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リーキのポトフ

家族が体調を崩した。流行り病ではなかったのだけど、胃のムカつきがおさまらないようだった。

ちょうどリーキを栽培している友人から立派なリーキをいただいていたので、妻がポトフを作った。
お肉は入れず、野菜のみ。見た目は悪いが消化の良いように、野菜をクタクタになるまで煮た。

「うまっ」
家族みんなが目を丸くする。

野菜スープは我が家の定番で、食べなれている。いつもと違うのは長ネギではなく、リーキを使っていること。

長ネギ入りのポトフだってもちろん美味しい。でもリーキのポトフは西洋のスープに合う独特の味わいがあり、ポトフを上品な味わいに仕上げてくれる。
西洋のスープには格段にリーキが合う。

加えて、塩味を薄くしていた。それがリーキの旨味が際立たせていたかもしれない。 

コロナ禍が明け、久しぶりに外食したとき、食事がしょっぱかったのを覚えている。自宅でじっくり食事しているうちに、調味料の量が減っていき、素材本来の味で楽しめることに、知らず知らずのうちに慣れたのだろう。

原田ひ香さんの小説「口福のレシピ」には、クタクタに煮込んだポトフに牛乳を入れたら美味しいポタージュになる。そんなセリフがあった。よし、次の日の朝は残ったポトフをポタージュにしよう!

夕飯の片付けに鍋蓋を開けると、もう鍋の底が見えていた。

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