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Airbnbはいかにして優れたカルチャー/ブランドを創りあげたか、というシンプルな話。

上記サムネイルはAirbnbの本社に訪問したときのもの。
それまで、私の中でこれほどまでにAirbnbがカルチャードリブンで成長してきたことを知らなかった。一度、その本社に足を踏み入れるまでは。

そこからAirbnbという会社は、企業文化を知る上で重要な生きた教材となった。

結論。優れたカルチャー/ブランドを創り上げるに必要なのは以下の3つにシンプルに集約できる。

1. クリアなミッション/コアバリューを持つ
2. ミッション/コアバリューを繰り返し伝え続ける
3. ミッション/コアバリューをベースに人を採用し、従業員こそが社内外へミッション/コアバリューのエヴァンジェリストとなる

一見するとシンプルな話し。そんな3つの行間を埋めていこう。

ネタ元は世界中で熱狂的なファンを持つAirbnb(エアビーアンドビー)の創業者、ブライアン・チェスキーがY combinatorのスタートアップスクール「How to Start a Startup」で語ったカルチャー/ブランドの話。
ちなみにこちらは動画でもYouTubeにupされている。

まず、彼が言うように、グロースやファンディングの話に比べて、カルチャー(企業文化)の話は表に出てくることが極端に少ない。なぜか。言葉を借りるとこういう力学だ。

カルチャーにフォーカスを当てることの難しさは、そもそも語られる事が少ない。そして定量的に効果を測れない。ただ、最も問題なのは、良いカルチャーを創ることに力を注いでも、短期的に効果が現れないことだ。

プロダクトがマーケットフィットしたら、次はいかに永続する会社を創るかという視点に切り替えることが重要だと言う。ブライアンらはAppleやNIKEなど成功する企業を徹底的に調べた。共通点は、クリアなミッションとコアバリューを確立しているということだった。

成功する会社から学んだことは「カルチャーはデザインされるべき」ということ。ザッポスのCEOトニーに話しを聞きに行った時、驚くべきは数百名を越える社員全員が10つのコアバリューすべてを書き出すことができた。

また、組織やカルチャーを一つの方向にアラインメントするコアバリューという存在と、一見対峙するかのようなダイバーシティ(多様性)という視点。その連立方程式は、彼に言わせると以下のような解が得られる。

組織づくりにおいてダイバーシティは大事、それはバックグラウンドや年齢に関して。但し、コアバリューに関してダイバーシティは必要ない。

ミッションやコアバリューは決して変わることはない。10年後20年後、会社がどんな事業に形を変えようが、変わることが無いのがミッションとバリューだ。Airbnbは、シェアリングエコノミーという文脈で語られるような部屋/空きスペースのマッチングがミッションでは決してない。

ミッションで大切なのは「WHAT」はなく「WHY」。我々のミッションは部屋のブッキングや旅をサポートすることではない。我々のミッションは「help creating a world where you can belong anywhere(人々がどこでも居場所がある世界を創ること」

そんなミッション、バリューにそった採用こそカルチャー/ブランドの基礎となる。ブライアンはCEOの仕事を以下の3つだと定義する。
1. ミッションを明確にすること
2. 戦略を描くこと
3. 優秀な人を採用すること

これさえやれば、あとは勝手に会社が創られていくと。

採用で大事なのは「ワールドクラスの優れた人材」の採用。そして「バリューに沿ったカルチャーフィット」。そのために、採用においてはこんな質問を必ずする。「もし世界中のひとを誰でも採用できるとして、それでもこの人を採用したいか?」と。バリューのチェックはそれだけをチェックする面接官を用意してカルチャーフィットだけをみる。エンジニアにエンジニアは当てない、徹底的にバイアスを取り除く。

カルチャーとブランドはコインの表裏だ。シリコンバレーでさえカルチャーやブランドの話はグロースやファンディングの話に比べたら圧倒的に少ない。そんなカルチャーと鏡合わせのブランドとの関係を、ブライアンはどのように築いてきたのか。

カルチャーはその会社の人々が何を信じているか。つまりクリアなミッションを持つこと。ブランドは会社が発信する外の世界に対する約束だ。その約束を発信するのは、カルチャーを信じて熱狂している従業員にほかならない。その熱狂がユーザーに伝わり、強いブランドが創られる。

また、有名なスティーブ・ジョブズの例を引き出し、こうも説明する

ジョブズがアップルに復帰した時、彼が話したのはコンピューターの話しでもビットやバイトの話でもない。コアバリューだ。我々は世界を変えられるというバリュー。アップルの製品を買うということは、そのバリューを信じるということだ。それが強いブランドとなる。

では、Airbnbは何を信じて、何を発信しているのか。

かつてはコモディティのように「Airbnb is a cheap, affordable alternative to hotel(エアビーアンドビーは安くて手軽なホテルの代わり)」というキャッチコピーだったが、次のように変えた。
「Travel like a human(人としての旅を)」
WHATではコモディティになる。何を信じているのかというWHYを伝えるべきだ

おおいに意訳しているが、概ねブライアンはこんなことを言っている。

Airbnbの成功が、いかに優れた企業文化デザインの元に成り立っているかが良くわかるエピソードばかりだ。

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Kenji Tomita / 冨田憲二
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