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「虎の尾を踏む」の法則【10】天沢履(てんたくり)/64卦

虎の尾を踏む、弱者は強者の後ろ、扱いにくい野生の人々、慎重に歩く、注意深い前進、慎重な前進、慎重に踏み出すことのシンボル、注意を払って進む、弱者が強者に立ち向かうの【10】天沢履(てんたくり)。


【~「易」に全てを帰納する~】。プロフィールに書いた言葉です。いろいろな現象や出来事、事例やデータには共通点があります。帰納するとはその共通点を探して言葉でまとめてみようという試みです。その帰納する言葉になるのが易(易経)の言葉です。


「一回読んだだけでは理解できない」というのは、易(易経)を学ぶ人には共通している悩みのようです。自分もそれで大分苦労しました(今でも苦労しています)。


学んでいると、たまに「これはこういうことなんじゃないか」と分かる瞬間があります。そうしてまた原文(漢文)と書き下し文を読んだりすると理解できたりします。


易(易経)を初めて知る人、また学びたいと思ってる初心者に、過去に初めて易(易経)を学び始めたときに自分が困ったこと、つまづいたこと、苦労したことなどを盛り込みながら書いていますので、興味がある人はどうぞ参考にしてみてください。


このNOTEは原文(漢文)と書き下し文を確認したい時などに参考にしてもらえたらと思います。


全部である64卦あるなかのひとつ10番目の【10】天沢履(てんたくり)の原文(漢文)と書き下し文です。



【10】天沢履(てんたくり)



『卦辞』

「履、虎尾不咥人。亨。」
「虎(とら)の尾(お)を履(ふ)むも人(ひと)を咥(くら)わず。亨(とお)る。」

(とらのおをふむもひとをくらわず。とおる。)



『彖伝』

「彖曰、履、柔履剛也。説而應乎乾。是以履虎尾不咥人、亨。剛中正、履帝位而不疚。光明也。」
「彖(たん)に曰(いわ)く、履(り)は、柔(じゅう)にして剛(ごう)を履(ふ)むなり。説(よろこ)びて乾(けん)に応(おう)ず。是(ここ)を以(もっ)て虎(とら)の尾(お)を履(ふ)むも人(ひと)を咥(くら)わず、亨(とお)るなり。剛中(ごうちゅう)正(せい)にして、帝位(ていい)を履(ふ)みて疚(やま)しからず。光明(こうみょう)あるなり。」

(たんにいわく、りは、じゅうにしてごうをふむなり。よろこびてけんにおうず。ここをもってとらのおをふむもひとをくらわず、とおるなり。ごうちゅうせいにして、ていいをふみてやましからず。こうみょうあるなり。)



『象伝』

「象曰、上天下澤履。君子以辯上下、定民志。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、上(うえ)、天(てん)にして下(した)、沢(さわ)なるは履(り)なり。君子(くんし)以(もっ)て上下(じょうげ)を弁(わか)ち、民(たみ)の志(こころざし)を定(さだ)む。」

(しょうにいわく、うえ、てんにしてした、さわなるはりなり。くんしもってじょうげをわかち、たみのこころざしをさだむ。)



『爻辞』



上九━━━
九五━━━
九四━━━
六三━ ━
九二━━━
初九━━━〇


「初九。素履。往无咎。」
「初九(しょきゅう)。素履(そり)す。往(ゆ)くも咎(とが)无(な)し。」

(しょきゅう。そりす。ゆくもとがなし。)
「象曰、素履之往、獨行願也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、素履(そり)の往(ゆ)くは、獨(ひと)り願(ねが)いを行(おこ)なうなり。」

(しょうにいわく、そりのゆくは、ひとりねがいをおこなうなり。)



上九━━━
九五━━━
九四━━━
六三━ ━
九二━━━〇
初九━━━


「九二。履道坦坦。幽人貞吉。」
「九二(きゅうじ)。道(みち)を履(ふ)むこと坦坦(たんたん)たり。幽人(ゆうじん)貞(てい)にして吉(きち)なり。」

(きゅうじ。みちをふむことたんたんたり。ゆうじんていにしてきちなり。)
「象曰、幽人貞吉、中不自亂也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、幽人(ゆうじん)貞(てい)にして吉(きち)なりとは、中(ちゅう)自(みずか)ら亂(みだ)れざればなり。」

(しょうにいわく、ゆうじんていにしてきちなりとは、ちゅうみずからみだれざればなり。)




上九━━━
九五━━━
九四━━━
六三━ ━〇
九二━━━
初九━━━


「六三。眇能視、跛能履。履虎尾咥人。凶。武人為于大君。」
「六三。眇にして能く視るとし、跛にして能く履むとす。虎の尾を履めば人を咥う。凶なり。武人大君と為る。」

(りくさん。すがめにしてよくみるとし、あしなえにしてよくふむとす。とらのおをふめばひとをくらう。きょうなり。ぶじんたいくんとなる。)
「象曰、眇能視、不足以有明也。跛能履、不足以與行也。咥人之凶、位不當也。武人爲于大君、志剛也。」
「象に曰く、眇にして能く視るとすとは、以て明有りとするに足らざるなり。跛にして能く履むとすとは、以て行を與にするに足らざるなり。人を咥うの凶は、位當らざればなり。武人大君と為るとは、志のみ剛なるなり。」

(しょうにいわく、すがめにしてよくみるとすとは、もってめいありとするにたらざるなり。あしなえにしてよくふむとすとは、もってこうをともにするにたらざるなり。ひとをくらうのきょうは、くらいあたらざればなり。ぶじんだいくんとなるとは、こころざしのみごうなるなり。)




上九━━━
九五━━━
九四━━━〇
六三━ ━
九二━━━
初九━━━


「九四。履虎尾。愬愬終吉。」
「九四(きゅうし)。虎(とら)の尾(お)を履(ふ)む。愬愬(さくさく)たれば終(つい)には吉(きち)なり。」

(きゅうし。とらのおをふむ。さくさくたればついにはきちなり。)
「象曰、愬愬終吉、志行也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、愬愬(さくさく)たれば終(つい)には吉(きち)なりとは、志(こころざし)行(おこ)なわるるなり。」

(しょうにいわく、さくさくたればついにはきちなりとは、こころざしおこなわるるなり。)




上九━━━
九五━━━〇
九四━━━
六三━ ━
九二━━━
初九━━━


「九五。夬履。貞厲。」
「九五(きゅうご)。夬(さだ)めて履(ふ)む。貞(てい)なれども厲(あやう)し。」

(きゅうご。さだめてふむ。ていなれどもあやうし。)
「象曰、夬履、貞厲、位正當也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、夬(さだ)めて履(ふ)む、貞(てい)なれども厲(あやう)しとは、位(くらい)正(ただ)しく当(あた)ればなり。」

(しょうにいわく、さだめてふむ、ていなれどもあやうしとは、くらいただしくあたればなり。)




上九━━━〇
九五━━━
九四━━━
六三━ ━
九二━━━
初九━━━


「上九。視履考祥。其旋元吉。」
「上九(じょうきゅう)。履(ふ)むを視(み)て祥(しょう)を考(かんが)う。其(そ)れ旋(めぐ)るときは元吉(げんきち)なり。」

(じょうきゅう。ふむをみてしょうをかんがう。それめぐるときはげんきちなり。)
「象曰、元吉在上、大有慶也。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、元吉(げんきち)にして上(うえ)に在(あ)るは、大(おお)いに慶(よろこ)び有(あ)るなり。」

(しょうにいわく、げんきちにしてうえにあるは、おおいによろこびあるなり。)