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Netflixドラマ『YOU ー君がすべてー』シーズン1-4感想

最終シーズンとなる第5シーズンが2024年に配信予定であると発表されているネットフリックスオリジナルドラマ作品、『YOU ー君がすべてー』。

やっと、本当にやっとの思いでシーズン4まで見終えた感想を記す。

※微バレ含む。
細かい出来事には触れませんが、ハッピーエンドかバッドエンドか、及び各シーズンの舞台や登場人物などあらすじ程度のネタバレを含みます。気にしない人向け。


シーズンがまだ1か2しか出ていなかった頃におすすめに出てきてネットフリックスの仕様で勝手に再生される予告を見ていた時は、ストーカー気質な恋人の純愛ストーリー?と思っていた。

なんならシーズン1の半分くらいまではそう思ってみていた。主人公のJoeがやることは確かにだいぶ粘着質なストーカー行為ばかりなのだけど、想い人へ向ける愛はあまりにまっすぐ純真なもののように何も知らないうちは伝わってしまう。
それはこの物語が常にJoeの心情がありありと描かれた彼自身のモノローグによって構成されているからでもある。

でも、タイトルシーケンスで『YOU』の文字が毎回血まみれになったりナイフのように鋭利に光るので、そんな純愛で終わってくれないような匂いはプンプンしていた。でも正直最初は二人にはハッピーエンドが訪れてくれればと思ったものだ。
だからこそシーズン1を見終わるのは早かった。毎晩仕事で疲れていることなんて気にもならないくらいの集中力を向けて、週末には一気見をした。

シーズン1のラストは衝撃的だった。特に、本。なんてことを考えついたのだろうかとその歪な形で美しいまでのアイデアに降伏するような気持ちで頭を抱えた。こんなことがあっていいのか、と。


シーズン2では舞台がニューヨークから西海岸のロサンゼルスに切り替わる。個人的には西海岸の方が馴染み深いこともあり、「これだからニューヨーカーは」なんてセリフが入るのも知見が得られるようで楽しかった。大阪人と東京人の対立のようなもののアメリカ版だ。

シーズン2が始まった時、シーズンごとに舞台や登場人物が切り替わるのか、と思った。だからシーズン2ではその結果にならなかったことに驚いたし、シーズン1とは趣きが180度違うような「YOU」の存在はやはり次の話を見たくなる引きがあった。


シーズン3ではJoeに同情したくなるような展開も多かった。けれどシーズン3の全てがシーズン4での舞台装置として見事に機能したのには圧倒された。

シーズン3で、「やろうと思えばやれるけど悪いことをしたいわけじゃない、根はいい男」としての自分を自身でそう形容するだけでなく視聴者に行動で見せつけたJoeは、髭を蓄えてシーズン4ではロンドンへ居を移す。



シーズン4は正直言って、1、2、3のシーズンと比べてとても退屈だった。ロンドンのお金持ちエリートの集まりばかりが登場することも苦手な一因ではあったが、特に前半、6話ほどまではなかなか次のエピソードを見ようという気持ちにならなかった。

まあでもシーズン5も来るし見とかなきゃな、とゆっくり進めていたのだが…Joeへテキストを送る謎の人物の正体がわかったと思わせる視聴者を満足させたかと思ったのも束の間、シリーズ最大にも感じるどんでん返しが明かされる。

ある意味では今までのJoeの行動の全てを説明するようなものであり、その診断をもってJoeにパラダイムシフトが起きるようなものでもある。


見ている途中はシーズン4が一番退屈に感じていたのに、見終わってしまうとシーズン4が今までで一番見事だったなと思ってしまう。
というのも、過去のシーズンで出てきた主要なキャラが登場する点でも今までの総括のような側面を見せるし、Joeがもう一人の自分と向き合う場面で異なる俳優にそれを演じさせるのは現実世界での撮影をスムーズにさせる都合のいいことなのに物語にあまりにもぴったりとフィットするものでもあるのだ。

にしても、シーズン4までJoeは、自身を厄介ごとばかりに巻き込まれてしまうように形容していて、その意味で不運・不幸な男というラベルを自身に貼り付けていたと感じるが、
シーズン4の終わりを見ると、ここまでのラッキーがあるだろうかというぐらい悪運に恵まれていると言いたくなる。


アンチヒーローもとい巨大ヴィラン誕生、と謳いたくなるようなシーズン4のエンディングは、Joeの人生の中でも(今まで全てのシーズンがそうではあったが)特に新たなチャプターの始まりだと言えるし、シーズン5の引としてもいい。

何故なら、自己受容に至ってしまったJoeを視聴者は知らない。だからある意味、もう何をするのか分からないのだ。
シーズン5では本当の意味でJoeにとっての不運が訪れるのか、ある種の更生に至るのか…

シーズン4の主要キャラであるKateもシーズンを通しての変遷がすごい。いや、本人はぶれていないのだが、最初の印象はデレのかけらもないツンで、クーデレになって可愛く愛おしく見えてきたかと思ったところで終わりには巨大な黒幕、マスターマインドのようにも見えてしまう。


シーズン5の舞台はおそらく、ニューヨーク。
故郷でJoeは、どんな行動を起こすのか。


クセの強すぎるラブストーリー(?)が見たい人、
細かい推理などを聞いているのが好きな人、
英文学ほか外国語文学の引用を聞きたい人、
スリルやサスペンスが好きな人、
長いシリーズを見始めたい人などなど。

気になる人はシリーズ1、エピソード1から。

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