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省察研究その11「性格が真反対でも」
【出来事】
今回も歴史の授業について。
「元寇とはどのような争いだったのだろう?」という問いを立てた。
今回は、できるだけ全員が予想を立てやすいように、視点を争いが起きた理由と結果の2つにしぼった。また、予想を立てる際の手がかりになるように、元国の領地の地図を提示した。
元国の領地を見てHさんはすぐに、「でか!これ全部元の国なの?絶対日本負けるじゃん」とつぶやいた。また、予想を全体で共有する場面では、手を挙げて「元が日本を攻めてきた。元はこんなに大きいんだから、日本は絶対に勝てないと思う」と発言した。
その後、日本が勝つという自分とは反対の意見(どれだけ領地が大きくても、攻めてくる人数は一気に来れないから、日本が勝つ)を言ったSさんに対して「たしかに、そうかも」と考えを聞き入れる姿があった。
また、争いが起きた理由について、元からの使者や手紙を時宗が無視していることを知ると、「これはやってるねー、無視はやばい、絶対怒られる。」とつぶやいた。元寇が起きた理由って、何?と改めて聞き直すと今度は「時宗のせい」と答えた。
元軍と日本軍の兵力差を資料から読み取る際には、「めちゃくちゃ不利じゃん。こんなの勝てないじゃん」と今度は元々持っていた自分の考えに根拠を持つ結果となった。
【担任の省察】
今回はここ2回の歴史の授業とは変わって、Yさんにすぐに聞きに行くことなく、自分の考えを持つことができた。前回までの2時間との違いはどうして生まれたのだろうか。考えられる説は2つ。
1つは、前回の授業がきっかけとなった説。担任の余計な一言が聞いたのか、Oさんの姿に感じることがあったのか。2つ目は、Hさんが考えたくなる問いとそれを補う資料があったという説。今回は、問いに対する予想を立てるために、資料を1つ提示した。その資料が領地の大きさという視覚的にわかりやすいものだったことが要因かもしれない。やっぱり素材について考え、何をどのタイミングで提示するのかは大事だな。
また、今回Hさんは自分とは異なる考えに対して素直に聞き入れることができた。これまで何度も「は?ちがうし!」という言葉を聞いてきたが、今回はどうして拒絶ではなく、受け入れる結果となったのか。Hさんに対する考えを言ったのはSさんだった。
SさんとHさんは性格や興味がまったく異なる。得意な分野が互いにずれている。しかし、SさんとHさんの関係は対等に感じられる。以前にも国語の「やまなし」を読み進める中で「クラムボンとは何か?」という問いに対して、授業後も廊下で言い合いをする2人の姿を見たことがあった。(その時は、論理的にプランクトンだと説明するSさん、太陽も笑う、太陽も死ぬと説明するHさんだった。)にそういえば、SさんとHさんは学級の係も同じだった。誰と一緒になるのかを気にするHさんが、一緒のペアとして選んだSさん。
同じく対等な立場にいるOさんとは異種の関係を築くSさん。Oさんとは別の刺激をHさんに与えることができるようだ。また、OさんがHさんに刺激を与えるように、きっとSさんもHさんから刺激をもらっているはずだ。足りないところを補い合うような2人の関係を価値づけて、みんなに伝えていきたい。
Hさんを受け入れるクラスの雰囲気はとても温かい。しかし、受け止めるだけではなく、自分の気持ちを伝える関係性へと昇華するためのお手本をSさんがしてくれているように感じた。