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身近に迫った気候変動

※この記事は過去にシン・エナジーの公式ブログ「ミラトモ!」に公開された2018年9月の記事の再掲です。内容はすべて当時のものです

4年ほど前の夏、私は知人の車に乗り兵庫県の川西市から篠山市(編註・現丹波篠山市)に向かっていた。最初は普通だった雨が次第にフロントガラスをたたきつけ、恐ろしさを感じていた。翌朝の新聞を見ると福知山市が洪水の中に沈んでいた。

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そして今年(編註・2018年)は台風7号と梅雨前線による豪雨が岡山県、広島県を中心に西日本一帯を襲った。大洪水、山崩れ等による死者は200人を超えた。
「平成30年7月豪雨」と名付けられたこの雨は、高知県のある観測地点で年間降雨量の半分に相当する量が数日に降った。
9月4日には台風21号が四国、近畿、北陸を襲い、最大瞬間風速が58メートルを超えた関西国際空港では高潮で空港の多くが海水に覆われた。記録的な突風が各地で吹き荒れ、駐車場や道路を走るトラックを次々横倒しにした。

こんな景色は映画の中だけ、あっても海外の出来事だろう――と考えていたら、目の前で次々と起き始めてしまった。40度を超える観測地点も出る今年の猛暑も含め、命の危険すら感じる天候異変が世界の様々な場所で起きている。

その要因の一つが温室効果ガスだと考えられている。
再生可能エネルギーの推進により、この温室効果ガスを国の目標以上に削減し、気候変動の影響を少しでも抑え込み、持続可能でレジリエント(強靭)な地域づくりを目指す自治体の首長が、その旨を誓約して行動計画を作成する動きが世界に広がっている。

2008年にEU(欧州連合)で始まり、現在までに域内7,500自治体が誓約した。2016年には同様の活動で630自治体が誓約していた別組織と合流し「世界エネルギー首長誓約」(略称=世界首長誓約)となった。日本でもその関連組織である「世界首長誓約/日本」が活動を始めている。名古屋大学大学院環境学研究科が事務局を担当している。同組織に加盟する日本の自治体は現在、「大津市、ニセコ市、五島市、豊中市、南牧村、三島市、与謝野町」の7自治体だ。

先月下旬、「世界首長誓約/日本」は名古屋市で静岡、岐阜、愛知、三重の4県の自治体関係者を主な対象者にしたセミナーを開いた。会場には約70人の関係者が集まり、同組織の活動に期待を寄せる環境省からは事務方トップの森本英香・事務次官が駆け付けた。
「環境省は規制により環境を守る行政にこれまで力を入れてきたが、現在は具体的施策に一歩踏み込み、再生可能エネルギーの活用などを通して地域循環共生圏の形成を呼び掛けている」と挨拶し、何としても今の気候変動を止めたいという強い思いをにじませた。
亀の頭にストローが突き刺さり、鯨の胃袋から大量のレジ袋が発見される姿をニュースで見ていて、「生きとし生けるもの」に対する私たちの責任の重さを感じる。「便利だから」「手間がかからないから」で物事を判断してはいけないのだ。

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地域の未利用木材を有効活用した大生黒潮発電所(串間市)

地域に眠る未利用木材や農産物・食品の残渣、これらを使って電気や熱を作ろうという私たちの試みは、化石燃料のように一度に大量の電気を創れるものと比べてとても手間がかかる。気の遠くなるほど地道な活動ではあっても、それだからこそ森林や地域を生き返らせ、次の世代に渡す地球環境を作る確かな一歩になることを信じたい。

(2018/9/12 シン・エナジー広報/元日本経済新聞記者 府川浩・記)