDFをウェブ上で開いて読んだりとバラバラです。ただ、どう読むかに関わらず、DeepLを使った翻訳やわからない英単語の検索の過程そのものについては、ラクするようにしています。具体的に下記です。


DeepL:翻訳したい英文があった場合、それを①コピーして、②ウェブ上から(Google検索など)DeepLのサイトにアクセスして、③そこにペーストという選択肢もありますすが、①②③の3つの作業が必要になります。この作業は今後も何度も繰り返すもので(ちりつもで時間を食ってしまう)、さらにこの作業から学ぶことはない(この作業をいくら繰り返しても自分の成長にはつながらない)という観点から、この作業を減らすことを意識し始めました。下記詳細です。


Macユーザーであれば、DeepLのアプリをダウンロードしてインストールしておくことで、翻訳したい英文があった場合に、①Command+C x 2 (Command+Cを二回クリック)で翻訳終了です。元々の3つの作業が1つに減りました。どうでもよくない?というご意見もあるかと思いますが、これだけでも気持ちがラクになりますし、検索の手間が減るので、ほんの少し英語論文に対する心理的壁が減るわけです。本当に小さな一歩ですが、こうした作業を減らす工夫が他にも積み重なれば、心理的な壁はぐっと減ると思っています。


次に、PDFでDeepL使用すると改行問題にぶち当たります。一文翻訳なら問題ないのですが、例えば、段落そのままDeepLで翻訳しようとすると、改行がぐちゃぐちゃになってしまいます。手作業で改行を整えるのも面倒ですし、その手間がまた英語論文から自分を遠ざけてしまいます。対応策とては、下記です。


1)PDFではなくウェブ上で読みDeepL使用する

2)Macですと「プレビュー」アプリでPDFを開き、直接 Command+C x 2 する

3)shaperなどのサイトの使用

次に、英単語の意味を調べたい時のラクする工夫についてです。これも英単語を①コピーして、②Google検索して、③そこにペーストという工程を経ると3つの作業が必要になりますが、下記の方法を導入することで、英単語を3本指タップする、のみで辞書がポップアップ表示され、作業が1つに減ります(これもパソコンを使ってウェブ上で論文読む理由の一つです)。なお、辞書としてはデフォルト辞書に加えて、英辞郎なども入れています。
https://yu8mada.com/2018/06/16/three-finger-tap-lookup-on-macos-high-sierra-is-convenient/

https://gigazine.net/news/20160503-google-dictionary/

*2020年12月30日に”Mouse Dictionary"というChrome拡張機能を知りましたので、追記 (https://qiita.com/wtetsu/items/c43232c6c44918e977c9)。上記の3本指タップをも凌ぐ有用ツールになりそうです。Mouse Dictionaryは英文にマウスかざすだけで、単語の意味が表示されます。衝撃。詳しくは、上記URLをご参照下さい(2020年12月30日に追記)。

知り合いの先生方から色々とテクニック等を教えていただき、上記に辿り着いています。こうしたラクする工夫を少し取り入れるだけでも、英語論文を読もうとする際の心理的な壁は少し減ったように思います。


上記ではDeepLによる翻訳を例に出していますが、DeepLで翻訳するよりも英文をそのまま理解した方が適切な理解ができたり早いことも多いです。また、英語勉強のために、英文をそのまま読む努力してみることも多いです。英語でそのまま読めることが一番いいのと思いますし、あくまで上記のような小技もある、という例としてお考え下さい。


少し話はそれますが、物事の本質的なことはラクできないですし、ラクしないほうが学べることが多いです。ここでは詳細は述べませんが、何がその物事の本質目標なのかを考えることが出発点なのかなと思っています。今回の例であれば、英語論文を読むこと自体が上位目標であり(英語論文を読んだ後に、それを何に活かすかがより本質なので上位目標と記載しました)、英文翻訳や英単語検索の過程そのものは本質ではないと思っています。ですので、その過程自体はラクすることが、英語論文を読むという上位目標に近付くための小さな工夫かなと思っています。


以上、英語論文を読むときの、心理的な壁を取り除く小さな工夫という観点から、備忘録も兼ねて記載しました。

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