小さな一歩@大原美術館
<当記事は東京神保町のコラーニングスペース「みらい研究所」の所長、後藤さんからアドベントカレンダーの依頼をいただき書いたものです>
<寄稿のきっかけ>
「みらいけんアドベントカレンダーやるから、記事書いてみない?」と後藤さんからお話が合ったのが11月後半。
「テーマは『2022年を振り返っての変化と成長、および2023年に向けて挑戦したいこと』にするよ」
それ夏ぐらいに言ってほしかった
普段から目標をもって行動していればこうは思わない。
過去のアドベントカレンダーの記事のとおり、みらいけんの関係者さんは起業されている方が多い。どの記事も深い洞察や目標が生き生きと語られている。
私でいいのかしら。後藤さんは「みらいけんの多様性を感じてもらいたい」と言うけれど。
師走の中日。箸休めにもならないゆるい記事ですが、ご笑納くださいませ。
<簡単に自己紹介>
北海道出身。ドイツ系企業のアジア統括部門で、財務アナリストとして勤務しています。
後藤さんとはボードゲームを通してつながりました。
少ないですがnoteにもマーダーミステリーというジャンルの謎解きの記事を上げております。ご興味のある方はぜひ。1~2人のものと、4人用のものがあります。
有料記事「春怨」の収益は全額福祉系NPOに寄付されます。
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<2022年、小さな成長と翌年に向けてやりたいこと>
芸術鑑賞が好きな友人が多いので、美術館に行く機会も多い。
3人でとある画家の個展に出かけたときのことだ。
友人がうっとりした顔で
「このなかのどの絵をうちに飾ろうかな、どれをいただこうかなと想像するのが好きなの」
その発想はキャッツアイ(*)
別の友人(元ミュージシャン)が言う
「なんか、絵のエネルギーを感じるのが好きなの」
そう、それ! 私もそういう風になりたい・・・!
私は絵を習っていたことがあり、おこがましいが技術を見てしまう。
判断できるようなレベルの高い知識は持っていないが、油絵であれば下地は何色かなとか、構図とか、そちらのほうが気になる。
でも芸術ってそういうものじゃないよね・・・?
その謎を解くべく、色々な美術館に足を運んだ。が、その感覚はつかめなかった。
そんな折、夫婦で倉敷に旅行することになった。
最大のお目当ては大原美術館。エル・グレコの「受胎告知」の展示でも知られる、日本初の私立西洋美術館である。
荘厳な建物もさることながら、1階の展示物がとにかく素晴らしい。下世話な言葉でいえば超メジャー級の絵画が揃っている。今熱いW杯っぽく言えばフォワードが全員メッシ、みたいな感じだ。
うわ、すごいな。
全ての絵画が遠くから見てもきっちりまとまっている。
展示室には中央あたりによく椅子が置いてあるが、あれは休憩用ではなく離れたところから観賞するためだという意味がやっとわかった。
私以上に感銘を受けた人物がいる。夫である。
「飽きたら一人で外出てるね」と言っていたのに、いつまでたっても出てこない。
元作曲家だけに、芸術を愛でる才能は私よりはるかにあるのだろう。
彼が本館のロビーに現れたのは、2時間後だった。
「けっこうゆっくり観てたね、どうだった?」
「なんかすごいと思った」
もう少し言い方はないの
美術館隣の喫茶店「エル・グレコ」で休憩することにした。大正時代に建てられた建物は天井が高く、あちこちが当時のままである。
お目当てのものも買えたしいい旅行だった。私はミュージアムショップの袋をなでた。
席に着いたとたん、ふわっと言葉が口をついて出た。
「さすがにすごかったね。よくよく見たらちょっと足長すぎ?みたいのあるんだけど、そういうのもうどうでもよくて、むしろその色や構図じゃなきゃダメなくらいにまとまってる。それ以上にすごいパワーを感じる」
優れた芸術はこういうものだ、とストンと腑に落ちた気がした。
あくまで自分の感覚なので、正解かどうかはわからない。が、それでいいのだろう。
今回のことで、ほんの少しだけ成長できたのではと思いたい。
来年はもっと色々な美に触れることが出来たらと思う。まずは直島もいいな。
今、リビングでは「受胎告知」の小さなフレームが我々の暮らしを見守っている。
(*)・・・北条司による日本の漫画。美人3姉妹が画家である行方不明の父親の作品をターゲットに、怪盗として暗躍するストーリー。
<おわりに>
「困るなあ、ゆりえさん。2023年は月に行きますくらい書いてくれないと」などと後藤さんに思われていないと良いなと願いつつ筆をおく。
やっと感じた、小さな一歩。
ベランダに出て月を見る。アームストロング船長の言葉でこんなのあったな。
「小さな一歩」というところしかあってないけれど。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
最後になりましたが、皆様に素敵なクリスマスと新年が訪れますように。