留学へのロードマップ
「留学したいけど、私には僕には無理だ」
「留学したいけど、何をやっていいかわからない」
と思っている方々に向けて、自分の備忘録もかねて書きました(なお、僕自身がMDで精神科医ですので、その視点になります)
具体的な留学へのロードマップの説明に入る前に、少し僕の背景について触れさせてください。ただ、僕の歩んだ道は、あくまでn=1の道にすぎません。それぞれが生きてきた背景も違うだろうし、留学への考え方も十人十色だと思います。ただ、「留学したいけど、私には僕には無理だ」に少しでも希望を持ってもらえたり、「留学したいけど、何をやっていいかわからない」と思っている人が機会損失しないように、この記録が少しでもお役に立てるなら嬉しいです。
僕の背景
学生時代を振り返ると、はっきり覚えていることが一つあります。それは、何かの講演会後の飲み会で、留学帰りの先生から話を聞いた時に「留学ってかっこいいなー。でも英語とかも大変そうだし、難しいだろうなー」と漠然と思った記憶です。なぜか覚えています。当時は、現在と違って、まだまだSNSなども発達しておらず、大学も地方だったので、おそらく情報は限られていたと思いますし、学生であり世間知らずだったので、留学について調べたりもしていませんでした。
初期研修では、憧れだった東京デビューができたことで、舞い上がって過ごした2年間でした。初期研修後の道(何科にするか、どこで働くか)しか考えておらず、留学など全く考えていませんでした。
精神科というのはなんとなく決まり、そして大学の入局説明会の印象が良かった、オプション期間(自由な3ヶ月間)も楽しそうだった、というただそれだけで入局を決めました。その当時も、留学については考えていませんでした。
精神科2年目が終わる頃に、研究室のボスに声をかけてもらい、研究室に所属。そこからですね、留学への意識がより強くなり始めたのは。ボスが留学を勧めてくれたこと、すごい先輩や同期に囲まれていたことで刺激をもらったことが影響しました。その「環境」が、それまでは漠然としていた「海外留学してみたい」という気持ちに火をつけてくれたんだと思います。
精神科4年目が終わった後に、大学院に入り4年間大学院生活を楽しみました。それまで臨床業務一筋でしたが、大学院では臨床業務がグッと減り、研究などに専念できる恵まれた環境だったので、楽しかったですね。(話はそれますが、臨床自体は楽しかったしやりがいもありましたが、やはり疲れましたね。現在の精神科における働き方の仕組みがベストとは言えないと個人的には思っているので、その点をもっと改善できる、もっと面白くできる仕組みとかも興味があり、それについては今も色々考えています)。大学院時代も留学思考の同期が多く、それも刺激になりました。
そして、2017年から留学。という流れです。
ーーーーーーーーーーー背景のまとめーーーーーーーーーーーーーー
2001-2007年 大学:留学思考 小(憧れはあり)
2007-2009年 東京で初期研修:留学思考 小
2009-2013年 入局し、精神科レジデント:留学思考 中
2013-2017年 大学院:留学思考 大
2017年- 留学(現在、ポスドク4年目)
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前置きが長くなりましたが、ここから留学へのロードマップです。2部構成になります。まず、1)僕の経験をそのまま記載します。その後に、2)今から振り返った際の、もっとこうできたかな、という視点を交えて記載します。
1)僕の経験
留学とは少しずれますが、僕が初めて筆頭著者で論文を書いてアクセプトされたのは2013年(大学院入学前から論文作成開始して、大学院1年目にアクセプト)です。これは、後々、留学にも関わってくることなので、記載しました。
【留学先選び】
留学の具体案(どこに留学するかなど)を検討し始めたのは、留学の1年半前です。これはボスからこの時期に動き始めるといいと言われました。何を具体的に始めたのか、と言われるとその時点ではそんなに無いんですが、大学院に入った後から、ボスとは1−2週間に一度は定期ミーティングをしてもらっており、時々、留学の話もでていました。そして、留学の1年半前より少し前の時点で、「留学してみたいです」ということを伝えました。そうなると、次はどこに留学するかです。大学院も入って、留学もしておりますが、もともと科学を極める、研究で世界を変える、というような崇高な想いがあったわけではなく、その都度、面白そうな道を選んだこと、また臨床で忙しかったこともあり、少し臨床から離れてみたいという思いもぶっちゃけありました。なので、これこれの謎を解き明かすために、こんな研究がしたい、という明確な問題意識はなかったです。ただ、海外留学への憧れ、留学すると箔が付きそう、という思いが強かったです(ぶっちゃけると、科学への貢献という視点が強かったわけではないと思います)。留学先については、ボスが留学していた施設、そしてそれまで先輩方や他の同僚が行っていない研究室や研究内容を軸に考え、ボスの伝手で、現在のラボに決めました(ボスの勧めもありました)。
では、次に受け入れ先との交渉です。これについては、ボスが現在のラボのボスと連絡をまずとってくれました。「留学に興味がある若手がいるけど、ポスドク募集してる?」とメールしてくれて、「募集してる。今度の国際学会で顔合わせしない?」とメールが来ました。おそらく、その時点で、ほぼ決定してました。2016年4月頃の国際学会で、今のラボのボスと初顔合わせ。ボスと今のラボのボス、そして僕の3人で軽く面談して(英語もあまりうまく話せなかったと思いますが汗)、じゃあ、進めていこうという話になりました(後でも書いてますが、結構あっさり決まりましたが、これが一般的な流れということではありません)。
【お金】
次に、お金です。お金については大きく2つあると思っていて、①生きていくためのお金 と ②留学をセキュアするためのお金 です。①はそのままで、留学にかかる費用で、引っ越し代、留学先での生活費などです。僕は、嫁さんと2人での留学だったので、養育費はかかりませんでしたが、それでも金はかかります。いくら貯めておけばいいか、という疑問もあるかと思いますが、留学する年数、留学先の場所(地価や物価)、家族構成などにもよってかなり左右されますね。何より、支出は増えるが、収入は減るというのが痛いです。僕は結構大雑把で、ま、医者だし何とかなるか、と思っていたタイプでした。無論、貯金もしてましたが。具体的な金額は失念しましたが、500万くらいは留学資金に当てようかなと思って、貯めていたと思います。参考までに、現在の経済事情の一部をお示しすると、留学中の現在の月の支出(嫁さんと2人暮らし)は、あくまで概算ですが、家賃(共益費込み)100,000円+食費携帯代15,000円+食費50,000円+クリニカルフェローの保険30,000円+雑費。家賃はかなり安いところを運よく見つけられたので、だいぶ抑えられています。固定収入は奨学金が月40万円ですが、他にも雑誌の執筆費などなどです。暮らしていけますが、日本への一時帰国代など突発的な支出や少し贅沢をしようと思ったら、やはりお金の貯蓄はあった方がベターです。なお、コロナの影響で、外食も減り、遊ぶことも減ったので、支出は減りました。
次に、②です。これもあくまで個人の経験ですが、受け入れ先のラボは施設の労働基準的なこともあり、無償でポスドクを雇うわけにはいきません。なので、受け入れるポスドクの給与のセキュアが必要になるわけです。それをセキュアする方法は大きく以下の2つにわかれます。一つは受け入れ先のラボが給料をポスドクに支払う、二つ目にポスドクが自分で奨学金などを獲得してそれで賄う。これはあくまで推測ですが(でも多分当たってますが)、受け入れ先のラボからしたら後者がいいです。実力やラボへの貢献度も未知な人材にいきなり自分のラボのお金を払いたい人はいません。そのお金もラボが大きな競争的資金を獲得して得たものです。そこからの無駄な支出はもちろん避けたい。ラボのボスはラボを存続させることが最優先です。無論、研究を通しての社会貢献が究極目標ですが、それ以前にラボがなくなれば、元も子もない。その存続のためには、お金がいるのです。なので、受け入れ先のラボからしたら後者が理想的なのです。
【CVなど】
前述の「ポスドクが自分で奨学金などを獲得してそれで賄う」ために、留学の1年半前から(受け入れ先のボスに会う前から)、海外留学のための助成金や奨学金への応募準備を始めました。ボスや先輩にどんなものがあるか教えてもらったりして、情報を集めました。受け入れ先のラボも、そこは力を貸してくれます。具体的には、研究案を事前に送ってくれて、それをもとに、日本で応募する海外助成金の応募に使わせてもらいました。だいたい留学する年の夏頃から海外助成金の応募が始まりますので、出来る限り応募しました。そして、運よく2年間分の海外助成金(2年間で700万円)を獲得でき、それをもって、2017年から留学という運びになりました。
この海外助成金応募に当たって、必要なものが大きく2つあります。1つは研究案(前述のもの)、もう1つはCVの強さです。前述の通り、研究案は留学1年前くらいから準備してました。ただ、CVに関してはそれでは遅いです。ではCVの準備をいつ始めるか?今からです。これはCVの書類の準備ではなく、CVを強くする過程のことです。CVとはラテン語のCurriculum Vitaeの略で、いわゆる履歴書です。履歴書には、(自分の)教育歴、職務歴の他、発表論文、獲得したアワード、研究費、学会発表歴、(人への)教育歴を記載します(海外のNIHの規定CVとかだと、自身の研究の大きな流れ、何を達成してきたかなどのストーリーも重視されます)。つまり、これは一朝一夕で作られるものではなく、日々の積み重ねが重要になるわけです。海外では、競争が激しいです。学生時代からCVを強くしようとしている猛者たちで溢れています。ですので、留学を少しでも考えている場合は、今からCVを強くすることを意識する、そして行動することが大切です。具体的に何をすればいいのか?一つ言えることは、研究を開始し、論文を書くことです。論文が増えれば、アワードを獲得できる可能性が高まります。そして、またそれが次のアワードにも繋がり、助成金獲得にも繋がります。あと、アワードや助成金には年齢制限がある場合もあるので、早め早めに着手できればベストです。CVを強くする第一歩は、論文です(CV強くするために論文を書くというのは本質ではないですが、ここではわかりやすいようにそう書いてます)。やりたい研究があれば、それをネタに論文を。やりたい研究がわからない、何をしていいかわからない、場合は、まずは何でもいいから指導医に言われた通り論文を。何でもいいです。まず論文書くことです。僕の場合は、これをボスはわかっていて、早めに論文に着手させてくれました(無論、留学するしないに関わらず、研究をする、論文を書くということ自体に大きな意味があります。ぜひ、論文を書く経験をしてみて下さい。世界が変わります)。無論、日本で海外助成金が獲得できなかったから留学できない、というわけではなく、あくまで留学への可能性を高めるために、海外助成金を獲得できたらベターということです。あとは、CVのイメージを掴めた方がいいと思うので、留学者のCVを見せてもらうのも大変参考になると思います。僕もボスにCVを見せてもらって、非常に参考になりました。
【英語】
ボスから英語は早めにやっておくように言われてきました。具体的には3つのことは日本にいる時からやってきました。英語と一口に言っても、論文を書くことと、いわゆる日常のコミュケーションは異なります。下記は、日常のコミュニケーションに関して取り込んだことです。
①大学院に入ってからは、ボスに力を貸してもらい、ボスとのミーティングは英語にした。
②外国人の研究者が講演会に来た時は、1つは質問することにした。
③自主勉強:系統立てて勉強したとは言えず、なんとなく何か勉強していたと思います。日本にいた時には、そこまで自分を追い込んで英語勉強はできていなかったと思います。
【家族への説明】
留学は家族にとっても、大きな人生の転機です。急な変化はやはり不安だと思うので、僕の場合は、嫁さんには留学決定するだいぶ前から、留学するかもしれないと少しずつ伝えるにしていました。嫁さんは英語とかも苦手だったし、仕事も辞めなきゃいけないし、と多くの不安があったかと思いますが、ありがたいことに留学には賛成してくれました。大きく揉めることはありませんでした(それでも、留学後のストレスはかなり大きかったと思います)。もしご家族がいるなら、早めに話し合っておく方がいいと思います。
2)今から振り返ると
ここからはあくまで、留学生活3年目が終わった時点で、振り返ってみての感想です。個人的な経験に基づく見解なので、あくまでご参考までに。
【留学先選び】
前述の通り、僕は自分で積極的にラボを探して見つけたというよりはボスに導いてもらった感じが強いです。そのお陰で結構あっさり留学先が決まりまりましたが、この流れはラボによります。もっとがっつり面接するラボもあったりしますし、より競争の激しいラボもあるとは思います。さらには、伝手のない状態から留学を考える場合、自分で世界中のラボの情報を集めCVを送りまくったり、興味のあるラボの研究者が講演にきた時に積極的にアピールし自分を売り込んだりして、留学へのチケットを勝ち取った人もいます。そういった方々は自律性も高く、本当にすごいなと思います。
留学へ導いてくれたボスをはじめとした周りの環境には感謝しかありません。そして、受け入れてくた今のラボにも感謝しています。そして留学してみての後悔は全くありません(*苦労はあります笑)しかし、振り返ってみると、留学先を決める際に、もっとより深く自分との向き合うこともできたかもしれないなと、と思います。
何の研究をしたいのか、どこで学びたいのか、そのために何をすべきなのか。そもそも研究したいのか、どんな好奇心があるのか、偉くなりたいのか、金が欲しいのか、世界を変えたいのか。どれがダメというわけではなく、自分と向き合い、考え、行動し、振り返り、また考え、行動する。この繰り返しの中でしか、自分のやりたいことは見えてきません。自分で主体的に取り組むことで、自律性が発揮できて、結果的に生産性も向上します。結果的には人生においても、自主的に取り組んでいく方が、面白いし楽しいです(突き詰めれば、どう生きたいのか。人生論に行き着きますが汗 ま、それはさておき)。しかし、当時の自分は自律性が高いとは言えませんでした。
つまり、早め早めに考えて(自律性を持って)行動することで、選択肢が広がるし、その方がもっと面白いと思うのです。一昔前なら、情報源は周りの知り合いから得るしなかったかもしれません。でも、今は行動さえすれば、SNSで誰とでも繋がれます。世界中の有名な研究者とも連絡が取れます。ですので、医療界の常識にとらわれず、広い世界を知ることが大切です。今ある人間関係には感謝し、その上で、それに甘んじることなく、自分に言い訳することなく、情報を集めて行動する。それが、自律性だと思っています。ただ、医者の中で、留学前からやりたい研究が明確化している人はごく一部なんじゃないかなとも思っています。出会いと環境の中で、導かれて、その道を選んでいく人も多いと思います(僕もそうでした)。それも決して悪くないと思います。それでも、もっと自分が主体的に動いてれば、何かがまた違ったのかもしれないと思ったりもするので、自戒を込めて書きました。
【お金】
お金に対する向かい方も、千差万別ですので、あくまで個人的な見解ですが、もっとお金の勉強をしておけば良かったと思います。もちろん前述した通りの準備で、生活自体は困っていません。ただ、このやり方では増えることもありません。医者は医師免許とった時点で、勤務医でも年収1000万円以上はかたいです。僕もそこに心の隙が生じました。何もお金のことも経済のことも勉強してこなかった。この資本主義社会において、それは不勉強だったと思っています。医者は1000万円以上はかたいですが、それに慣れてしまうと、もう引き返せません。つまり、それを保ちたい、欲を言えば、もっと欲しいという欲が出て来ることもあります。でも収入がそれほど変わるわけではない。でも生活は徐々に変わっていきます。結婚、出産、子育てなどです。支出は増えるのに、収入は比例して伸びることはありません(普通に勤務医ならばですが)。でも生活の質は落とせない、なので、生活のために外来、当直、という流れ。ましてや留学となると、余計に費用がかかります。本当は研究に時間を割きたいが、生活のために研究以外のことをしなければいけない。という自己矛盾。これを仕方ないと捉えるか、対応策を考えるかは人それぞれだと思います。現在、僕はあがいています。
僕は、シンプルなものが好きで、シンプルな公式とかも好きです。お金に関しては、下記がシンプルで頭に残りやすかったので、気に入っています。
「人類の歴史に貨幣が登場して以来、お金持ちになる方法はたった3つしかありません。さらには、その方法はわずか1行の数式で表わすことができます。 もったいぶらずにお教えしましょう。これが、お金持ちの方程式です。 資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)」(新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ https://www.amazon.co.jp/dp/B0746CMBJD)
いたってシンプルです。金持ちになるには、①収入を増やし、②支出を減らし、そして③資産運用する。ここで留学に絡めて考えると、①は留学前に働いて稼いでおく、留学してもできる仕事を見つける、などが思いつきます。あとは、人それぞれで考えるしかないですが。②はやはり固定費を減らすのが一番です。家賃、車代など意外と削れるものはあります。③は勉強するしかないですが、銀行に預けていても増えることはありません。株などの投資をしつつ、留学費を稼ぐ人もいると思います。決まったやり方はないですが、お金との向き合い方を考える時間も少しあってもいいのかなと個人的には思っています。これも自分と向き合うことにつながるのかもしれません。お金儲けがいいとか悪いとかの議論ではありません。あくまで、個々人のお金との向き合い方だと思います。
【CV】
先にも書きましたが、もしまだ何をやりたいかわからない場合は、指導医の助言に従い、どんどん研究し論文を書いてみるのが一番だと思います。そして、いつかは一つの研究分野を深掘りして研究のストーリーを作っていった方が、いいです。僕は器用貧乏で、色々手を出して、分野もまだまださだまっていないのが弱点です。疾患を絞り、手法を絞るなどした方が、そこを深掘りでき、自分だけのブルーオーシャンが作れます。そうなると、根底にある背景は同じなので、論文も書きやすく生産性も上がります。そうなるとCVも絶対強くなります。もっと、ストーリーを意識すべきだったと思っています。研究者としてやっていくなら、尚更このストーリーは重要だと思います。
【英語】
僕の努力不足もありますが、思った以上に、英語は壁でした。留学への目標は人それぞれ(海外を楽しみたい、研究で成果を出したい、など)。もし留学して成功したいという野心あるなら、英語は絶対です。ネイティブでない日本人が英語を学んで、ある程度話せるようになった。日本ではすごい、と言われるかもしれません。でも海外では、それが普通です。誰もが普通に英語を話し、たくさんのバイリンガルがいます。英語ができない、極端に言えば、これはコミュニケーションが成り立たなたいと同義であり、仕事も研究も進みません。進まないとは言いません、ただ、心理的にも気持ちが萎えて、進みは格段に遅くなります。英語は目的ではなく手段です。ただ、この手段がないと、圧倒的な機会損失を生みます。日本だと、英語論文読むと、「すごい!」と思われるかもしれません。でも考えてみてください。日本語で論文や本を読んで「すごい!」と思うでしょうか?勉強することは大切で素晴らしいですが、日本語で読んでること自体は別にすごくない、と思いませんか?英語ネイティブからしたら、その感覚で最新の論文を読みまくっています。人によって差はあると思いますが、それが日常です。そう考えると、英語による日本人のビハインドが容易に想像できると思います。日本人の能力が海外の人に劣っているとは思いません。ただ、英語の壁による情報格差、機会損失の大きさは、甚大だと思っています。AIが英語の壁を壊す日もいつかくると思います。ただ、まだその時期ではないです。ですので、今から、英語に触れ続けてください。
日本にいると、どうしても英語に触れる機会は減ります。一部のすごい人をのぞいて、日本という日本語環境にいながら、英語を学び続けるのは至難の技です(必要性がないからです)。僕は、英語に関する勉強に関しての講演を聞いたり、本を読んだら、その時はモチベーションが湧きます。でも続きません。もし、僕と同じ感じであれば、その点は自分に期待せず、仕組みと環境を変えたほうが効果的です。こちらのGoogleドキュメントで、自分なりの英語学習法についても記載しております。この中には、「英語教材編」を最初に記載していて、僕がやって良かった教材を記載しています。個人的にはオススメのものばかりですが、本当に大切だと思うのは、教材という単なる知識ではなく(結局、教材との相性は人によっても違いますし、ググればいくらでも教材は出てきますので)、どう英語に触れ続けるか、という継続性だと思います。なので、先ほどのリンク内の「思考編」「行動・戦略編」などが大切なんじゃないかと思っています(「革命編」は個人的には目指したいところですが、留学に関してはやや現実的ではないかもです笑)。もっと仕組みを整えて、英語を勉強しておけば良かったと常々思っています。ま、続けるしかないのですが汗
以上です。
留学に向けた、今日からのアクションプラン。
1)英語論文に触れる(読む、書く、なんでもいいです):英語を読むのが苦手な場合は、こちらもご参照ください。
2)英語に触れる(聞く、話す):既出ですが、僕なりの英語学習法もご参照ください。
3)自分と向き合う時間を作り、考え、行動する(ほんの小さな行動で十分):小さな行動の重要性については、こちらの著書も参考になります。
最後に
2つお伝えさせてください。
1)「留学したいけど、私には僕には無理だ」と思っている方へ。
ここまで色々書いてきましたので、なんだか留学って大変そう、やっぱり自分には無理だ、と思う方もいるかもしれません。僕もそうでした。でも、留学してます。それは僕が頭がいいとか能力が高いからではなく、環境に恵まれたのと、少し戦略を考えるのが好きだったからです。環境(環境が変われば接する人も変わります)が、人を変えてくれます(プラス、できれば居心地のいい環境がいいとは思います)。そして、戦略も大切だと思います。もっとシンプルに言えば、これまで述べてきた通り、早めに情報を収集して、行動するということです。そして、(自己啓発的な言い方になりますが)自分の可能性を絶対に否定しないことが大切です。人間の能力差なんてほとんどないです。もし目の前に困難があるなら、それを打破する戦略を練ればいい。無理だと思っているのは、現在の自分自身の思考であって、それはもしかしたら医療界の常識が影響しているのかもしれません。無理だ、不可能だ、なんて諦めるのはもったいないです。心では根拠のない自信持って、そして現実的には情報集めと行動。この根拠のない自信と実際の行動の掛け算が、人を前進させてくれます。
2)情報発信について。
これまで、留学に関して早め早めに情報を集め、そして行動に移して行った方がいい、ということを書いてきました。このnoteもその情報の1つとして活用してもらえたらいいと思っています。僕がこうした形で情報発信している理由は、何かを後進に伝える時の僕の信条が「見て覚えろ文化」からの脱却だからです。言うなれば、「自分も苦労したから、お前も同じ苦労をしろ」という考えからの脱却です。僕は聖人君子ではないので、自分が数年かけて得たものを数ヶ月で誰かが吸収すれば、やはり悔しいという気持ちは湧きます。ただ、それを理由に自分と同じ苦労を後進に強いては、日本の医療界の発展はないと思っています。
自分がしてきた苦労や対応策などは言語化して、後進にいち早く伝え、機会損失を無くし、もっと大切なことに時間を使ってもらい、自分の人生を楽しみ、医療者としては患者さんに還元する時間にあてて欲しいと思っています。無論、後進の成長につながる苦労は、やってもらった方がいいことも、もちろんあります(その場合は、なぜこれをやった方がいいのかというその理由も説明した上で、やってもらうのがいいと思ってます)。ただ、「自分も苦労したから、お前も同じ苦労をしろ」という感情から情報を出し惜しみしているなら、それは自分の信条ではないので、出し惜しみするつもりはないです。この情報化社会、さらにはAIがさらに発展している現在において、答えのある知識はいち早く共有し、みんなで次のステージに行こう、それぞれにもっと時間を使うべき大切なことがある、そう思っています。だから、情報発信が好きなのです。
繰り返しになりますが、あくまで個人的な経験と見解です。色々な人に話を聞いて情報を集め、そして行動。これに尽きると思います!
長文になりましたが、お読みいただきありがとうございました。