その日 その後 ④
人が亡くなるとお金が掛かる。不謹慎なと言われそうだが、実体験として言えることだ。本当にお金が掛かる。鳥が一斉に飛び立つように大量の万札が一気に出ていく。この後の生活が大丈夫かと心配になる。
まず始めは、葬儀費用。我が家は家族葬で参列は母と私だけだったが、オプションで祭壇の花をもっと多くしたため、63万円位になった。これにお坊さんへのお布施が11万円。火葬場での火葬料が12,000円。全部含めると、70万円を超える金額になった。
支払いは現金またはクレジットのどちらか選べて、我が家は現金で支払いをした。父の年金口座から二日に分けて銀行で50万ずつ降ろした。前日に母と枚数を数えてピッタリの金額を用意した。こんな大金を一気に現金で支払うのは初めてだった。葬儀にこんなにお金が掛かるとは知らなくて、その金額に本当に驚いた。
葬儀の後は相続手続きだ。相続税を支払う必要があるのか、建物と土地の相続、預金口座の解約など分からないことが多い。葬儀会社のサービスで相続の相談を専門の司法書士に出来たのは助かった。口座の手続きと家屋・土地の名義変更の手続き、それぞれ金額もあらかじめ提示されていた。父の銀行口座は3つあった。一つは残高が千円ちょっとだったため、これは落ち着いたころに私がやることにし、銀行口座2件と家屋・土地の名義変更の手続きをお願いした。こちらは全部で25万円となった。
預金の残高、固定資産税の明細から資産の金額を割り出し、法定相続人が我が家の場合は2人なので控除金額を計算すると相続税の申告はしなくてよいことが分かった。基礎控除額は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)となっている。なので、我が家は4,200万円までは相続税が掛からない。お金がなくて良かったのか、悪かったのかよく分からない。
戸籍謄本や父の死亡が反映された住民票、法務局で承認をしてもらった法定相続情報一覧図など用意が出来ている書類は司法書士に預け、後はお任せした。預金口座の手続き、家屋・土地の名義変更の手続きも個人でやろうと思えば出来なくはないだろう。しかし、専門知識もなく、手続きに費やす労力と時間を考えたら、専門家にお任せした方が良い。遺族は様々なことで疲れているので無理はしないほうがいい。
相続は専門家に任せたので安心出来たら、次は墓だ。我が家は墓がなかったので墓を購入した。墓の永代使用料や墓石への彫刻代で総額73万円ちょっと。父の骨の納骨の際には納骨料やお花、供物などで46,000円ちょっと罹った。お墓に入るのにもお金が掛かる。
葬儀から相続、墓購入、納骨まで全部のお金を計算したら一体いくらになるのか。「鳥が一斉に飛び立つように大量の万札が一気に出ていく。」と書いたのがよく分かるかと思う。一通りの大きなことは終わったので、あとは一周忌や三回忌などの法要の際に掛かる費用くらいだろう。これはさすがに大量の万札ではないと思う。
我が家は葬儀を家族葬というささやかな葬式だったし、墓も樹木墓という従来のものよりも手軽なものだったので、掛った費用はたぶん少ないとは思う。お寺で葬儀をする、もっと違う墓を購入する場合はもっと費用が掛かってくるだろう。人が亡くなると本当にお金が掛かる。
よくテレビで保険のコマーシャルで「葬儀費用くらいは…」と宣伝しているが、私から言わせてもらうと「葬儀費用だけでは全然足りない!墓は用意してあるのか?相続費用は?」となる。自分の分も含めて、ちゃんと墓に入れて手続きも終わらせられる費用は貯めておかなくはいけないと切実に思った。
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