東大英語で学ぶ英文解釈(4) 解説(thatの識別)
2005年の東京大学で出題された英文和訳の解説です。
問題はこちら☟
今回焦点を当てるのは,
thatの識別
です。接続詞の that の種類については,以下の記事を参照してください。
that の用法を持っていなければ,識別はできません。では,該当の英文を見てみましょう。
Hopes were expressed that the understanding and control of nature would improve techniques in industry and agriculture.
ぱっと見たときに,express の目的語,すなわち,名詞節の that と思うかもしれません。しかし,冷静に考えてみましょう。
express は第何文型で使う動詞でしょうか。
もちろん,第3文型です。第3文型は,SVO です。これを受け身にするとどのような形になるでしょうか。
O is p.p. (by S)
ですね。
では,過去分詞の後ろに,名詞のかたまりがくるでしょうか。上記の形をみると,名詞のかたまりはこないことになります。したがって,Hopes were expressed that … の that は
S/O/C にはならない
ことになります。では,この that は何でしょうか。that 節の内部を見てみましょう。
understanding and control(=S)
improve(=V)
techniques(=O)
と完全文になっています。したがって,関係代名詞ではありません。もちろん,time,place,reason という名詞も前にないので,関係副詞でもありません。
では,副詞節でしょうか。しかしながら,that の識別③でまとめたような特徴もみられないため,副詞節の可能性もありません。
もう一度,特徴を考えます。
that 節内は完全文
that の前は express が第3文型なので,完結している
つまり,that 節は,浮いている,すなわち,不要要素になります。しかし,形容詞節でも副詞節でもなさそうです。
他に,不要な要素になる that の用法とは何でしょうか。名詞節にも,構造上不要となる用法がありました。
同格
です。前にさかのぼると,
hopes が同格 that をとれる
ことに気づきます。
これは,東大が好きな,
分離構造
になっています。このことに気づくには,
文型・文法事項にのっとって読む
ことが求められます。単語の意味だけを拾って,英文を読むのではダメだという東大からのメッセージのようにも感じます。
本文全体の構文解析および訳はこちらから☟
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