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Photo by
yuichi_tamura
「早朝始発の殺風景」を読んで。
今日はこの本について。
スタイルとしては、とある沿線沿いで起こる日常的のようで非日常なことを章ごとに書いていく短編小説集のような体裁。
一つ一つは分量が少ないですが、伏線が貼ってあってそれを回収するので推理小説的な感じもあります。特に最初の殺風景という名字の女の子とたまたま始発で乗り合わせた男の子が繰り広げる電車内での会話だけの章は圧巻でした。(タイトルにもつけられてる章でもあるし、この作品の軸であるのは間違いないですが…)
最後の章もこの2人と、残り全ての章の主人公的立ち位置の人たちが総揃いするんですが、非常に淡々としていて不自然なはずなのに潔い終わり方でした…
特に印象に残った点を挙げるとすると、基本的に高校生付近の人たちの話だという事。
なぜ、始発の時間に乗っているのか…という謎を持つ2人の高校生。
毎回メロンソーダしか頼まない女子高生と、ずっと一緒にいる2人の女の子たち。仲良いはずなのになぜか言えないことってあるよね。みたいなお話。
男2人で観覧車に乗ってそこまで仲の良くない後輩が観覧車に誘った謎を解こうとする男子高生。ディズニーランドに観覧車のない理由ってなに?という話。
親が離婚して離れて生活してる兄妹が捨て猫を通して話していくうちに…という話。
孤高の人だったクラスメイトが卒業式を休んだ…ので卒業証書を渡しに行く良い人な女子高生。2人きりで話すのは初めて?の最後の高校生の日のお話。
とまぁどの物語もそこに焦点当ててんのか…みたいなオチで面白かったです。で、高校生がメインだから焦点の当て方も青春によるはず…だと思ってましたが高校生の目を通したいろんな現実って感じでした。
全体を通して見てもよし。それぞれを見てもよし。という短編小説集の良作要素満点の作品でした。
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