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講演などで用いる「プロフィール」の作り方

自分のことを客観視することは簡単ではありませんし、また、あれもこれも…と“盛る”のは気恥ずかしいというより、なにより“粋”じゃない… 
そう思う反面、講師として呼ばれる場合には、きちんとしたプロフィールを用意したいものです。

自分のことは棚に上げて、「プロフィール」の作り方について掘り下げてみます。


プロフィール制作におけるダブルダイヤモンド(大きな流れ)

次のような流れを踏みます。

  1. 棚卸し:プロフィールを構成する要素を思い付く限り、書き出す

  2. 取捨選択:目的に応じて盛り込む要素を決める

  3. 文章化:点と点をつなげてストーリー化

  4. ブラッシュアップ

    • 「一言でいうと?」

    • ショートバージョンの作成

    • 第三者のレビュー

プロフィール制作の“ダブルダイヤモンド”

そもそもプロフィールの目的は?

セミナーや講演の場合、プロフィールの目的は次のように分解できます。

  • 告知時:「この人の話を聞きたいな」(=この人から聞く価値がある)と思ってもらい、お申し込みにつながること

  • お申し込み後:事前に好感度を上げ、期待が高まること。
    どのようなスタンスから話すのかを理解してもらうこと

  • 当日:親近感をもってもらい距離を縮めることで、より積極的に聞いてもらえる(学生時代、スキな先生の話って、すっと入ってきましたよね!)

☑️ プレゼンにおける4つの“なぜ”

4つの“なぜ”のうち、なぜ“私から”聞くべきなのか?を補完するのがプロフィールであると言えます。

4つの“なぜ”は、西脇 資哲さん(日本マイクロソフト)の提唱する「プレゼンの黄金比」から。


プロフィール作成の手順

いきなり文章にせず、プロフィールを構成する要素を書き出しましょう。
いわば、プロフィール作成前の“棚卸し”です。

その上で、次のポイントを考慮して取捨選択し、組み立てます。

  • 文字数の目安、制限

  • 講演内容

  • 参加者の属性

参加される方の属性によって響くポイントは異なります。ひとつ作って終わりでなく、複数のプロフィールを使い分けるのもよいでしょう。

ロングバージョン、ショートバージョン

だんだん短くしていきながら伝えるべき情報を精査していきます。

また、告知媒体によって文字数制限やフォーマットが変わるので、異なるバージョンを用意しておくとよいです。


プロフィールを構成する要素

まずは可能な限り書き出してみましょう(すべて埋める必要はありません)。
全部を使うわけではありませんが客観視のヒントになります。

☑️ 名前、読みがな

  • 読み間違えられて不機嫌になる前に、自分から「読みがな」を伝えましょう。

  • 「斉藤」「齋藤」のような異体字に関しても一言添えておくとスムーズです。

「プロフィールをください」と依頼しても、名前が抜けていることが少なくありません。また、多くの場合、読みがながついていません。100人中100人が読める名前を除き、読みがなは必ず必要です。

☑️ 年齢

  • 生まれた年

  • 現在の年齢

☑️ 地域(拠点)

  • 出身

  • 現在の居住地(または不定)

  • 現在の居住地に落ち着くまでの経緯

  • (状況によっては)今後の拠点や居住予定地

☑️ 会社、所属、役職

  • 会社に所属しているのか、フリーランスとして動いているのか

  • その期間

  • 会社に所属している場合には「肩書き」や「役職」

  • 大きめの会社であれば「部署」や「事業部」

  • その会社で具体的に(自分は)どんな業務を行っているのか

  • 経営に近いスタンスの場合には、何をやっている会社か

☑️ 仕事内容

  • 現在の主たる仕事内容(と、その期間)

  • その他にやっていること

☑️ キャリア

  • スタート(現在の職種/異なる分野での職種)

  • その後の経緯

  • 現在の働き方(との関連性)

☑️ 実績

  • クライアント

  • 著書

  • オンラインでの執筆

  • 講演活動(回数、「非常勤講師」などの役職)

  • 受賞歴

☑️ 情報発信

  • 𝕏(Twitter)

  • YouTube

  • Instagram

  • その他

☑️ パーソナルなこと

  • 家族(構成)

  • ペット

  • 趣味、凝っていること

  • 休日の過ごし方

☑️ 数字

  • SNSのフォロワー数

  • 講演回数

  • 現在の仕事に従事している年数

☑️ 信条、ポリシー

働き方のスタンスや目指しているものなど
「座右の銘」やタグライン、キャッチフレーズ的なもの

☑️ 告知事項

そのタイミングでお知らせしたいこと


まとめる上でのポイント

☑️ 一言でいうと、誰?

「あれもやってる、これもやってる」と盛り込みすぎると、逆に人物像がボンヤリします。特に複数人で並べられる場合には、ステレオタイプに「この人は〜の人」と印象づけられるのが望ましいです。

「実は、こんな側面もある」は“隠し球”として取っておいた方がサプライズ感が出ます。

☑️ どのような経緯で、今の仕事をしているのか

今の仕事に至るまでを経緯をストーリーとしてまとめましょう。
そこに入らないものは省略した方がスッキリします。

☑️ E-E-A-T

SEO(検索エンジン対策)においてGoogleが重要視する(と言われている)「E-E-A-T」という4つの評価軸があります。

  • Experience(経験)
    実際に行った、体験したこと

  • Expertise(専門性):
    特定の分野に特化し、価値を得られるか

  • Authoritativeness(権威性):
    優れた価値のあるコンテンツであると第三者が評価しているか

  • Trustworthiness(信頼性):
    内容や運営者(プロフィールでは「あなた」)が信頼できるか

セミナーや講演で使うプロフィールでも、このE-E-A-Tを意識すると効果的です。

☑️ 第三者のレビューを受ける

「強み」や「特長」、「その人らしさ」は自分ではわかりにくいものです。
第三者のレビューを受けるのがオススメ。

セミナーの主催者(依頼者)にはオファーの理由があるハズですので、ダイレクトに聞いてみるのもよいでしょう。つまり、想定する視聴者に刺さるポイントを、そのセミナー用のプロフィールに盛り込むと強いです。

☑️ 粒度(解像度)

2023年に掲載するとき、「2022年4月から現職」はギリOKですが、「2006年10月に開始」のように10年以上も前の場合には「2006年に開始」で十分。
読み手にとって細かすぎる情報はノイズです。


書き方のポイント

☑️ 自分視点より第三者視点

「〜について高い評価をいただいています」のような自分視点でなく、「〜について定評がある」のように第三者視点で書くのがスマート。
「ですます」も向かないです。

☑️ 箇条書きにしない

履歴書ではありません。
点と点をつないでストーリーにして見せましょう。

☑️ 相対日付だけで書かない

「今年から」と書くと、翌年以降は修正が必要になります。
読み手も困りますので「今年(2023年)から」のように絶対日付を併記しましょう(セッション情報も同様です)。

☑️ 誤字脱字、い抜きら抜き


ChatGPTを通すのもよいですし、その他、オンラインの校正ツールを利用するのもよいでしょう。

☑️ 業界用語や省略語

プロフィールに限りませんが、業界用語や省略語に注意しましょう。その業界外(会社外)では通じないことが多いんです。まったく別の業界の人とか、母親などにレビューを受けるのがよさそう。

☑️ 固有名詞

固有名詞は“裏を取って”正確に表記しましょう。企業名、製品名などのスペルや漢字、送り仮名が間違っていたら、あなたへの信頼性が低下します。

☑️ より → から

「より」には「more than」の意味があるため、「から」を使うのが望ましいです。

☑️ カッコ

「」と区別するため、書籍名(や映画などのタイトル)は『 』で囲むのが通例です。

☑️ その他、表記関連

別のnoteにて記事にしています。

☑️ 閉じ開き

別のnoteにて記事にしています。

☑️ セッション概要

別のnoteにて記事にしています。


ご参考

小川 晶子さんの『プロフィール作成術: コピーライターが教える、ビジネスにつながるプロフィールの作り方』がオススメです(Kindle Unlimitedの対象)。

以前、講演いただいたときの動画を貼っておきます。

☑️ 参考になるnote

いわゆる「個の時代」は、自己アピールしたもの勝ちです。逆に、自分のプロフィールが整っていないのは、正直、損しかないと思ってしまいます。

プロフィールで目指しているのは、出会いたい相手との良い関係づくりです。自己PRをしつつも、マウントをとっているとは思われないその絶妙なバランスを保つ(後略)

では、お客様は何に興味があるのか??
答えは、
『サービスを受けてお客様自身がどう変われるか?』
これなんです!

プロフィールがずっと一緒ってのはありえないんですよね。ですから、逆に言うと、自分のプロフィール欄を毎日チェックして、本当にこれでいいのかなと、毎日ちょこちょこ書き変えていく工夫をする位で良いと思います。

自分の属性を組み合わせていけばどこかに「自分にしか書けない」に至る落とし所があるはずです。

特筆すべきものがない…と考える場合には「かけ合わせ」を考えてみるとよさそう。

☑️ セッション概要

プロフィールと表裏一体の関係にあるセッション概要については別のnoteにまとめています。

☑️ Twitterでのプロフィール

同時多発的に「#10秒自己紹介」「#140文字履歴」というハッシュタグが生まれています。特に「#10秒自己紹介」は自分のキャッチフレーズとして持っておくとよいですよね! 自分の場合「デザインする人を応援するデザイナー」です。

#10秒自己紹介

#140文字履歴



プロフィール参照ページ

「プロフィールください!」 → 「ここ(URL)を参照してください」と伝えられるように参照ページを用意しておきましょう。自分が一番ラクです。

その際、次のような配慮をしておくと再提出の手間が減ります。

  • 長さ:長め、短めなど、複数のバージョンを準備

  • 写真:高解像度/低解像度、横長/スクエアなど準備

インタビュー(された)記事などがある場合、リンク先を書いておくとよさそう。

☑️ 番外編:プロフィール以外の紹介

イシジマミキさんの「仕事のご依頼について」についてというページが秀逸です。

「講演などで用いる」から脱線しますが、「こういう人がいる」と紹介するとき、このようなものが揃っていると、その後の展開がスムーズです。

「メールがいい」「TwitterのDMがいい」など、連絡しやすい窓口が明示されていると助かります。


まとめ

日本人のマインドとして、自分を多く語るアピールは、どうにも気後れしますよね…

一方、逆の立場(=受講者側)に立ってみると、限られた時間の中で「この人の話を聞けてラッキー」と思ってもらえるプロフィールを用意することは、セミナーや講義の内容をより楽しんでいただくための配慮(おもてなし)であると言えます。

プロフィールを用意する必要がない方も、上記に挙げた「プロフィールを構成する要素」を書き出してキャリアを振り返ってみるとよいでしょう。

さらに、未来のプロフィールを書いてみるのも楽しそう!


ワークシート

Google スプレッドシートを用意しました。
[コピーを作成]で複製してお使いください。

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