手帳につけなくても、覚えていられるだろう。
就寝時刻がどんなに早くても、5〜6時間眠ると目が覚める。真夜中のAM1時過ぎだろうと。
中途覚醒の悩ましさは夏と同じで、しかし夏と違うのは夜間のひどい寒さだ。
なら布団にくるまっておいてまた寝付けるのを待てばいい、と考える向きもあるだろうがそれができたら苦労しない。
「眠くもないのに横になっている」ことはどうしてこうも苦痛なんだろう?
起き出す。靴下を履いて、パジャマの上にニットのカーディガンを着込んで、ストールで上半身をぐるぐる巻く。
灯油ヒーターを入れる。最低の温度で。
麦茶を温めるかほうじ茶を入れるかして、ノンカフェインの飲み物を用意する。
湯気を立てるそのカップを両手で包んで、机に向かってぼんやり眠気を待つ。
手持ち無沙汰に、買ったまま読んでいなかった雑誌を捲る。言葉の平熱な感じが良かった。次号をまた買おうかな、とポジティブな気持ちが灯る。
ある程度のお金を出して得られる、一定のクオリティが保たれた文体と情報が詰まっているのが雑誌というもの。
大体1冊目を通した頃には1時間経っていて、いい感じにうとうとしてきた。
そろそろ午前3時。朝までもう一眠りはできる。
照明と暖房を落として、すかさず布団に入る。
近く、本屋へ行こう。横たわってまずそう思う。手帳につけておかなくても、きっと覚えていられるだろう。