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[読書メモ] スティーブ・ジョブズの生声

スティーブ・ジョブズの生声

著名な実業家の実際に発せられた発言をピックアップする「生声シリーズ」のひとつ。言わずと知れた有名企業であるアップル創業者スティーブ・ジョブズの実際の発言をもとに編集されている。本書を通じて、スティーブ・ジョブズのハードとソフトの両方を重視する強烈なマインドを改めて再発見できる。技術者とアーティストの両方の側面を持つことの重要性にとても共感した。市場調査やコンサルティングの情報よりも、自分自身が欲しいと思えるものに忠実になるというポリシーも感銘を受ける。

真のアーティスト

真のアーティストは出荷する。
Real artists ship.

スティーブ・ジョブズの生声|P.19

究極のアウトプット至上主義。アートを作り出したものは、そのアートを人々に見てもらう責任も負うべき。頭の中で考えたモノをカタチにしてアウトプットすることの重要性は全ての事物に通じる。

アーティストの才能

アーティストの才能というのは、身の周りにある物事の本質を見抜く力のことだと思う。そういう洞察力を持った人は、誰もやったことのない方法で物事を組み合わせ、それを洞察力のない人にも分かる方法で表現できるんだ。
I think the artistry is in having an insight into what one sees around them. Generally putting things together in a way no one else has before and finding a way to express that to other people who don't have that insight….

スティーブ・ジョブズの生声|P.51

この組織はすっきりしていて、分かりやすいし、とても理にかなっている。すべてがシンプルになったよ。「フォーカスとシンプル」が私のモットーなんだ。
The organization is clean and simple to understand, and very accountable. Everything just got simpler. That's been one of my mantras ー focus and simplicity.

スティーブ・ジョブズの生声|P.95

複雑な社会、複雑な事物の本質をシンプルに捉えることはとても重要。シンプルに抽象化すると、様々な事物の組み合わせの検討がし易くなる。組織もシンプルであればあるほど、組織を初見で俯瞰したときに誰もが腹落ちしやすい。

イノベーションを実現するために

イノベーションは、研究開発費の大きさとは関係ない。アップルがMacを開発していた頃、IBMはその100倍以上の研究開発費を使っていた。要はお金じゃないんだよ。肝心なのは人であり、人をどのように導くか、そして人がどれだけのことを理解できるかだ。人々の生活に欠かせない製品やサービスであれば、競合する会社が少なくとも2社はあるだろう。アップルはその二番目の競合会社として立派に役目を果たしている。
Innovation has nothing to do with how many R&D dollars you have. When Apple came up with the Mac, IBM was spending at least 100 times more on R&D. It's not about money. It's about the people you have, how you're led, and how much you get it.

スティーブ・ジョブズの生声|P.98

我々はこう言った。「盗みをやめさせたかったら、ムチだけじゃなく、アメを与えなきゃだめだ」ってね。アメにあたるのは、これまで以上に素晴らしいユーザ体験を提供すること、そして1曲たった1ドルにすることだよ。
We said: We don't see how you can convince people to stop being thieves, unless you can offer them a carrot ー not just a stick. And the carrot is: We're gonna offer you a better experience… and it's only gonna cost you a dollar a song.

スティーブ・ジョブズの生声|P.145

うちは市場調査は行わない。コンサルタントも雇わない。<<中略>>ただ素晴らしい製品をつくりたいだけだ。
We do no market research. We don't hire consultants… We just want to make great products.

スティーブ・ジョブズの生声|P.206

ポップカルチャーに便乗しているのではない。世間の人々をだますとか、欲しくないものを欲しいと思わせているわけでもない。自分たちが欲しいものを考えているだけだ。

スティーブ・ジョブズの生声|P.247

イノベーション(革新)は、目的・ゴールが大切。次にその手段。アップルは研究開発やニーズの調査よりも、目的・ゴールに向けてユーザーをどのように導くかが重要であることをよく知っていて、かつ実践できる企業。
また、ビジネス的な利益よりもユーザーに体感してもらいたいという欲求に対して忠実であり、誠実である。

アートとテクノロジー

それら(アートとテクノロジー)が別々のものだと思ったことはない。レオナルド・ダ・ヴィンチは偉大なアーティストであり、偉大な科学者でもあった。ミケランジェロは、採石場で石を切り出す方法について膨大な知識を持っていた。私が知っている十数人の天才的なコンピュータ科学者はみな音楽をやっている。
I've never believed that they're separate. Leonardo da Vinci was a great artist and a great scientist. Michelangelo knew a tremendous amount about how to cut stone at the quarry. The finest dozen computer scientists I know are all musicians.

スティーブ・ジョブズの生声|P.112

異なる分野のものを融合させた人はたくさんいる。ポラロイドのランド博士は「ポラロイドはアートと科学の交差点に立っていたい」と言った。私はこの言葉が忘れられない。
People bring these things together a lot. Dr. Land at Polaroid said, "I want Polaroid to stand at the intersection of art and science," and I've never forgotten that.

スティーブ・ジョブズの生声|P.113

システムデザインもアート思考を持つことで、シンプルで美しいデザインが出来る。都市のデザインもアートセンスが重要。エンターテイメントパークのディズニーランドも、アート思考でデザインされているからこそ人々を引き付ける。
優れた技術者は、優れたアーティストである。アップルの製品は、アートとテクノロジーが完全に融合している。アートに偏ってもいないし、テクノロジーに偏ってもいない。

テクノロジー企業の意思統一

テクノロジー企業であっても、製品を中心に考える文化が必要ということだ。社内に一流のエンジニアや優秀な人材が山のようにいるところは多い。でも、最終的に全員を1つにまとめる引力のようなものが欠かせない。それがないと、素晴らしいテクノロジーの欠片たちが宇宙を漂うだけだ。大したものにならない。
You need a very product-oriented culture, even in a technology company. Lots of companies have tons of great engineers and smart people. But ultimately, there needs to be some gravitational force that pulls it all together. Otherwise, you can get great pieces of technology all floating around the universe. But it doesn't add up to much.

スティーブ・ジョブズの生声|P.160

1つにまとめる引力の代表的な例は、会社のカリスマCxOによるトップダウン。これはテクノロジー企業のみならず、社会全体(国、法人企業)に言える。
頭で考えられたものが具現化されずに未完成のまま宙に浮いてしまうことを、宇宙のデブリに見立てている。本書を通じて語られるプロセスは、「素晴らしいテクノロジーの破片」を「put things together(組み合わせ)」て「誰にでも理解しやすい形でship(出荷)」することが重要だということ。

間違った製品アピール

機能や利点、RAMのスペックなんかを並べ立てても宣伝効果は得られない。グラフや比較表を使ったところで同じだね。相手に伝わるのは心に響くものだけだ。
We don't stand a chance of advertising with features and benefits and with RAMs and with charts and comparisons. The only chance we have of communicating is with a feeling.

スティーブ・ジョブズの生声|P.216

自社の製品を紹介する際に、類似製品の比較や過去の製品よりどれほど優れたものであるかをアピールすることは多い。一方で、ユーザーが欲しいと思うものは必ずしも何かと比較して優れているモノではない。ユーザーが今欲しいもの、将来欲しくなるものが何であるか。これは比較や統計ではなく、人間による感性と想像力でしか発見できない。

心に残るものだけを

メモを取る必要はない。大事なことなら覚えているはずだ。
You don't need to take notes. If it's important, you'll remember it.

スティーブ・ジョブズの生声|P.217

良い製品であれば、人の心に必ず引っかかる。重要な言葉であれば、人の心に必ず引っかかる。

3つの技術

(ゼロックスのパロアルト研究所は)その真価を完全には分かっていなかったが、3つのアイデアの芽を見つけていた。その3つというのが、グラフィカル・ユーザー・インターフェース、オブジェクト指向コンピューティング、ネットワーキングだったんだ。

スティーブ・ジョブズの生声|P.238

これらは全て利用者にとって必要不可欠なもの。オブジェクト指向コンピューティング:利用者のやりたいことに沿って、ネットワーキング:いつでもどこでも、グラフィカル・ユーザ・インターフェース:利用者に体感させることができる。これが究極のUI/UXになる。


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