象徴から読み解く【映画】ミストと冒頭のポスター
はじめに
創作物を観る上で大きく指針になるのが
象徴を探すことだ。
象徴を探すことで作者の意図を察することが
出来るようになる。
それぞれの象徴の意味
例を上げて説明するなら。
原作スティーブンキングの映画ミストの冒頭で
ポスター制作を生業にする主人公が
描き上げている絵(ダークタワーのポスター)の内容が映画全体の内容を暗示
している様に思える。
男のガンマン
バラ
扉
崖
教会
光(影)
これらは一体、何を意味するのであろうか?
勝手ながら解説を付けていくと
ガンマン
男のガンマンが扉を守護するように立っている
しかし影が落ちていて表情はうかがい知れない
しかも両手に拳銃である。
片手ではない所からより攻撃的である。
ガンマン(開拓者)はアメリカの歴史の象徴でもある。
バラ
バラの花言葉は「愛」と「美」ではある。
そして赤いバラには「幸福を祈る」という意味がある。
更にトゲがないバラには「誠意」「純潔」の意味が付く。
補足するとバラには葉と茎とトゲにそれぞれ意味がある。
・葉ー「希望がある」「諦めないで」
・茎ー「あなたの不快さが私を悩ませる」
・トゲー「不幸中の幸い」
そしてバラには葬儀に用いられる時に使われる
弔いの意味も持つ。
このガンマンとバラは主人公の気質と運命を
象徴しているのだろう。
そして手向けられる人達も象徴されているように思える。
扉
扉には境界の意味がある。
解釈によって
・「チャンス」
・「可能性」
・「封印」
など様々な意味に代わる。
そして継ぎ接ぎで禍々しい扉である。
ここでは意訳になるが
この映画では禍々しいモンスターが出てくる。
その事自体が登場人物を2つの立場に分けるという意味に
捉える事が出来るように思える。
なので扉=起こった出来事だと思えばいい。
シンプルな言葉でいえば「審判」という事になるだろう。
崖
崖にはピンチや逃げ場のない状況ー
クローズドサークルの様な状況が考えられる。
そしてその上にそびえる教会(教会に見える)は
影に覆われて描かれている様に思える。
つまり堕落した教会を意味している様に思える。
光
宇宙を背後にまばゆい光が降り注いでる。
光の象徴するところは、
・神
・光と影の二元論
・恩寵
・希望
・光源(根源)
・唯神論(精神的)
など様々な意味に代わる象徴ですが
神の恩寵としての意味が映画の中では通りが良さそうだ。
良く観るとガンマンも扉越しだがオーラの様に
薄っすら光り輝いている。
これは彼も又、恩寵を受け取っている人間だという事だ。
影
そして光に相対する影が象徴するところは
・物質的
・唯物論
・堕落
つまり影の濃さが堕落の度合いを表現してるように思われる。
例えるなら生き死にが関わる様な場面で
生き残る側の人間である事が示唆されている様に思える。
位置関係
象徴を読み取った後、それらの位置が何を意味する関係なのか
を読み取る事は非常に重要である。
バラ
男のガンマン
扉
崖
教会
光
の順に画面手前から並んでいる。
手前が物質主義で奥に行くほど精神主義的な物が並んでいる。
ここで特に注意しなければならないのが扉の存在である。
この記事で主張しているのが扉が
審判(モンスターが襲来する出来事)を意味しているということだ。
審判が起きた末、絵の中の象徴が扉のどちら側に
属するものになるかを象徴している様に思える。
まとめ
この絵の中で描かれた出来事と映画の中で起きた出来事を
簡単にだが私見も交えて照らし合わせて見ると。
主人公と主人公の周りの人達はガンマンとバラで象徴され。
この映画の中で堕落した宗教に染まる人々(禍々しいおばさんも含む)は
扉(発生した事件による審判)に象徴される出来事により
どちら側かに振るいに掛けられる。
そして光に象徴される神の恩恵に近い人々が与えられた人達が
生き残る。
(というより全員、堕落してしまっているので死ぬ順番が
決まっていると解釈する方が妥当かもしれない)
…という様なおおまかな流れがこの冒頭の絵に予告されている。
後書き
象徴を読み解いていく事で創作物の内容を読み解くのは
骨が折れる作業かもしれないが
新しい発見に溢れていて楽しい作業である。
脳トレ感覚で楽しんでやるのもいいかもしれない。
ミストは特に好きな作品なので、何時かもっと細かい処まで
突っ込んで解説したいと思っている。
ではでは