日本全都道府県に行ってきた(古城とラフカディオ・ハーン)
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12月4日
今日も出雲市に泊まるので、一日観光だ。
出雲大社周辺は昨日行ったし、県庁所在地である松江に行くか…。
まずは朝ごはんでも食べようかな…と思い、カフェを探すべく出雲市の目抜き通りを歩いたが、なかなか見つからず、困ったなあ…コンビニ飯はなるべく避けたいし…と思っていると、少し奥まった場所に蔵を改修したカフェがあった!
中はとてもあたたかい雰囲気で、お店の人もきびきびと働いていて気持ちが良かった。写真を撮り忘れたのだが、モーニングが野菜たっぷりで、え~こんなに!と感激してしまった。旅行していると、とかく美味しい野菜を食べられないからね。
よかったよかった…と駅に戻り、JRの普通列車で松江に行く。学生はもとのこと、東南アジア(タイ語だったかなあ)の若い人たちがたくさん乗っていて少し驚いた…というか、シドニーを思い出させた。
駅前からはバスに乗って、松江城。
平地に建てられたお城は、国宝でもある現存天守閣がある。
お城自体はこじんまりしたもので、可愛らしいという印象。
でも流石に現存天守閣なので、中に入ると古色蒼然としている。いくつかの小さめな木材を釘で継ぎ合わせた柱を見ると、当時苦労して建造したことがしのばれる。
天守閣のてっぺんからは、松江市街と、宍道湖が見える。
それにしても、今回の旅ではたくさんのお城に行った。そして、松江城も含め、いわゆる現存天守閣のあるお城にいくつか行けたのはとても良かった。
お城を後にし、ぶらぶら歩いて小泉八雲邸に向かう。
八雲が住む前は武家屋敷だったそうで、中に入ると綺麗に保存されている居間や書斎、そしてお庭を楽しむことが出来た。
しばらく床に座って庭を見ながら思いを馳せる。
そしてお隣りにある記念館に入り、様々の展示を見た。
ラフカディオ・ハーン。
たぶん、日本の外ではほとんど知られていない人だ。
ハーンの生涯は、幸せだったのだろうか?
経歴からいうと、余りそうでもない。両親からも疎遠にされ、世界を転々とし、日本で安住の地を得たかにも見えたが、近代化を急ぐ日本にとって、古い日本を愛するハーンは、無用の人。後釜に座ったのが別の偉人、夏目漱石というのも皮肉。
結局、日本を愛しつつもその日本からは本当には愛されなかった人がハーンなのではないだろうか。
でも、彼ほど日本文化についてわかっていた人はいないのでは、とも思う。
僕が今現在、ハーンとは逆のような境遇で、日本からオーストラリアに安住の地を見つけ、ハーンのように帰化をして暮らしているが、死ぬまでこの国には完全に同化することはないだろうな、根無し草で人生を終えるのだろうな、と思っている。
だからかな、ハーンという人、その生き様にとても共感するものがあった。
そんな事を考えて記念館を出たが、一軒のそば屋に行列ができている。
出雲蕎麦というのは定評があり、must eat なモノらしい。
実は昨日も出雲大社の近くで蕎麦を食べたのだが、観光地だからか、今一つの味だった。実はこのお店は先ほど通っていたのだが、その時はかなり長い行列ができていた。お昼ごはんの時間を過ぎた今はそれほど行列もなく、これはチャンス!
それほど待たずに中に入れ、地酒を飲みながら待つ。アテの味噌がとても深い味がして、酒が進んだ。
待つことしばし、出てきたのがこれ!
このですね、お蕎麦の香りが…たまらなく香ばしい。山芋のおろしたのに和えたり、そばつゆに少しだけ浸して食べたりと、違った食べ方を楽しんだ。
いや、今まで食べた蕎麦でナンバーワンではなかろうか。
出てきた蕎麦湯も、とろっとろで、おつゆをそれで割って飲むと…至福過ぎた。
あまりにも感動して、恥ずかしながらケータイをお店に置き忘れてしまった。
すぐに気づいたので、お店に戻ると、お店の人もこちらを追いかけてきて、ちょうど中ほどで会うことができた…どうもスンマセンでした。
帰りは、一畑電車で帰ることにし、少し街の外れにある駅に向かう。
待っている電車は…あれ、どこかで見たような?
これは、もと京王電鉄の車輌ではないか!
その証拠に、車内のスピーカーのカバーには、KTR(京王帝都電鉄)のロゴが。
大学が京王線沿線で、散々乗っていたので懐かしい。高松では元京急の電車に乗ったし、こういうのは地方私鉄の面白さだね。
一畑電車は、宍道湖の北側に沿って走る。そろそろ傾き始めた日が湖面を照らし、穏やかな美しさだった。
実は、一畑電車に乗ったのにはわけがあり、このあたりは温泉も有名だそう。
前日に観光案内所で日帰り温泉について聞いた所、泉質ならここ!と言われたのが、この「しっとりつるつる北山温泉」だった。
川跡という駅で降り、のどかな町をしばらく歩くと、目的の温泉が。
中は、アットホームな公共温泉施設という感じで、地元の家族連れがほとんどのようだった。
ちょうどこの日はゆず湯をやっていて、風呂場中にかぐわしい香りが漂っていて、気持ちがとてもほぐれた。
施設的にはこじんまりしていたが、ちゃんと露天風呂やサウナもあったので、かなりゆっくりと楽しむことができたし、看板にウソはなく、本当に肌がしっとりとなった。
外に出たらもうとっぷりと日が暮れていて、電車にまた乗って出雲市駅に戻る。
近くの小料理屋さんを見つけ、そういえば、もう一つの名物を食べなくては…。
そう、宍道湖のしじみ。肝臓にもいいらしいので、酒飲みには必須の食べ物だし。
観光もして、いいお風呂に入り、美味しいものを喰らい…最高の1日だった。
(つづく)