車窓へ
電車がとくべつ 好きな訳ではない
だけども “日常” という意味では
電車は いつもぼくの側にあって
ほぼ毎週のように それに揺られて
どこかの町に行く
それが行きたい場所であれ
行きたいわけじゃない場所であれ
電車はそつなく
ぼくを “そこへ” 連れていってくれる
旅行でもない限り
電車の窓から外を眺めることも
少なくなってしまった
小さい頃は 体をねじってまで
その流れ行く 窓の外を見たがったのに
今は何故だろうか
そうではない
きっとそれは
ぼくの “日常” が
車窓へと溶けてしまったからなのだと思う
こうして改めて
電車の内側を 確かめるように見返すのも
めくるめく景色のように
車窓に流されて溶けていった
ぼくのこれまでを重ねると
悪くはないと思う
うん 悪くはないな