山間の小学校で学んだこと
※この記事は過去にシン・エナジーの公式ブログ「ミラトモ!」に公開された2018年8月の記事の再掲です。内容はすべて当時のものです
22階建ての神戸国際会館14階にある私たちの神戸本社にはシンプルな木の額縁に入れた16枚の絵が今春から壁に飾られている。
入口のドアを開けると3枚、多目的会議室に13枚が飾られ、事務所の雰囲気に溶け込んでいる。
実は作者は1年生から6年生までの小学生ばかりだ。
今年初め「持続可能なまちコンテスト」と銘打って小学生を対象に絵画を募集したところ応募してくれた皆さんの作品だ。
赤や青の絵の具を使って太陽光発電所や水力発電所、樹々に囲まれた街を生き生きと描き出している。
第1回 コンテスト受賞作品(2018年開催)
このコンテストには島根県の山間にある邑南町(おおなんちょう)日貫(ひぬい)小学校から4人の生徒さんがまとまって応募してくれた。
「日貫には木や竹や太陽や川がいっぱいあるけど今はつかっていません。洸陽電機(シン・エナジーの旧社名)さん、力をかしてください」といった内容の手紙が4人分ついていた。
小学校に電話をかけて聞いたら数年前から1~6年生全校13人で再生可能エネルギーをテーマに理科と社会の授業をしてきたという。
社長に絵と手紙を見せ、この経緯を伝えた。
「学校の邪魔にならなければ出前授業をしようか」
7/13(金)午前10時30分。
小学校の教室では13人の生徒と先生方、そして近所の人などが参観する中、授業が始まった。
まず生徒が前に出て提案。
「煙が上手に排出できるようにエントツにプロペラを付けることを考えました」
小学生の発想の自由さが弾ける。
負けてはいられないと、こちらも力が入る。
社長の乾が江戸時代の武士風のスタイルで袖から現れると、どっと笑いが包む。
「みんな、僕がなんでこんな格好しているかわかる?」と問いかけると、みんなの手が勢いよく上がる。
「そうそう、近い答えだね。江戸時代は石油を外国から買って来なくても生活できていた。たった150年前のことだよ」
この授業のために十数枚印刷してきた「1兆円」の高額模擬紙幣を使って、燃料売買の実習をする。
「石油を買うとこのお金はアラブの国にいっちゃうよね。でも地域の未利用資源を燃料にすると、お金は地域に払われ、林業などに携わる人を介してお店などでそのお金が使われ、地域経済が元気になることわかったかな」
模擬紙幣を使うと経済の循環が実感できるようだ。
授業時間90分はあっという間だったが、「学ぶこと」「教えること」「一緒に考えること」の原点を肌に感じた。
子供たちの明るい表情、年の違う生徒が助け合いながら授業に一生懸命参加する姿に「いじめ」なんてどこの国の話だろうと思ってしまう。
絵画のコンテストをやろう、と一歩前に踏み出したことが出前授業という形で神戸の会社と島根の小学校を結び付けた。
先生方の情熱も含め善意の循環も生まれていた。
(2018/8/9 シン・エナジー広報/元日本経済新聞記者 府川浩・記)