東大英語で学ぶ英文解釈(3) 解説(itとthisの違い)
2017年の東大の和訳問題の解説です。
* 問題はこちらから☟
①Recently, while I was working on my computer during a train ride from Boston to New York, we passed through a magnificent snowy landscape. ②I wouldn't have known this but for the fact that I happened to look outside on my way to get a coffee.
1つめのポイントは第2文でした。3点に分けて解説したいと思います。
(1) 構文上のポイント
① 「仮定法」を見抜くこと(but for…は「…がなかったら」)
② that節は "fact" と同格
の2点なので,それほど難しくはなかったでしょう。
(2) 指示語の内容を捉える
"this" の指す内容を明らかにせよとあるので,こちらも考えます。まず,ここで考えたいのは, "it" と "this" の違いです。
it … 前の単数「名詞」を指す
this … 前の「内容」を指す(句や節や文を指す)
this なので「内容を指す」ことに注意すれば,"we passed through a magnificent snowy landscape"(壮大な雪景色の中を通過したこと)だとわかります。
読解のときに「流れを追いましょう」などといわれることがあるかもしれませんが,そのときの基本のうちのひとつは,
「指示語の追求」
です。今回の,"it" と "this" の違いなどは,指示語が指すものを考えるときのヒントになるだけでなく,英作文のときにも役に立つので押さえておきましょう。
(3) よりきれいな日本語を目指して
the fact that … ですが,「外をたまたま見るという事実がなかったら」とすると,やや日本語がわかりにくくなります。最初に述べたように,"that" は「同格」なので,"the fact" の中身が "that節" です。だから訳出の上では,「事実」とわざわざ書かなくても,「外をたまたま見ることがなかったら」と「事実の中身」を中心にすえて書いても構わないでしょう。
解説②はこちらから☟