見出し画像

育児休業制度ってなんだっけ?

こんにちは、ぺろよしです。

「妊娠出産にまつわる保障制度について」の記事に引き続きまして、今度は育児休業制度全般について綴ります。(育児休業給付金は次回)
実際にぺろよしも第一子出産後、11ヶ月育児休業を取得しました。妊娠出産を控えた方、現在育児休業中の方にぜひ読んでいただければ嬉しいです。
また、2022年4月よりスタートした「男性版育休」をはじめ法改正については別記事で取り扱います。いつもの様に保育士試験に出題されそうな部分は太字で書いていきます。

今回法改正が多く非常にややこしくなっています。保育士試験勉強として活用される方は注意してくださいね!!令和5年前期試験まではこの記事で書いてある事で対応できています!


◆育児休業制度とは

育児休業制度とは労働者が子供を養育するために設けられた休業制度の事です。
根拠法は「育児介護休業法」(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)です。
産前産後休業が労働基準法に定められているのに対して、育児休業は育児介護休業法という別の法律によって定められています。

女性の社会進出により共働き家庭の割合が増えた現代では、女性労働者が離職することなく仕事と出産育児を両立しながら働ける環境整備が求められています。その目的の為に育休法(介護については割愛しますのであえてこの略称を使わせてもらいます)は主に企業に対し様々な措置を命じています。
この法律に関しては法改正がいくつも控えており、企業側にとっても取得予定の労働者にとっても保育士試験受験者にとっても注目すべき法律だと言えます。

では現行の育児休業制度について見ていきましょう。
現行=「202241日現在の」制度です。実は2241日からこの休業制度も要件が緩和されています。が、保育士試験には出題基準日というものがありまして令和4年神奈川限定保育士試験から出題されますので注意してください。

育児休業制度概要
①対象者:原則「1歳に満たない子を養育する労働者」
②休業出来る期間:産後休業終了の翌日から子の1歳の誕生日の前日まで
延長の可否:最長で子が2歳になるまで延長可能

①対象者

育児休業制度は原則「1歳に満たない子を養育する労働者」を対象としています。労働者なので正社員の女性(ママ)はもちろん、男性(パパ)も、パートアルバイトなどの有期雇用契約の方も取得可能です。ただし1歳未満の子がいれば誰でも取得できるわけではありません。

※育児休業を取れない有期雇用契約の人の条件
・1年(1歳以降の休業の場合は、6カ月)以内に雇用関係が終了する者
・日雇いなど週の所定労働日数が2日以下

★★【重要】改正のポイント★★
2022年(令和4年)41日より雇用された期間が1年未満の有期雇用契約者であっても育児休業を取得できるようになりました!!

1年未満の方でも育児休業を取得できるようになったというのは当事者の女性にとっても法改正にとっても結構大きく関わる部分ですね。
ただ、注意してほしいのが企業が労使協定(労働者側と企業で取り交わされる約束事)を締結していれば取得させなくても罰則対象にはならないという事。

(育児休業申出があった場合における事業主の義務等)
第6条 事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの育児休業申出があった場合は、この限りでない。
1 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
2 前号に掲げるもののほか、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
育児介護休業法(e-Gov法令検索)

これすごいいやらしい部分をついてるなあと思うのはぺろよしだけでしょうか?法律が許可しても会社が労使協定でNOと言えば取得が出来ないなんて…。
そして意外とよくあるのが入社・転職したてで社歴も浅い内に出産→育休で長期不在→そのまま退職という賛否両論あるケース。出産育児は応援したいぺろよしですがその穴埋め要員として残業祭というしんどい思いをした事もあるので、負担する側の気持ちもとてもよくわかる。会社だって戦力にするため様々なコストをかけて雇っています。かといって出産育児はタイミングもあるし…。でも義務を果たしてこその権利ですし…。
前回学んだ通り産休(特に産後休業)は8週間(医師が許可すれば6週間)就業させてはならないと規定されている反面、育児休業は本人の希望によって取得するものです。だからこそ、難しい。会社側がもっと業務負担する側にも休業を取得する側にも優しくなれれば双方気持ちよく働けるのになあと思ってしまいます。

②休業(延長)出来る期間

話がそれてしまいましたが、実際に休業出来る期間はどれくらいなのでしょうか?

現行の育児休業の期間
産後休業終了の翌日から子の1歳の誕生日の前日まで
ただし、最長2歳になるまで延長可能
(延長理由:保育園に入所できなかった・配偶者の死亡等により養育が困難になった)

「現行の」という記載がありますね。この育児休業取得期間についても法改正が行われました。もっと便利に取りやすくなったのですがここでは割愛します。そして便宜上最長2歳と書きましたが、その前に1歳6ヶ月という区切りがあります。半年ごとに延長可能という訳ですね。この1歳6ヶ月でも保育園に入れなかった等の正当な理由があれば最長2歳まで休業を伸ばすことが出来るのです。
また企業によっては育児休業とは別に「育児休暇」という独自の制度を設けていたりします。有名なのが公務員の3歳まで取れる育休制度などです。
さて、ここで実際にぺろよしの例を見てみましょう。2019年(令和元年)にこんな感じで休業を取得しました。

7月22日   産前休業開始
8月23日   出産(予定日ぴったりでした)
10月18日    産後休業終了
10月19日      育児休業開始(翌年8/22まで取得可能)
7月19日    育児休業終了
7月20日    職場復帰

私の場合ちょっと特殊で、本当は保育園入園と同時に4月職場復帰する予定でした。しかし新型コロナウィルスの蔓延により自治体から育児休業延長措置の特例(自粛して自宅保育でも育休延長を認めますというもの)が出ていた事もあり、本来よりも数ヶ月伸ばしての職場復帰となりました。(蓋を開けてみれば誰も自粛してなかったんですけどね…)一応1ヶ月程育休を早く切り上げてますが産前含め1年ほどお休みを頂きました。


◆パパ・ママ育休プラス

通常の育児休業制度とは別に、父親が育児参加をしやすくなるような制度作りの一環として平成21年の育休法改正時に新設されたものです。以前からありますがあまり知られていません(;´∀`)
どんなものかと言いますと、両親がそろって育児休業を取得する場合、以下の要件を満たせば休業期間を「12ヶ月まで」に延長できるという制度です。

①両親がそろって育児休業を取得する事
②配偶者が子どもの1歳の誕生日前日までに育児休業を取得している
③子どもの1歳の誕生日前に育児休業開始予定日が設定してある
④パパ・ママ育休プラス取得者の育児休業開始予定日が、配偶者の取得した育児休業開始日の初日以降になっている

ちょっと要件がややこしいのですが、育児休業給付金も受取可能(夫婦で180日の育休を取得した場合)ですし、ママの職場復帰に合わせてパパが休暇を取れば結構便利な制度かなと思います。当然ですが夫婦そろって育休取得対象者でないといけないので、どちらかが専業主婦(夫)の方は制度が利用できません。
調べたところ法改正でもこのパパ・ママ育休プラスは継続されるようです。


◆パパ休暇

パパ・ママ育休プラスと同じく平成21年の育休法改正時に制定された制度です。パパ休暇を簡単に言うと生後8週間以内に育児休業を取得した場合に限りもう一度育児休業が取れる(育休を2回に分けて取れる)という制度です。
育児休業というと通常は子供が1歳になるまでに1回取得できるものでしたね。ママが動けない産褥期の間に1回、いったん復職した後子供が1歳になるまでもう一度取得といった様に分けて休みが取れますよという制度なので、実際は育児休業という名前をちょっともじってあるだけと考えればわかりやすいと思います。ただし、以下の要件を満たす必要があります。

・生後8週間以内に育児休業を取得し、かつ休業を終えた状態である事

このパパ休暇については今回の法改正のメインである男性版育休新設により廃止が決定しています。


◆育休を取りやすい職場作り

ちょっと悩んだのですが念のためこちらにも綴ります。
今回の育休法改正により2022年4月1日より「育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け」が条項に追加されました。

①育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置
②妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出をした労働者に対して事業主から個別の制度周知及び休業の取得意向の確認のための措置を講ずることを事業主に義務付ける

雇用環境の整備とは育休制度についての研修や相談窓口を設置したり、事業主が労働者に対して配慮する事を指します。スムーズに育児休業が取得できるように企業側に雇用環境の整備や「休業を取るか取らないか?」と確認する義務を課したわけです。出ましたね。「義務」です。

義務付けた割に労使協定があれば拒めるよっていうのもちょっと腑に落ちませんが…(;´∀`)
そしてこれは男性であっても同じ事です。厚労省の資料によると今までは企業側から男性への働きかけがなかった割合が6割以上とありましたので、この意向確認義務化は非常に大きな一歩とも言えるでしょう。


◆育児休業取得率

ここで実際の資料から育児休業取得率を確認しましょう。
この数値も保育士試験では子ども家庭福祉などで出てきやすい項目です。2022年7月現在、2021年のデータが最新です。
以下の厚生労働省資料よりお借りしています。
令和2年雇用均等基本調査
育児休業取得率の推移(一覧ですが2018年まで)

★★女性の育児休業取得率★★
2018 82.2%
2019 83.0%
2020 81.6% 

★★男性の育児休業取得率★★
2018 6.16%
2019 7.48%
2020 12.65%(過去最高)

ちなみに試験には出ませんが先日令和3年度の雇用均等調査が発表されました。2021年は女性の取得率が85.1%男性の取得率は13.97%(過去最高更新)との事です。

女性の場合取得者数過去最多である2008年の90.6%からは減少しているものの、依然8割以上の方が育児休業を取得しています。対して男性は少ないながらも年々微増して2020年には12.65%と過去最高を記録しました。ちなみに政府は「2020年には男性の育休取得率を13%にするッ!!」と目標を立てていました…。アレレーオカシイナー?
試験では「2020年の男性の育児休業取得率は1割以上である。○か×か」というようにも問われますので、具体的な数値は勿論、「以上」や「未満」などの問い方にも注意したいです。
2021年の調査結果からもわかる通り男性の育児休業取得率は年々アップしています。

この「雇用均等調査」という調査ですが見てみると結構おやおやポイントがあります。取得率が高いのは女性の多い金融業や大企業が多かったり、育休を取得したものの実際に復職したのは9割だったりなどなど。また、2019年の調査で男性の最多取得期間が5日未満と非常に短いというのも判明しました。2021年でも5日~2週間未満が26.5%、5日未満が25.0%となっています。今後の法改正でこれらがどう変化していくのか注視したいですね。


◆まとめ

ここまで2022年4月1日現行の育児休業制度について綴りました。
改めてみてみると本当に法改正で大きく変わる部分ですね。政府の掲げる男性の育児休業取得率の目標は2025年に30%だそうです。日本の出産育児に関わる法制度はかなり労働者に寄り添ったありがた~い制度であるものの、実際の負担はどうしても女性に偏りがちです。働き方改革やワークライフバランスの見直しが叫ばれて久しいですが、何よりもまず出産育児に寛容である職場環境の見直しや意識改革が必要だと思います。

何度も書いておりますがぺろよしの会社は男性優位の昭和企業です。今回の法改正に向けて勉強したり社内研修をしているものの、「人手不足なのに制度を利用しようものなら…わかるよな?」といった現場の冷ややかな空気をひしひしと感じます…。あと何十年経ったらなくなるんでしょうかね?

いいなと思ったら応援しよう!