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省察研究その11「担任のエゴ」
【出来事】
前回に引き続き、今日も歴史の授業での出来事。
「鎌倉幕府が3代目で終わった後、どんなことが起きるだろう?」という問いを立てた後の予想の場面。
Hさんはすぐに隣のYさんに話しかける。
予習をしていたYさんは「北条政子が引き継いだんだよ」と伝える。
Yさんから答え?を聞き、満面の笑み。
グループでの相談の場面、「俺、答え知ってるからさ」と言う。班の友だちから「北条ってだれだよ」と聞かれるが、答えられない。
担任も「どうして、北条政子がここで出てくるの?」と聞いてみた。また答えられないHさん。
前回の省察もあり、Hさんには友だちではなく、自分の考えを持っていてほしいという願いから「確かに、この北条は正解なのかもしれないね。でも、先生は弥生時代や奈良時代の時に、Hさんだけにしかない考えを言っていた時の方が好きだったな。前の方がかっこよかった。聞いていてとても楽しかった。」と伝えた。
話を聞いた後、Hさんは難しい顔をして、静かになった。
全体共有の場面では、やはり今回もHさんが発言や質問をすることは無かった。
一方、Oさんは以前と変わらず自分独自の予想「暗殺されたんだから、暗殺した人が変わりに幕府を乗っ取った」を考えた。その後友だちの意見に対しても質問をする。
以前はHさんにも見られた姿。
HさんはOさんを見てどう感じているだろう。
【担任の省察】
Hさんが正解を求める気持ちはよくわかる。でも、そこには何の色もない。以前持っていたHさんらしさがなくなってしまっている。どこにでもある正解よりも、Hさんだけの考えを求めるのは、担任のエゴだと思う。それでも圧倒的な我の強さこそHさんの長所だと思う。
それを失ってほしくはなかった。
しかし、エゴを出して、いやらしい私情をHさんにするよりも、これまで通り自分らしい発言をするOさんの良さを全体の場でもっと取り上げ、間接的にHさんの心に訴えかけた方がよかったかもしれない。
担任の声掛けよりも、Oさんの姿から感じるものの方がきっとあっただろう。対等な関係のOさんの姿はきっと何よりも刺さるはずだった。その前に気持ちを折ってしまった。
また失敗。
今回のことは、きっとHさんだけじゃなくて他の子にも訪れることなんだと思う。
正解を求めたくなる気持ちを否定してはいけない。だれだって自分の不確かな考えよりも、確かな正解を欲する。
また、すでに塾などで予習をしている子にとって、予想とは何なのだろう。答えを知っている上での予想の意味とは。
予習をしていても学ぶ楽しさを感じてほしい。予習することで、授業がつまらなくなるなんて、担任の授業力不足の何者でもない。
反省。
やっぱりもっと教材研究。
歴史に興味を持っている子も、興味が無かった子も、予習した子もそうで無い子も、我が強い子も自分をなかなか出せない子も、同じ土俵、同じ立場で対等に楽しみ話し合える、そして学び合える問いを見つけたい。次回からは問いの追及のために素材研究の時間を割こう。