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イギリスの海事情

イギリスではNPOやNGOで運営される巨大な組織が行政に代わり、ヨットのスキルアップや、安全にかかわる様々な教育や、トレーニング、資格認定などのサービスを提供している。

中核的な存在が、ロイヤルヨット協会であり、ディンギー、クルージング、ヨットレース、あらゆる形態のセーリング、トールシップ、RIB、ウィンドサーフィン、水上バイクなど全般をカバーし、スキル習得をサポートしている。 出版物も多くこの世界でのインストラクター資格を取るコースも用意されている。

ヨットであれば、ディンギーヨットから、デイセイリング、ヨットレースのルールなど体系的に学ぶことができ、学生向けのプログラムから社会人むけのプログラム、リソースを提供している。そして多くの若いセイラーや女性セイラーも育てている。

イギリスのみならずヨーロッパはインフラとしてのマリーナ設備や、ポートコントロールもしっかりしている。
理由は、知識と経験豊富なセイラー人口が多いことと、絶えず若いメンバーがセイリングを楽しむために新たに学ぶ機会を求めて様々なプログラムに参加することもその背景にある。結果としてヨットの製造、販売、メインテナンスなどを含めて、さまざまな周辺産業が育っている。

もう一方で海の安全やレスキューを任務として設立されたのがRNLIである。
王立救命艇協会(おうりつきゅうめいていきょうかい、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%B1%E8%AA%9E: Royal National Lifeboat Institution、略号:RNLI)

イギリスに238拠点あり、運営予算のうち94%を寄付(チャリティー)で運用されている。Institutionにはレスキューにかかわるトレーニングを行う学校もあり、過去に14万人の人命救助を行ってきたとのこと。
イギリス、アイルランド周辺の海域は低気圧などの接近で海が荒れることが多く、また潮汐の干満が5-7メートルあり、潮流も厳しい海域である。所有している船も、荒天での航行性能が高く、SOSを発信して救助要請があった場合現場に駆けつけて人命救助を優先的行う精鋭部隊である。

RNLIとは別に国境警備の任務は別にボーダーポリスが取り締まりを行っている。 不法移民や麻薬の持ち込みなどの取り締まりはボーダーポリスが行う訳で有る。 

イギリスのマリーナ設備はヨーロッパ各地から容易にアクセスできることから、主要なマリーナは24時間体制で、サポートが提供される港もあり、プレジャーボートに対しても、きめ細かいを提供してくれる。 ドーバー港は、新設でプレジャーボート用に新規の大型停泊地を建設中であった。港へのアクセスは必ずVHFで指示を仰ぐ必要がある。

日本の海上保安庁は、大型艇を拠点に配置しているが、取り締まるという姿勢が高く、レスキュー能力の高い海猿チームも存在するようであるが、明らかにイギリスのRNLIとはそのスキルと、質においても大きな差があるように感じた。

イギリスで、ヨットのメッカというとワイト島、カウズであるが、毎年ワイト島一周レースが開催される。 参加艇も過去には1900艇がレースに参加した年もあり、その裾野の広さとヨットを楽しむ文化が根付いていることがうかがわれる。

イギリスがかつては海洋国家として日が沈まない国として発展を遂げた遂げたが、その文化がこのような形で、引き継がれていることは大変興味深い。

イギリスが覇権を握る前は、オランダも帆船時代に東インド会社が世界の産物や人を運び、日本の長崎では江戸時代は唯一の交易相手であったわけである。
そもそもイギリスの王にヨットを贈ったのはオランダだったのである。
オランダ語のJachtが転じて英語のYachtとなったわけである。オランダは運河を活用し、物資や人員の輸送で国家の繁栄を成しえた国である。 次回はオランダ🇳🇱事情もお届け予定です。

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